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土づくりと堆肥 (2)

土づくり自体は農林水産省や全農が旗を揚げていますので,市民運動や環境運動から始まったものではありません.

実際に「土づくり 農林水産省」で検索をかけますと「健康な土づくり技術マニュアル」「土づくり専門家リスト」「土づくりの手引き」など色々でてきます.

では農水書のサイトにある「健康な土づくり技術マニュアル」で土づくりをどのように定義しているかをみたいと思います.このマニュアルでは土づくりを「土壌の環境を改善し、作物が必要とする養分や水分をバランス良く十分に供給できるような能力すなわち地力を高め、土壌の作物生産能力を維持していくこと」と定義しています.

そして,土壌の持つ特性として,物理性、化学性、生物性の三つに注目しています.これらのうち,堆肥が影響を与えることができる特性は化学性が一番大きいと思います.

物理性とは水や空気の通りやすさ,保水する力,耕しやすさが挙げられます.その他表土の厚さや深さ,

化学性は作物の栄養となる化学物質の存在量,酸性やアルカリ性などの化学的な評価になります(他にも色々ありますが,興味のある方は農林水産省のサイトで見ることのできる色々な文書を参照してください).化学性は主に化学分析によって評価され公的な機関でも調査していることが多いです.また植える作物によっても化学成分は異なります.お茶を育てる畑の土とほうれん草を育てる畑の土に求められる化学的な特性は異なります.

生物性は土壌中に住む様々な生物…動物や植物,微生物などに関する指標になります.堆肥作りの場合は,微生物の存在が不可欠ですから大切な性質と言えましょう.ただしどのような微生物の集団がいれば農地に最適であるかといった評価について,まだ研究段階にあるのかもしれません.それに加えて微生物の種類や性質は土地毎の差が激しいので,北海道と沖縄の微生物はまったく違うという難しさがあります.学者がEM菌について肯定的な見方をしないのは,色々ありますが,それぞれの土地に存在する微生物を活かすという発想じゃないことも大きいと思います.

ちなみに土壌中に存在する微生物は多種多様,最近のDNAを調べる方法では1gの土壌中に100万種類以上の微生物がいるそうで,人間がわかっている微生物の種類は 0.1 % 以下と言われます.微生物については,また別にお話しできる機会を持ちたいと思います

以上が,土づくりの概論的なお話になります.

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