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「今年ずっとやりたかったこと」

こんにちは。いつも私の記事を読んでくださってありがとうございます。皆様からのコメント等が本当に励みになっております。

...と言いつつ、試合の内容を忘れかけたころの投稿になっているという。

さて、我らがレノファ山口FCは先日モンテディオ山形と対戦。2019シーズンホーム最終戦ということもあり、今シーズンはこれが見納めという方も多かったのではないでしょうか。私は来週の徳島戦も観に行く予定ではありますが、ホームでこのオレンジのユニフォームを着て戦う姿をもう見れなくなる選手もいると考えると、なんとも言えない気持ちになり、毎年ではありますが、この時期になるとシーズンはあっという間だなと感じます。

そんなホーム最終戦ですが、結果は2‐3。前半に幸先よく2点を先制し、「これで坪井さん見れるやん!」ムードがどことなくスタジアムに漂い始めたが、後半にまさかの3失点。山形に1点のリードを許すと、残っていた最後の交代枠は攻撃的なカードを切らざるを得なくなり、結局この試合で坪井の出番はなかった。前線の選手が積極的にゴールへと迫ったが、山形の堅い守備に阻まれ、このまま試合終了。2019シーズンのホーム最終戦、そして坪井慶介の引退試合という、サポーターからすると特別な意味を持つ試合が、2‐0のリードから逆転負けを喫する‘逆維新劇場’とも言いたくなってしまうような、そんな試合となってしまった。

しかし、個人的には長いシーズンを戦う中で、このような試合の1つや2つはあると思っていて、たまたまそれがこの試合だったと割り切ることにしたところです。それに、攻撃面についてはシーズンを通してやりたかったことが、ここに来て形になり、結果もついてきた感もあるので、今回はそのあたりを振り返っていきたいとおもいます。

○スタメンに現れた戦い方

さて、試合からかなり時間が経ったことや、忘れ去りたいことがあったりということで、皆様の記憶の奥底に葬られているかもしれませんが、この日の両チームのスタメンは以下の通りでした。

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山口はシーズン終盤になって定着したお馴染みの4‐2‐3‐1のシステムを今節も採用。ただメンバーは前節の町田戦から3人を入れ替えた。出場停止の前貴之に代わって楠本を久々にセンターバックとして起用。また、U22日本代表メンバーに選ばれた高宇洋に代わって三幸がボランチへ。その兼ね合いもあり前線の並びも変更となった。個人的にはここ最近左サイドで先発出場を続けていた高井和馬をスタメンから外したこと。そして、ここ最近は左サイドで使われることが多かった田中パウロを右サイドで先発起用したことの意味に注目したい。

対する山形は、3‐4‐2‐1のシステム。ここに1つ、山口が前線の並びを替えたヒントがあると私は考えている。両チームのシステムの噛み合わせについて考えてみると、こんな感じだ。

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わかりやすい数的同数が生まれるのは色を付けた山口のボランチと山形のシャドーの部分くらいだろう。実際に前半からここのマッチアップは多く見られたし、ここを起点にかなり試合が動いた。しかし、その他のエリアについては数的同数というのがほとんどない状況だ。サイドについても山形が守備時に5バック化したりするので、1対1とはいい難い状況。前回レビューを書いた琉球戦では、単純にシステムの噛み合わせ上、数的同数となるサイドに質で殴れる高井を配置するという戦術を採用した。(琉球戦については以下のリンクから見てみてください)

しかし、今回はそもそも噛み合わせが違うので、サイドにスペースが少なく、この戦術はあまり期待できない。山形のDF陣が5バック化してしまうと高い位置で広大なスペースを突くということが難しく、狭いところでボールを動かす場面が多くなる。となると、このゲームで必要となるのは、広大なスペースで活きる高井の推進力よりも、山下や宮代・池上などの狭いスペースで「止めて、蹴る」技術である。さらに細かいタッチのドリブルで狭いスペースに侵入できる田中パウロを右サイドに配置し、攻撃にアクセントを加えるという狙いが考えられる。同じ4‐2‐3‐1でも相手のシステムとの兼ね合いなどで戦い方が全く違うものになるのはサッカーの面白いところだ。

