「その仕事のやり方だと、予算と時間がいくらあっても足りませんよ。」なんてこった、、、

■本レポートの抜粋

本書は、成果をあげるプロジェクトチームをつくる方法、プロジェクト・マネージャーの流儀について書かれています。たとえ素晴らしい商品を作り出したとしても、予算を大幅に超え期限内に出来なかった場合は失敗になります。プロジェクトの成果を決定づけるのは、そこにかける予算と時間だが、それではどうすれば予算を守りながら高品質で、かつ残業なしで時間内にプロジェクトを終わらせることができるのでしょうか?

プロジェクトチームに必要とされるものを、著者は、チームワーク、リーダーシップ、ビジョン、スケジュール、クオリティ、トラブル・リスク対応、予算とコストコントロールの7つの項目に渡って解説しています。

著者は豊富な知識を持った現場叩き上げの技術コンサルタントであり、どうしたらプロジェクトを成功させられるかということを、実践的なさまざまな方法を示しつつ書いています。

業務のことはもちろん、メンバーのことも考えたプロジェクト・マネージャーの像がここにあり、こんなプロジェクト・マネージャーなら周りの人は一緒に仕事をすることに喜びを感じて、プロジェクトが成功するに違いないだろうと思わせられます。

ーーーーー書籍情報-------------------------

■著者:降籏達生

■著書:その仕事のやり方だと、予算と時間がいくらあっても足りませんよ

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■はじめに

新しいチームが立ち上がり、今まで以上に作業量は増えているという声は聞くが、結果として売上げが上がった等の目立った結果が出ていないのが今の現状としての課題になります。

リソースも増やして対応しているにも関わらず、手が回っていないのはなぜなのか、ここら辺を分解することによってもっと効果的に生産性を上げることができるのではないかと思います。

戦略=省略ともいうらしく。無駄な部分を省略し本来やらなければいけない重要な部分をより充実させるために本書を手にしました。

下記よりレポートを解説していきます。

■リーダーが持つ機能が最も強く影響する

チームの雰囲気や意心地の良さによって、プロジェクトの成果も異なるといいます。よって、チームをまとめるリーダーの選任は非常に大切であります。

チームメンバーのとる行動は、「TMI理論」と呼ばれる組織論に従うと、T機能、M機能、I機能の3つのうちいずれかに分類されます。

・T機能は「タスク機能」です。

率先垂範、意欲、決断力など、組織の目標を達成し、課題を解決する機能のことを指します。T機能が高いと業績が向上する一方、強すぎれば目標中心の組織となり、潤いのある人間関係が育たなくなる傾向があるともいわれます。

・M機能は「メンテナンス機能」です。

コミュニケーション力、優しさ、協調性など、組織を維持する機能をさします。M機能が高いと組織への忠誠心、意欲が高まりチームワークが良くなります。が、強すぎると組織は仲良し集団化し目標達成能力が落ちるともいわれます。

・I機能は「インディビジュアル・ビヘイビア機能」です。

組織を破壊する私的な欲求からくる行動を指し、陰口を言う、否定的、協力をしないなど人に悪い影響を与えるものです。I機能は別の機能を犯し悪い方向に導き、業績が下がる原因にもなってしまいます。

新規プロジェクトの場合はすぐに成果を出す必要があるためT機能を持っている人物が最初にリーダーを務めるのが良いといいます。しかし、T機能が強まるとメンバーのやる気が損なわれるため、時間が経過してからM機能の人物をリーダーにすると良いといいます。I機能の強い人をリーダーにしてはいけません。

■チームを活気づける方法

メンバーのやる気を出すためには、給与・勤務体系などの待遇を良くすること/安全、安心、安定した職場環境があること/メンバー同士が信頼し合っており仲良く働きたいと感じること/認められること/成長して働けること、の5つの欲求を満たす必要があるといいます。

プロジェクトチームが安定基地になっていればメンバーはチャレンジでき、その結果思いがけない成功をおさめることがあるが、プロジェクトチームが不安定であると平凡な結果しか生まないといいます。リーダーはプラスの言葉、動作、表情を心がけチームを活性化させることが重要だといいます。

