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「16球団構想」であまり語られない障壁③エクスパンション候補地を確認してみよう

※5/7追記:一部修正および新候補地を2ヶ所追加しました。

今回の内容に関しては、
私自身コメントを返すかどうかはわからないが、
読んでくださった方に
「ここはちょっと厳しいな」
「いやこの程度なら充分いける」
「あの球場はどうなんだ」
などの意見があればどしどし書いていただきたい。
単純に「こういう意見もある」も集まればそれはそれで幸い。
またこのうち静岡、新潟、松山、沖縄については
こちら
でもっと細かい考察をしているので
よければそちらもどうぞ。

札幌ドーム

各候補地を見る前に、
まずは2000年代に移転した2ヶ所を見てみることにしよう。
「札幌と仙台ができたから他の都市でもできないわけがない」
と主張する人は実に多い。

福住駅からドームまではどう長く見積もっても850m。
徒歩で850mはたとえ高低差がなくても
どうしようもなく遠いはず…である。
本当に今までの批判が球場に行く人の本音ならね。
ちなみにズムスタも距離はほぼ同じ。

楽天生命パーク宮城

最寄駅は北東に見える宮城野原。
陸上競技場は国体にあわせて建てられた。
現在は駅から500m程度だが、
仙石線が2000年に地下化する前は
さらに150mほど距離があったらしい。

HARD OFF ECOスタジアム新潟

ここはで見たので地図は省く。
一応新潟駅からここまでなら
中央分離帯もあるので
LRTを通せないこともないように見えるが、
一部の生活空間と田んぼが広がるここに通しても
採算がとれるのか甚だ怪しい。
除雪費用もとんでもないことになりそうだし。
じゃあBRTを通したところで渋滞はどうにかなるのか。
このあたりをしっかり解決できる方策がないと、
新潟は難しいように思う。

宇都宮清原球場

これまで名前が出ることはなかったが、
王会長の16球団構想が出てきた後の某雑誌記事で
いきなり急浮上してきたのがここ。
たしかに人口160万人をかかえる大都市圏の中枢にあたるが、
球場は工業団地の一角にあるため周囲に施設拡張の余地は全くない。
普通に考えてただの飛ばし記事だと思うが、
だとしてもなぜ記者がこの地を選んだのか。
理由として考えられるのが
すぐ上に見える管理センターそばの道路。
ここに現在建設中のLRTの停留所が置かれるのだ。
定員160人なのでバス単体に比べればまだ輸送力も期待できる。
あとは横のテニスコートをつぶして
シャトルバス用の駐車場を確保するのか。
本当は宇都宮駅周辺かLRT圏内に
栃木ブレックスと共有されるスポコンが作られるのが
ベストなんだろうけどなあ…。

坊っちゃんスタジアム

東に見える市坪駅は
普段は無人で大量の人を捌くにはちょっと狭い。
できることなら南に見える松山外環状道路も重点的に活用したいが、
西にある競輪場の駐車場を活用しても
さほどスペースがとれるかは疑問。
北のマドンナスタジアムや武道館とは川を挟んでいて、
この点でも汎用性がやや乏しい地形になっている。

沖縄セルラースタジアム那覇

球場の収容人数は30,000人と多いが
座席に背もたれがついているのはごく一部で、
内野はベンチシート、外野芝生なので改修必須。
下に見えるゆいレールは2両編成で定員170人。
バスよりははるかにいいが果たして足りるかどうか。
そして周囲を見ると
スポーツ施設が目いっぱい敷き詰められた公園内にあり、
これらをつぶさないと駐車場の設置余地はない。
沖縄はかなりの車社会らしいので、
ここを使うならある程度の拡張は必要不可欠と考えられる。
え、まさか公園内の護国神社をはじめとした神社や
すぐ北の軍港をつぶせばいいとか言わないよな。
特に賛成派かつ赤いのを叩くのに熱心な人たち。

草薙球場

周囲の道路は片道一車線なので、
静岡鉄道に全てを託すしかない。
強いてあげるなら補助施設のどれかをつぶして
シャトルバス乗り場を確保するぐらい。
球場の収容人数も21,000人強と少なめだが、
ここは仙台のように上に向けて拡張するしかないだろう。

浜松球場

最寄駅の上島からは1km程度の距離がある。
片道二車線の街道はあるが
やはり駐車場はないため、
ここも遠州鉄道の輸送力に全てを託すことになる。
あと、東西に広い静岡県民が
そもそも1チームにまとまるのか。

