「強い会社」に変わる仕組みを読んで!!!

■本レポートの抜粋

時代の変化に対応しながら常に成長していける会社になるには、自社をどのように変えていくべきかこの問いの答えは、多くの経営者が常に求めているものでしょう。リクルートで働き、ファーストリテイリングとソフトバンクで組織改革や事業の立ち上げを行ってきた著者は、会社が変わるためには、自社に合った仕組みや制度を取り入れ、それに伴う施策を展開する必要があるといいます。

ここで重要なのは、単に他社の成功事例を真似るのではなく、自社のビジネスモデルやコア・コンピタンスを十分に検討した上で、何を取り入れ、どのように応用するべきなのかを見極める視点。その視点なしには、会社にとってマイナスとなる改革を行ってしまう危険性もあるからです。

本書は、自社に合った「仕組み・制度・施策」を考える必要性と具体的な考え方を提示した後、これまで著者が携わってきた企業の事例を伝えています。そのうえで著者は、組織改革で何より重要なのは、仕組みや制度といった枠組みを考えて実行するだけではなく、社内の人間がそれを進んで実践できるような環境をつくることだと述べています。

本書を一読し、自社の現状を見つめ直すことは、会社のトップに立つ経営者だけではなく、組織に所属するすべての人に有益だと言えるでしょう。

■書籍情報

著者名:強い会社に変わる仕組み

著書名:松岡 保昌

■自社に合った「仕組み・制度・施策」を選ぶ

時代の変化に対応できる「強い会社」になるためには、人が自ら動く「環境」と「仕組み」をつくる必要があります。とはいえ、ビジネス誌や書籍で紹介されている他社の成功事例をそのまま実践しても、同じ効果が得られるわけではありません。自社のビジネスモデルや、自社の強みであるコア・コンピタンスを十分に検討した上で、それに見合った仕組みや制度、施策を取り入れることが重要です。

ここでいう「ビジネスモデル」とは、利益を生み出す製品やサービスに関する事業戦略と収益構造のことをさします。「コア・コンピタンス」とは、自社が競合他社と戦って勝つためのポイントのことです。経営者や管理職は、自社のビジネスモデルを認識したうえで、市場や世の中の変化に合わせて自社のコア・コンピタンスをたえず分析し続けるべきといいます。

その戦略は不変である必要はないといいます。他社や時代の変化に柔軟に対応できるよう、組織の「仕組み・制度・施策」も進化させ続けることが重要といいます。それが当たり前にできるような企業こそ、継続的、安定的に利益を生み出すことができる「強い会社」だといいます。

■「社外規範」と「社内規範」を発信する

人が会社で本気になって働くためには何が必要だろうか。その回答として鍵になるのは、企業理念にもとづくミッションやビジョンを念頭に置いた2つの視点であるといいます。ひとつは、「会社が世の中に提供している価値に共感できるかどうか」、つまり社会からどのような支持や感謝を集めているのかという「社外規範」の視点であります。もうひとつは、「会社の社風や求められる働き方に共感できるか」、つまり社内で大事にしている行動や考え方である「社内規範」の視点だといいます。

社外規範への共感は、自分の仕事が世の中のためになっているという実感によって生まれます。会社の事業に社会的価値を感じられ、自分がその事業が好きで、納得して取り組めている状態です。

一方「社内規範」は、社内で理想とされる行動や考え方、つまり行動指針になります。組織の行動指針に納得できることが、その会社に対する愛着や居心地のよさにつながります。

企業は、社訓やバリュー、クレドなど、会社の価値観を伝える言葉の中に、「社外規範」と「社内規範」の両方を明記するとともに、その背景にある価値観や理由を常に社員と共有し、理解してもらえるような努力を重ねなければなりません。「社外規範」「社内規範」への共感・共鳴なくして、本気で働くことはできないからです。