現在、新しいチームを立ち上げ取り組んでいますが、いまいち爆発的なものが起きていない理由もどこからにあり、安心してチャレンジする環境をつくってあげれていないのかとも思います。

しかしながら、仲良くするだけでは組織管理が甘くなってしまい、不正や着服が「やめられない、とまらない」状態に陥ってしまいます。例えば、不正行為が発見されず繰り返され、最終的にメンバーを辞めさせるといった状況にもなりかねないのです。大切なメンバーを守るためにも、管理体制はきちんと保たねばなりません。

■リーダーとは何か

リーダーとマネージャーは異なる役割を果たします。リーダーは指導者で、メンバーを引っ張り、その気にさせ、彼らの能力を最大限に発揮させ、プロジェクトを目標に到達させることを目指す存在だといいます。一方、マネージャーとは管理者であり、メンバーにルールを伝え、それに従っているかどうかをチェックしうまくいっていない時は改善する存在です。プロジェクトを成功させるためには、両方とも必要である。

うちの組織で言えば、上記内容で考えればマネージャーのほうが圧倒的におおくて、リーダーと呼ばれる人が少ないのだと思います。

イタリアの歴史の教科書によると、リーダーに必要な資質は知力/説得力/自己制御/肉体的耐久力/持続する意思を持つことだそうで、カエサルだけがこの全てを持っていたのだといいます。もしあなたが、これらの資質に欠けると感じたとしても、メンバーにゴールを見せ、それに向かって先頭を走ることによって、ごく自然にリーダーとしてふさわしい行動をとっている人になります。1500人の人を指揮し、黒部ダム建設のためのトンネルを、土砂が崩れ落ちてくるなか先頭に立って掘り進んだ笹島という人がいます。彼がたどり着いたリーダーのあり方は、「怒鳴っても駄目、甘やかしても駄目、惚れさせること」だといいます。

■リーダーがすべきこと、してはいけないこと

リーダーはプロジェクトを一人で行ってはならない。いかにメンバーに仕事を分けるかが重要であるといいます。

分けた仕事は少し重なるようにすると、重なった部分をメンバーが互いにチェックするので、ミスを防げといいます。また、完全に分けず曖昧さを残しておくと、自然とメンバー同士のコミュニケーションを発生させることができ、チームワークも向上するといいます。確かに、私自身ここら辺の割り振りが上手くなく、どちらかというときっちり範囲をわけてしまっていたため上手く重なる部分をつくり自ら考えてカバーできるような組織をつくっていきます。

注意しなければならない点は、リーダーは自分のやりたくない仕事や完成形が見えない仕事をメンバーにやらせていけないということです。これをすると必ず予算も時間も守れなくなるといいます。そうした仕事はリーダー自ら行うべきだといいます。

また、リーダーの大切な仕事は権限委譲だといいます。部下にリーダーの権限を委譲することで、メンバーを育てられるともいいます。

■スケジュールを守る仕事術を知る

チームにルーズな人が集まると、プロジェクトを期限内で終われるはずがないと諦めたくもなるが、まずは自分と相手の仕事の仕方を知り、マネジメントをしていきましょう。

スケジュールを管理するための5つのポイントがあります。

1)目標に到達するまでの実施計画をプロジクト開始前に必ず立てる。

2)過去の前例、成功・失敗事例にとらわれず、少しでも早く進める新たな方法を見つけてプロジェクトを進めること。

3)手すき、手持ち、手戻り、手直し等のムダな時間をなくすこと。

4)当初の計画と現状のスケジュールが合っているかどうか毎日チェックすること。

5)今後のためにプロジェクトのうまくいった点、反省すべき点を書き出し、再発防止の方策を考えること。

これら5つのポイントのどこに問題があるかを知り、正しく手順を実行するように心がければ、スケジュールを守ることができるといいます。

■スケジュールの短縮と期限を守る方法

目標を達成するために行動計画案を立案する必要があります。行動計画づくりのポイントは「論理的で、障害を乗り越え、やる気を出させる」ことでだといいます。障害とはミスや事故などによる支出をさします。これらリスクの予測をして、「事故防止のためパトロールを増やす」などあらかじめ打てる手は打っておくとよいでしょう。

