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クリスマスに読みたい本【40】

 あけましておめでとうございます。
新年に読む1冊目は、縁起よく徹頭徹尾ハピエンものと決めています。
クリスマス小説としては「タルト・タタンの夢」から「ガレット・デ・ロワの秘密」を。

  フランスの家庭料理を出す小さなレストランを舞台に、無口な三舟シェフが鮮やかに謎を解く日常の謎ものの連作短編集。
基本的にシリーズ内のお話の多くがほっこり系ですが、この「ガレット・デ・ロワの秘密」は特にほっこりあまめ。

 普段は穏やかな料理人の志村さんが、妻であるシャンソン歌手・麻美さんに仕事を依頼したいという三舟シェフを止めようとして口論に。
 けっきょく麻美さんが喜んで仕事を受け、クリスマスのミニコンサートは大成功。
 彼女は、まだ志村さんと友人関係だったフランス留学時代に起こったガレット・デ・ロワにまつわる謎について語る。

 ガレット・デ・ロワは、フランスでは公現祭によく食べられるケーキ。
フェーブとよばれる小さな陶器の人形が入っていて、それが当たった人が王様として、王妃を選べる、という伝統がある。
 麻美さんが語ったのは、志村さんが作ってくれたガレット・デ・ロワのフェーブがなくなっていたというもの。
 そのパーティに参加していた全員の目の前でフェーブを入れたのに、だ。
 もうひとつの謎は、志村さんがなぜ麻美さんが職場に来るのを嫌がっていたのか、というものかもしれませんが、どちらも絡み合ってにまにまする謎解きがされています。

 著者の近藤史恵さんは、いろいろな作風の小説を書かれますが、私はこのレストランのシリーズと、モップの精のシリーズが特に好きです。
 ささやかな謎と、レギュラー登場人物たちが醸し出すもめごともあるけれどおおむね穏やかに過ごしていこうとする人々の雰囲気がいいです。

 短編なので、読了は10分くらい。
三が日があけたら、家庭的なフレンチも食べに行きたいなぁ……。

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タイトル: ガレット・デ・ロワの秘密 (「タルト・タタンの夢」収録)

著者: 近藤, 史恵
PUB: 東京 : 東京創元社 ; 2014.4
PHYS:p[83]-114 (全体は253p) ; 16cm
VT:OH:Un reve de Tarte Tatin
VT:VT:Le secret de galette des Rois
NOTE:標題紙裏に「Un reve de Tarte Tatin」とあり
PTBL:創元推理文庫 ; Mこ1-4
ISBN:9784488427047


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*タイトル画像は「みんなのフォロギャラリー」からお借りしました。
 ありがとうございます。

*表紙画像の著作権が心配なので、Amazonのリンクを貼っています。

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