■組織診断のための7つの視点

(1)意思決定の方法とスピード

組織を分析するヒントとして、本書では、7つの視点が紹介されています。

1つ目は、「意思決定の方法とスピード」です。意思決定は速いほうがいいとされることが多いが、これはすべての企業に当てはまるわけではないと本書ではいいます。速い意思決定が求められる企業の例として、IT企業が挙げられます。これは、商品をリリースした後も、ユーザーからのフィードバックにもとづいて改良を加えることを期待されているからです。

一方、インフラ系の企業では、意思決定の速さは必ずしも重視されるわけではないといいます。インフラ系の企業の施策は社会的なインパクトが大きく、些細なミスが人命にかかわることもあるため、慎重に意思決定しなければなりません。

意思決定の方法については、どのような意思決定がどの階層で行われるのかを確認します。決裁をする人が多すぎるケースもあれば、判断基準が曖昧なまま、個人の主観だけで判断されるケースもあるでしょう。

(2)価値観の方針と浸透

2つ目は、「価値観と方針の浸透」です。企業としての価値観や方針が明確で、社員に伝わりやすいように明文化されており、それらが首尾一貫して企業に根付いている必要があります。

経営トップが伝えたつもりでも伝わらないケースには、大きく2つのパターンがあります。トップの言葉が一般の社員の視座とは異なることから、メッセージを受け取る側が言葉の真意を正確に理解できないパターン。そして、価値観や方針はあっても、それに魂が入っていないパターンです。

(3)人材の質と量

3つ目は「人材の質と量」である。一口に「優秀な人材」と言っても、その定義は企業によって異なること、そして自社が求める資質や能力のすべてを満たす人材はほとんど存在しないことを理解しなければなりません。

自社に必要な人材を整理する際のポイントは2つ。「求める価値観やタイプ、資質や能力要素といった、人の変わりにくい部分までふくめて焦点をあてて見ているか」と「コンピテンシーなどの行動特性や人間性で、共通で持っておかなければならないものは何か」です。

自社にとっての「優秀」をきちんと定義し、あるべき姿をイメージしているかどうか、考えてみましょう。

(4)自由と規律のPDCAマネジメント

4つ目は「自由と規律のPDCAマネジメント」です。企業内で何かの企画が進行し、商品やサービスの提供が開始され、それに改善を加えながら進化させていくという流れの中で、きちんとアイデアが出されているか、チェック機能が働いているかは、企業の発展を左右するといいます。

現場で自由にアイデアを出し合い、改善のための問題の洗い出しができていないと、変化に対応できません。

(5)情報の共有と活用

5つ目は「情報の共有と活用」です。社内で「知」をうまく共有できない会社は、成功の頻度を高められず、同じ失敗を何度も繰り返します。成功の再現性を高めるには、社内の知恵やノウハウの共有が当たり前に起こる「仕組み」を構築する必要があります。

(6)評価の仕組みと報酬

6つめは「評価の仕組みと報酬」だといいます。端的にいうと、「その会社が求める価値を生み出している人が、きちんと評価されているか、その評価と報酬をふくめた待遇が結びついているか」ということだといいます。

評価をきちんと待遇に反映させる仕組みがあれば、社員は正しく行動します。「評価の仕組み」を見ればその会社の成長が、「報酬」との関係性を見れば社員のモチベーションの有りようが想像できます。

(7)主体性とモチベーション

最後は、「主体性とモチベーション」です。主体性は「当事者意識」と言い換えられます。当事者意識がない人材ばかりだと、会社は強くなれません。上のせいにせずに自分たちで主体的に行動する社員ばかりなら、会社は自ずと成長していきます。

当事者意識を芽生えさせるための条件は、価値観や方針が社員に浸透していること、企業理念が社員を熱くさせていること、そして、そのような行動を行えばきちんと評価される仕組みになっていることの3つになります。

ここまで挙げた7つの視点は、自社の現状を振り返る際の判断基準となります。7つの視点を通して、自社のどの点に改善が必要か、また伸ばすべき点はどこかを見極めるとよいです。

■強みと課題をあぶり出す

本書では、自社に合った仕組み・制度・施策を導き出すための「思考のフレーム」が紹介される。「組織診断7つの視点」を意識し、自社の現状を分析して理想の会社に導いていきます。

