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【ぽる談】人柄がにじみ出る岡野昭仁の詩曲

先日は晴一さんの歌詞について語ったので今日は昭仁さんについて。

フィクション性が高く比喩や詩的表現の多い晴一さんの歌詞とは対照的に、昭仁さんの歌詞はまっすぐに裏も表も見せてしまうようなところが魅力的だと思っています。まさに人柄がそのままお出汁のようにじゅわーと滲み出ているような。茅乃舎昭仁。そんなうまみ成分がしみしみなお気に入りの曲をいくつかあげてみたい。

前夜(2018)


昭仁さん詩曲の、カメレオン・レンズc/w、前夜

昭仁さんの初期衝動が詰まったような曲でとにかく大好きな曲。旅立ちの日の前を歌った曲です。
音数少なくシンプルなアレンジの曲でギターがとても映える。16thライヴサーキット"UNFADED"で披露された時のシャウトに痺れたし、先日の因島ロマンスポルノでは生まれ故郷でこの曲を披露する意味を深く噛み締めた。

昭仁さんの低めボイス隠れファンとしては特に2番Aメロの静かなトーンで囁くように歌いながら徐々に盛り上がり、サビ〜Cメロ〜ブルースハープ〜ギターソロそして大サビ、という展開がとても好きです。静と動の組み合わせは気持ちが高揚するよね。
そんな曲の、ここのフレーズが特に好き。

ぬかるむ道も越えなきゃって決めたのに
シューズが濡れることさえも憚った

ポルノグラフィティ『前夜』(2018)

因島を出てから30年以上、色んな想いをされてきたんであろう昭仁さん。少しでも楽で綺麗な道を通りたいと思うのはまぁ人として当たり前だよね。そんな道のりを靴で表現したフレーズに惹かれ、そして我が身を振り返る。最近憚ってばかりかもしれない。忘れかけていた何かを思い出させてくれそうな、そんな力強い曲。

ダリア(2013)


こちらも詩曲、岡野昭仁。歌詞はこちら。東京ディスティニーのc/w。

私はシングル曲よりこっちのカップリングの方が好き。迷いのあった時期、と本人たちが言っている頃で私も正直ピンとこない曲が多かった時期だけど、ダリアは別。こういうシンプルな楽曲と等身大の歌詞が昭仁さんの魅力だなぁとヒシヒシと感じます。
ダリア、という大きくて華やかな花のイメージからかけ離れた、生々しい歌詞。やさぐれてる。特に好きなフレーズはここ。

今夜もあの席 ガス入りのウォーター
後ろの奴らの話がエグすぎる
他所(よそ)の不幸を笑って喰い物にしてるんだ
でもね、明日は俺もそうするんだ

ポルノグラフィティ『ダリア』(2013)

後の奴らは一体どんなエグい話をしていたんだろう。私もね、飲食店に行くとついつい近くの席の人の話を耳ダンボにしながら聴いちゃいます。先日は学生と思しき男女数名が「付き合ったら結婚を意識するかどうか」的な話で盛り上がってて「若いなぁ(遠い目)」と思ってた。こっちはエグくない爽やか話。
さてこの歌詞の何が良いかって「でもね、明日は俺もそうするんだ」ってところ。昭仁さんらしい。つい他人の会話を批判めいて聞き耳立ててしまうんだけど、そういう自分にふと嫌気が差して自分も同じことするじゃないかって思うとこ。そういうとこ好き。


夕陽と星空と僕(2003)


こちらも岡野昭仁詩曲。愛が呼ぶほうへのc/wです。歌詞はこちら
タイトルの通り、ポルノ的平松愛里アプローチの曲です(嘘)。
一番好きなカップリング曲1位にも選ばれたことのある曲でみんな大好きな曲です。別れを歌ったバラードではあるけれど、昭仁さんらしい何かしら希望が見えてくるような。

リリースされた時期の2003年秋、ちょうど私は泥沼三角関係(四角関係かも)に両足ずぶずぶはまってしまいやっと抜け出せた頃。辛かったけどこの曲に支えてもらったおかげで何とか立ち直ることができたような気がする。今思えば何が良くてぬかるみにハマってしまったのか思い出せないのだけど。

君の形 僕の形 いつかはその形を変えて
どこかで出会えるはずさ この世界はとても広く
素晴らしい愛があるはずだから

ポルノグラフィティ『夕陽と星空と僕』(2003)

この世界はとても広い、と昭仁さんに教えてもらい当時の私の目は覚めました。
ありがとうございます。おかげで今生き延びています。ちなみに、その時の人はポルノグラフィティのサボテンが好きでした。複雑。

ちなみにちなみに。泥沼の痛手はこの曲と、ちょうどその頃放送していたTBSクドカンドラマ『マンハッタンラブストーリー』で癒してもらってた。恋愛ってしょーもな!と思わせてくれたドラマです。いまだに私のオールタイムベスト1なドラマ。視聴率もふるわず人気もいまいちだけど。ベッシー(ミッチー)最高!
DVD持ってるからいいんだけど、やっぱり配信してほしいドラマNo.1。


歌を抱えて(2023)


こちらはポルノグラフィティではなく岡野昭仁のソロアルバム『Walkin' with a song』の最後の曲。語り口調に近いメロディ。歌詞はこちら。初めて聴いた時は涙が止まらなくて過呼吸気味になった。

この曲は、少し前に亡くなられた昭仁さんのお父様のことを描いた曲。今入力しながらまた泣いてる。実際お会いした時にとてもよくしてくれた昭仁さんのお父様のことを思い出し、そして同時に釣りが好きだった私の父親の事も思い出す。特に好きなフレーズはここ。

思い出はひとりぼっちになってしまうけど
振りむけばそこは日向ばかりで陰りのない道
あなたのもとへ生まれて来て良かったな
決して消えないその繋がりに
さよならなんて似合う言葉じゃないな

岡野昭仁『歌を抱えて』(2023)

昭仁さんがお父様から受けた大きな愛を感じるフレーズ。私がどうこう説明するのは陳腐で憚られるのでやめておく。
そしてYoutubeに上がっているMVも最高なんです。まさに日向ばかりの因島の映像。
先日この場所に偶然導かれて行ったんだよね。多分因島を訪れるポルノファンなら事前に把握していたであろう情報をスルーして偶然たどり着いた私。あとで気づいた。あほや

と。すぐ長文になってしまうのでとりあえず4曲。他にはTwilight,トワイライトやむかいあわせや9.9m2なども捨てがたかったかな。またの機会に。

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