リブワーク藤崎台球場

全体の敷地は熊本城公園のかなり広い土地なのだが、
そのうち球場があるのは沖縄と同じで各神社の横。
まあ鎮台と師団があった場所なんだし当然あるわな。
神社以外にも重要文化財、博物館、美術館が立ち並んでおり、
球場のすぐそばをつぶすのは無理がある。
駐車場は2~300m離れた公園のものを使うしかない。
なお市電の最寄は左に見える段山町ではなく
南にある蔚山町。
段山町は建物と道路の関係で遠回りになっている。

平和リース球場

ここも最近次点候補として名前が挙がった。
鹿児島市にも路面電車が通っている。
しかし鹿児島電鉄の騎射場、鴨池停留所からは1kmもないが、
交通手段としては推奨されていない。
なぜ鹿児島が挙がったのか熊本以上にわからないのだが、
南九州には新幹線が通っているのも一因だろうか。
同じ九州の長崎との差はそれぐらいしかなさそうに見える。
サンマリンスタジアムのある宮崎が出ないのもそのためだろう。
あとは九州独立リーグ構想の関係で
ソフトバンクから支援が期待できると踏んだのだろうか。

アルペンスタジアム

「ライトレール」といえば有名なのが富山ライトレール。
ただここのライトレールは
昔の鉄道の軌道をそのまま活用したものが大半なので、
ライトレールではなくトラムトレインに区分されるらしい。
そのため軌道を道路に沿って延伸する汎用性は乏しいようだ。
そしてこのアルペンスタジアムは
ライトレールからかなり離れたところにあり、
こちら側への延伸もおそらく不可能。
道路事情もさして良くはない。

わかさスタジアム京都

西京極駅がほぼ隣接しているため交通の便は非常にいい。
すぐそばにはたけびしスタジアム京都と
ハンナリーズアリーナ(交番と会館の間にある青い屋根の建物)もあり、
これだけ見るとスポコンとしても非常に優秀に思える。
ただ土地の広さは全くと言っていいほどない。
行ったことはないのでわからないんだが、
出店を置く場所も本当に充分確保できているのだろうか。

また関西圏は阪神が異常なまでの人気を誇っている上に、
オリックスも二軍戦などを活用しながら
近畿全体に販路を広げつつある。
そんな関西圏に3チーム目を新たに置くことができるのか。
今までの失敗を努力が工夫が足りないで
本当に片づけていいのか、という点で
二の足を踏む地域でもあるかも。

倉敷マスカットスタジアム


これまでエクスパンションというとよく名前が挙がっていたのに、
なぜか今回の16球団構想では聞かれていないのがこの倉敷。
最寄りの中庄からは800m強で札幌とほぼ同じだが、
道路が二本通っていて
特にマスカット通りはかなり歩道が広いぶん、
札幌よりましといったところなのか。
隣に見える高速道路は期待できなさそうだ。
岡山市との交通の便がもう少しいいと便利なんだが。

長良川球場

中京圏のプロ野球は中日一強ではあるが、
中京大都市圏には
カブス、ホワイトソックスの2チームを抱えるシカゴ都市圏と
ほぼ同じ数の人が住んでいる。
岐阜そのものの都市圏人口も
那覇・浦添市圏とほぼ同じだ。

この町は交通が大きすぎる課題で、
交通手段がバスしかない。
2000年代に廃止された路面電車は
球場の約1km東を走っていたのだから、
岐阜駅北側にバス以外の公共交通を再整備するのは
ほぼ無理と考えるべきだろう。
周辺はスポーツ施設が敷き詰められており、
東側の広場を試合前のイベントなどに活用できそうな反面、
駐車場などを増設する余地はない。

北九州市民球場

MLBだと人口400万人台の
サンフランシスコ都市圏にも2球団あるので、
北九州自体の人口も踏まえれば
松山や沖縄より
有力候補になってもおかしくないのが北九州。
最寄駅からは徒歩10分ほど離れた場所にあるが、
北九州モノレールは4両編成なので
輸送力自体は悪くない。

ただ市民球場自体は日本にありがちな
町の区画の中に押し込めて作られた球場なので、
球場そのものを一大ビジネス拠点とするには
汎用性が皆無に等しい。
またギラヴァンツ北九州のホーム、
ミクニワールドスタジアムがある小倉駅北は
既にコンベンションセンターなどもあるため、
新球場を作る余地はないようだ。


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