紙に縦線を引いて左右に2分割し、さらに左側を上下に2分割します。左上に「良い企業文化」として「残すべき強み」を、左下には「良くない企業文化」として「問題点」を書き出します。シートの右側は、現状にとらわれることなく、「理想の企業文化」を書く欄です。

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まず現状分析として、会社の幹部と会社の変革を担う人事のメンバーを集めて「良い企業文化」と「良くない企業文化」をそれぞれ100個ずつ挙げます。その際に「なぜそう感じたのか」「それはどんな事実からか」もメモします。

たとえば20人でこの作業を行うとすると、2000個の事象が集まります。これは組織改革のためのヒントが隠された宝の山となるだろう。

■「KJ法的アプローチ」で課題を整理する

次に、各自が100個ずつ挙げた事象を、全員で話し合いながらグルーピングしていきます。ここでは、「KJ法的アプローチ」を使うといいでしょう。1カ所に集められた情報に対して、似たものを集めるグルーピング、そのグループに見出しをつけるラベリング、グループ間の関係性を整理する図解化、それをまとめる文章化という手順を踏むアプローチです。

この「KJ法的アプローチ」で、みんなが持ち寄った各100個の事象を、理由まで共有しながら、似たものを集めていきます。すると、いくつかの塊(グループ)ができるはずです。

グルーピングができたら、「塊」ごとに見出しをつけていきます。「年齢の高い社員と、若い社員との間に起こる問題」「言い出しっぺがやらないといけないので、気づかないふりをする現象」「誰も結論を出さないので、進まない事象」など、それぞれの事象が似ていると感じた理由を表したネーミングにしましょう。

それぞれの塊に見出しをつけたら、次は、塊と塊の関係を考えていきます。似た塊を近くに集めたり、塊と塊を因果関係や時間軸で結びつけたりして、塊と塊の関係性が見えるようにします。

ここまでくると、「企業文化」についてさまざまなことが見えてくるでしょう。「Aという塊があるから、Bという事象が起きているのではないだろうか」などといった想像ができるはずです。

■「理想の企業文化」をイメージする

現状分析の後は、「理想」を考えます。ここでのコツは、現実とは切り離して、純粋に「理想の企業文化」を考えることです。自社の「コア・コンピタンス」がより強くなり、「企業理念(社外規範・社内規範)」を実現するためには、社員がどのような気持ちになるのが理想的なのか、どのような行動を起こすことが理想的なのかを考えていく。次の5つの方法を活用するといいといいます。

(1)「日常の業務」から広げる方法:どんなふうに行動してくれたらうれしいでしょう。理想的な行動を想像します。

(2)「組織間で起こっている現実」から広げる方法:人と組織の関係がどのようであれば理想的か。社員とパート、課長とメンバー、お客様との関係、取引先との関係など、さまざまなパターンを考えてみます。

(3)「企業理念の実現状況」から広げる方法:自社の「企業理念(社外規範・社内規範)」などが実行され、実現していくときには、社員がどんな考えを持ち、どんな行動をとっているかを想像してみます。

(4)「コア・コンピタンスに結びつく行動」から広げる方法:ビジネスモデルが強化され、コア・コンピタンスが研ぎ澄まされるためにとるべき行動を考えてみましょう。

(5)「全社のルール」から広げる方法:みんなが活き活きと働くために、どんな仕組みや制度、ルールが機能している必要があるかを想像してみましょう。

純粋に「理想」をイメージしたら、次のステップとして、その理想に近づくための方法を考えればいい。

■今後やること

1)価値観と方針の浸透

強い組織には一体感があるとおもいます。したがって一個の目標に向かっていくための価値感の浸透を行います。先日研修を受けより強固の者になると確信しているので、まずは営業チームから強くし全体への影響力をあたえられるものとします。

2)「社外規範」と「社内規範」を発信する

ただ仕事をしていても、爆発力を発揮しないとおもいます。その仕事がどのような価値を与えているのかの認識します。さらに時代の流れが速いので常にサービスのアップデートを当たり前におこない強い会社組織をつくるための基盤を作っていきます。