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ガス抜きのすごい効果【ツミデミック】一穂ミチ著

「なんか不気味…」
この本は6編の短編で構成されています。
前半3編を読み終わった後、
「不気味」の一言しか出てきませんでした。

しかし、後半の3編を読み始めてから
読後感が変わりました。
「なんか希望が見出せそう」と思いました。

その中でも「さざなみドライブ」が
ホッとさせるような結末でした。
「ガス抜きはすごい」と感じました。


・パンデミックで人生が狂った人たち

ネット上で出会い、
ある目的で集まった5人の話です。
ドライブに行くことになりました。

全員がパンデミックに
人生を狂わされた経験をしています。

売れない小説家の男性、有名な助演俳優、
看護師の女性、醜形恐怖症の少女、
ワクチンについて意見が合わなくなったのをきっかけに妻と離婚した男性。

それぞれが自分に起きた出来事を語り始めました。

・まるでデスノート!?

私が度肝を抜かれたのは、主人公の小説家の男性。
人生に3回、書いたことが
そのまま現実になった時があります。

1回目はクラスメイトの転校、
2回目は説教をしてきた親戚のおじさん、
3回目は担当編集者と未知の感染症。

「この話を書いたから、現実になってしまった」

聞いていた他の参加者は
「だったからもっとハッピーな話を書いてくれよ」と突っ込みます。

しかし彼は、無我夢中で書いているため
話の方向性を決められませんでした。

読者の私は「デスノートみたい」と思いました。

・起こったことを話した結果

「話を聞いたら情が出てきた。生きてほしい」

ある参加者がそう言いました。

自分に起こったことを話す様子を見て
各自が※ガス抜きをしているように見えました。

※ガス抜きの詳細は、こちらより。

自殺願望者同士がガス抜きをすると
思いとどまるほどの効果があるのかと感じました。

・感想

この本を読み始めたときは
「やるせない」とか「救いがない」とか
読後感の気持ちが暗くなりました。

しかし、読み進めるのにつれて明るくなっていきました。

著者はインタビューでこんなことを語っていました。

パンデミックが終息に向かうにつれて、
作品も明るくなったとのことです。
私の読後感と一致しているのも納得です。

どんな形であれ、
人とのつながりは大事と感じました。

以上、ちえでした。
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