○形になった「やりたかったこと」

私はシーズン序盤から、今年のレノファの選手は「巧い選手が多い」という印象を受けています。みんなプロのサッカー選手なので、サッカーが「上手い」のは当たり前ではあるのですが、今年は「巧い」選手を集めたという感じです。具体的には止めて蹴る技術が高い選手が多い。宮代や山下などは本当にそのあたりの技術が高いと感じます。同じフォワードの選手でも、岸田と比べると、失礼ながら結構わかりやすいと思います。今年新加入の吉濱や田中パウロなどもかなり巧いです。この巧い選手たちはシーズン序盤は、止まって足元でボールを欲しがることが多く、相手に守備のブロックを敷かれてスペースが少ない状況だと「攻撃が詰まってしまう」状況が結構あったように思います。ですから、「巧さ」はあっても「迫力」をあまり感じない場面が素人ながらによく見られたように感じました。反対に、先ほど例に挙げた岸田和人は、足元の技術は宮代や山下に劣るものの、スペースへ抜け出してボールを貰うことに長けており、彼が相手ゴールに迫るとなんか「迫力」を感じますよね。

そんな感じで私は今年、特にシーズン序盤のレノファには「狭いスペースで繋いで崩したいという意図はなんとなくわかるけど、なんか詰まっちゃって迫力もない」という印象を抱いていました。

しかし、この試合では巧い選手たちが止まることなく、動き続けたことによって、迫力を持ってゴールへ迫り、得点を奪うことができた場面が見られました。

まずは28分のシーンから。右サイドでボールを奪った菊池がゆっくりと左サイドの高い位置までドリブルで運び、幅を取っていた川井にパス。この時点で山形DFの人数は揃っていた。しかしここで菊池がパスを出した後、そこに止まったままいるのではなく、左サイドへ流れるような動きを見せる。

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すると山形の選手は菊池の動きに引っ張られバイタルエリアが空く。ここに宮代がフリーで侵入しボールを受けることに成功。すかさず前を向くと、山下にパス。そして宮代も止まることなくDFラインの裏へ抜ける動きを見せ、山下がワンタッチで落とす華麗なワンツーが決まり、宮代がゴールへ流し込んだ。

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このように菊池・宮代ともにパスを出した後に動き続けることで、次のプレーへと繋がるスペースやパスコースが生まれた。これにより華麗に、そして迫力を持ってゴールへ迫ることができた。宮代と山下のコンビネーションは見事だったが、なによりセンターバックの菊池がインターセプトから逆サイドの高い位置までボールを運んで、なおかつスペースを生み出す動きをしたことがこのゴール最大のポイントだと私は考えている。

1点目のシーンで見られた「止まらずに動き続ける」という形は2点目のシーンへとつながった。41分、2ライン間の狭いスペースでボールを受けた池上が持ち前の技術で前を向くと、すかさず1対1を仕掛ける。ここで宮代が止まらずに裏へ抜けるような動きを見せると、ワンツーでの抜け出しで先制点を失った山形は背後のスペースをケアする。ここで池上が逆をついてドリブルで中へ切込みシュートを放つ。キーパー櫛引が弾いたたものの、池上がシュートを放つ前から猛然と駆け上がっていた石田が、難しいバウンドを角度のないところからワンタッチで合わせ、レノファが2点目を奪った。石田のオーバーラップは本当に「信じて走りこんだ」という言葉がぴったりの素晴らしいものだったので、ぜひもう一度動画で見てほしい。

高い技術を持つ選手たちが迫力をもってゴールへ攻め込む。こんな感じで、かなり攻撃が成熟してきて、ずっとやりたかったことができるようになってゴールという結果が付いてくるようになりました。また、前回の琉球戦で紹介したような攻撃パターンもあるので、どんな相手にも様々な戦術を駆使して戦える素晴らしいチームになってきたと思います。完成度が高まってきたこのチームの攻撃を見れるのもあと1試合。最後の試合はどんな攻撃を見ることができるのでしょうか。今のレノファを楽しみましょう。それでは!


...山形戦の後半?なんかあったかいな(すっとぼけ)


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