また、プロジェクト・マネージャーはメンバーがどれくらい余裕を持ってスケジュールを立てているかも常に把握しておくべきだといいます。メンバーは天候不良、事故、体調不良などを見込んで余裕のあるスケジュールを立ててくるだろうが、リーダーは遅れのない最高の状態で作業が遂行できた場合の「ギリギリスケジュール」も同様に把握しておくことが重要であります。それをメンバーに要求していくことで、短縮したスケジュールにすることができる。

最終予算責任はマネージャーやリーダーにあるので、余裕を持った数値感がだけではなく、そこが詰まったとした時の対策も同時に考え、上手くいかなくても予算達成は当たり前の状況を作っていきます。

■良い品質を守る

プロジェクトを成功させるために良い品質を届けることは非常に重要であります。品質管理の第一段階は、お客様の期待を事前に知ることになります。品質だけでなく生産性やお客様満足全体を向上させるためには、模倣の力を活用することが効果的だといいます。とある大手ホテル会社の設計者は、新たなホテルを設計する際、似たような土地にある既存のホテルの良い点を組み合わせてつくるそうです。

そして、品質を守るためには、誰が見ても均一に合格か不合格か判断できるような基準が必要なのです。そのために例えばメッキ塗装においては、「限度見本」というものを用意します。「限度見本」とは色や傷、臭いの見本で、これと比べて同じであれば合格になるのです。これはサービスのように形のないものにも写真、動画、模型などを通して同様に応用できるといいます。良いサービスを提供する秘訣は、合格か不合格かを決める「合格判定基準」の存在だといいます。

■品質を向上し、キープし続ける方法

品質の悪さに悩んでいるのなら、「事故報告書」を導入するというのも1つの方法だといいます。事故や、ヒヤリとしたことがあったら、その内容と、事故を防ぐためにどうしたらいいかを書いてもらいます。そうすると、点検方法が緻密になり、安全を守るための作業手順も見直され、社内で統一されます。安全な作業手順とは良い品質の物をつくる手順でもあるため、結果として、品質向上につながります。

品質を守り続けていくためには、品質チェックをタイムリーに行うことが大事です。常に整理、整頓、清掃をしていても、そのうちに気が緩んでしまい、元の状態に戻ってしまうこともあります。この状態を防ぐために、「定点観測法」と呼ばれる、同じ対象物に対し同じカメラで同一方向から定期的に写真撮影をする方法が有効といえます。定点観測結果を全員が見えるところに貼り出せば、問題点や改善策をメンバーで共有できるのです。

■粗利益に注目する

プロジェクトのコストを管理するには、スケジュールと同様に

①予算を立てる

②品質を下げず、通常とは異なる方法でコストダウンを図る

③ムダを省く

④予算と使用した費用の差を定期的に確認する

⑤かかった費用を分析し、反省し、次のプロジェクトに活かす

という5点に気をつけます。

粗利益とはプロジェクト収入金額-(外注金額+資材購入金額+経費)のことです。プロジェクト担当者の給料と稼いだ粗利益と割合を見ることで、どれだけ実際に稼げているかを把握する。「自分の給料の3倍以上の粗利益を上げる人」こそ「人財」だ。粗利益額で目標を立てるのもよいでしょう。

■今後やるべきこと

1)リーダーになる

現在マネージャーと言われる、管理する人は多くいるが、責任をもって引っ張っていく人がいるかと言えば、ごくわずかだと考えます。

目標達成において、管理だけで行けるわけではなくやはりメンバー1人1人の最大限の力を引っ張ることが重要な部分だと考えます。したがってリーダーに必要とされる「知力/説得力/自己制御/肉体的耐久力/持続する意思」ここを磨いていきたいと思います。特に自己制御と、維持する意思が圧倒的にかけているので克服して次のステージに行きたいと思います。

2)良い品質を守る

本書でもありましたが、基準がどこなのかをチェックできるためのシートがまたは、トークスクリプトがあるといいなと思いました。結局解約になるということは、何らかの要因に満足いっていないために解約になります。

しかし、その要因がそもそもズレているケースも往々にしてあるためこの基準値を教育していくために、できるだけ簡素化したものをクライントに理解してもらえるツールがあるといいと思いました。