商品の開発者は顧客自身? ユーザーリサーチから生まれた商品開発事例
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商品の開発者は顧客自身? ユーザーリサーチから生まれた商品開発事例

Loview(ラビュー)by spicebox

ある難しい問題を集団が解決するとき、解決能力の高い集団か多様性に富んだ集団、どちらがより優れているでしょうか?

ミシガン大学の教授、スコット・ペイジはこの問いに一つの答えを出しています。彼はある母集団から作られた二つの集団、問題解決能力の高い集団と多様性を持つ(無作為に選ばれた)集団に同じ問題に取り組んでもらうという実験を行いました。そして特定の条件下においては、多様性を持つ集団の方がより良い結果を出すことを明らかにしたのです

ペイジの実験の結果は多様性が生む発想力や問題解決能力の大きさを我々に教えてくれます。そして前回紹介したユーザーイノベーション――消費者が直面する課題や状況に対して、企業が想定しない形で製品やサービスを創造、活用する現象――はまさしくユーザーの多様性に立脚したものに他なりません。

マスキングテープを業務用の道具からアートの材料へ、レンタカーを移動手段から仕事場としての空間へ。こうした社内の特定の専門家では生み出しにくい「意味の革新」をユーザーという膨大な数の集団が持つ潤沢な多様性が実現するのです

前回紹介した事例において、企業側は先進性の高いユーザーを発見することでその情報から自社製品へイノベーションを起こしていきました。しかし近年ではそれだけにとどまらず、企業側がより積極的に、自らユーザーイノベーションを活用できるような仕組みを整備している事例が見受けられます。

商品の開発者はユーザー自身―無印良品の商品開発

問題解決にあたって多様性こそがそれを解決しうるならば、当然一種の課題の解決である製品開発もペイジの理論を応用できるはずです。そして無印良品ブランドを展開している良品計画はまさに多様なユーザーの声を反映して、製品開発を行っています。

同社は2001年よりインターネット上にユーザーが直接参加できるサイトを開設。自由に自分たちが欲しいと思った商品案を投稿できる仕組みを作りました。ユーザーは商品案を投稿するだけでなく、公開されている開発過程をもとに、製品候補案や正式な製品化に関しても投票することもでき、その決定に企業側が従うようになっています。

「持ち運びできるあかり」「体にフィットするソファ」など、このサイトを通じて生み出された商品は現在でも高い売り上げを挙げており、実際それらは通常の過程を経て開発された商品より初年度の平均売上高にして3.5倍の実績をもあげているのです

↑ 体にフィットするソファ。通称人をダメにするソファ

「ウマ」をMinecraftの世界に―ユーザーアイデアによるゲーム開発

企業が商品開発にあたってユーザーの意見を参考にするのは具体的な物に限りません。世界で最も売れたゲーム、Minecraftの制作会社、Mojang社は自分たちが想定できないユーザーの遊び方を取り入れることで常にコンテンツをアップデートし続けています。

Minecraftはブロック状に生成された世界の中を探検したりブロックそのものを使って建築することができるサンドボックス型のゲームです。海外のゲームは、ゲームのソースコードの一部を公開して、ユーザーによる改造や拡張、いわゆるMOD(Modification)の制作を開発側が奨励していることが多いのですが、Minecraftもその例に漏れず、リリース以降多種多様なMODがユーザーによって生成されてきました。その中でゲーム内に出現する動物の種類を増やすMODがユーザー間で人気を博し、開発側はこれに注目。MODにより追加される動物のうち、「ウマ」を製作者の協力の元、公式にゲーム内に導入することに決めたのです。

引用: https://minecraft.fandom.com/

これは抽象的な言語によってユーザーが中身を理解できるゲームならではの性質を、企業側が生かした試みと言えます。以降もMinecraftの開発チームはユーザーたちが開発した優れたMODの要素を積極的に導入することでMinecraftを世界で最も売れたゲームとしての地位へ押し上げることに成功しました。

ユーザーによる発明の土壌を整備―ワークマンの「メタ」ユーザーイノベーション戦略

近年、ユーザーイノベーション戦略の最も代表的な成功例、もしくは推進例としてあげられるが作業服メーカーのワークマンです。同社はあるユーザーの投稿がSNSで話題になったことをきっかけに、新事業を設立。企業を挙げてSNSを活用し、現在もユーザーの意見を積極的に販売や商品開発に取り込んでいます。

引用元:https://mas.ai/interview/7

ワークマンは元々プロ向けの作業服を作るメーカーだったのですが、バイク乗りの顧客のブログで同社作業服を紹介した投稿がSNSで拡散。それをきっかけに商品がテレビでも取り上げられるようになりました。この経験からワークマンは作業服として提供していた商品が他の用途としても売れるのではないかという着想を得て一般向けの販売を行う新業態、「ワークマンプラス」を設立します。安くて高品質なワークマンの製品はアウトドア用品やスポーツ用として一般の顧客に高く評価され、初年度の売り上げ目標をわずか3ヶ月で達成しました。

ワークマンのユーザーイノベーション戦略における先進性の高さはただユーザーの発明を見つけるだけにとどまらず、それらが生まれやすいような土壌を企業側が積極的に整備する、言うなれば「メタ」ユーザーイノベーション戦略をとっている点にあります。

同社はDMを通じてそのユーザーから貴重な経験を得ることができたのをきっかけに、リアルな口コミを書いてくれるSNS上の顧客に注目。自社に愛着があり、批判も含めて感想を書いてくれる顧客をアンバサダーとして公式に認定しています。アンバサダー達は日々商品開発から販売促進、認知の向上まで幅広く協力を行っており、実際に彼らの意見をもとに開発された商品は彼らの発信力と合わせて、大きな売上げを見せるに至りました。

企業によるこれらのユーザーイノベーションの活用はなぜ大きな成功をおさめることができるのでしょうか。商品の開発、改善においてユーザーの意見の活用が優れている点として、多様なユーザーにアクセスすることにより、新規性と顧客便益の高いアイデアがもたらされ、商品の品質自体が高くなりやすい点があげられます。これは冒頭で紹介したペイジの実験結果から考えれば不思議ではないでしょう。

さらにユーザーのアイデアによって作られたという情報が、他のユーザーに好意的な印象をもたらすという点も見逃せません。無印良品による開発過程のオープン化や、ワークマンがとっているアンバサダー戦略は商品への好意的な態度をユーザーにもたらすことで大きなPR効果を生んでいるのです。

ユーザーという潤沢な多様性がもたらす質の高い製品とその開発に伴うプロモーション効果、この双方が合わさることによって今日企業によるユーザーイノベーションの活用は大きな成功を収めています。

SNSでユーザーイノベーションを発見する―顧客理解ツール「Loview」

ワークマンはSNSを通じてユーザーイノベーションの源となるアンバサダーを発見しましたが、実際にSNS上で彼らを発見できるツールを紹介します。それが昨年10月にリリースしたソーシャルリスニングとネットリサーチを掛け合わせたツール「Loviewラビューです。

Loviewラビュー」はTwitterユーザーの投稿内容やユーザー情報を元に自社の顧客を把握・リスト化し、自社ブランドに対する声を聞くことができるツールです。特定のキーワードやブランド名から自社製品に対する評価を、投稿やフォロー関係から自社の顧客を抽出することができます。

また、DMなどで直接アプローチし、インタビューやアンケートを通じて企業によるユーザーイノベーションの発見を可能にします。マスキングテープの事例で見たように、企業側に製品の活用法を伝えたいユーザーは決して少なくありません。興味深い自社製品の活用方法に対してその前後には何があったのか、顧客に直接ヒアリングを行うことで解像度の高い顧客の経験や感想を聞くことができるでしょう。

ユーザーとの対話で得られた情報とTwitterのデータをあわせて、顧客の統計的な属性情報、カスタマージャーニーを表示することも可能で、マーケティングファネルの具体的な課題点やUGCを増やすマーケティング施策のヒントを見つけることもできます。

Loviewラビューは、ユーザーイノベーションを発見し、革新的な企業戦略を打つサポートをいたします。

Loviewラビューについて詳しく知りたい方やお問い合わせはこちら

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(文:T.S)


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「ソーシャルリスニング × ネットリサーチ」 Loview(ラビュー)はTwitter上のユーザー情報や投稿からスクリーニングすることで、本当に聞きたいブランド顧客を発見しアンケートやインタビューで深掘りできるツールです。 https://loview.webflow.io/