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映画『Anchors Aweigh(錨をあげて)』

 久しぶりの通常更新です。前回ご報告した通り、動画は公式に公開されているもののみを引用することにしたので、文字ばかりで目にうるさい記事になっていたらすみません(^^;)

 さて、黄金期とも言える1940年代のハリウッドミュージカルでは、休暇中の兵隊を主人公にした物語が多く見られました。その代表作とも言えるのが1945年の『Anchors Aweigh(邦題:錨をあげて)』(1945)です。
 主演はGene Kelly(ジーン・ケリー、1912~1996)とFrank Sinatra(フランク・シナトラ、1915~1998)。ヒロイン役には今作がデビュー作のKathryn Grayson(キャスリン・グレイスン、1922~2010)が抜擢されました。さらにスペイン出身の名ピアニスト、Jose Iturbi(ホセ・イトゥルビ、1895~1980)が本人として出演。楽しい演奏で花を添えました。

 休暇に入った二人の水兵ジョセフ(ケリー)とクラレンス(シナトラ)は、ひょんなことから美しい歌手志望の女性スーザン(グレイスン)と知り合う。彼女に一目惚れしたクラレンスとその恋を応援するジョセフだったが、勘違いから彼女を有名なピアニスト(イトゥルビ)に紹介してくれるはずの男性を追い返してしまった。
 ショックを受ける彼女にジョセフは、クラレンスがイトゥルビの知り合いと嘘をつき、何とかすると約束。その約束を果たすべく奮闘する中で、ジョセフとスーザンは次第に惹かれあっていく。
 一方のクラレンスも彼女の職場で知り合った同郷の女性、ブルックリン(Pamela Britton、パメラ・ブリットン)と恋に落ち、めでたく二組のカップルが誕生。しかし肝心の約束は果たせぬまま休暇終了の日を迎え・・・。

 と、わずか4日間の休暇中に起きる様々なドタバタを描いた作品となっています。もちろん結末は大団円の、恋も夢も叶うハッピーな映画。素敵な歌も満載です。

 公開当時のトレーラー。初っ端からシナトラ、グレイスン、ケリー、イトゥルビと心躍るパフォーマンスをチラ見せし、まさかのエンディングをネタバレ!今では中々見られない構成ですが、この頃のミュージカル映画に求められたのは「夢」や「愛」。ハッピーエンドであることをあらかじめ伝えるのはいい手法だったのかもしれませんね。

 ♪I Fall In Love To Easly♪(作詞Sammy Cahn、作曲 Jule Styne、)
クラレンスが「スーザンへの気持ちは憧れで本当に愛しているのはブルックリンだ」と気づく場面で歌われたものです。今作で一番好きなこの曲を、ワーナーがノーカットで公開していたのは幸運でした♪
 シナトラは中年以降の成熟した時代も素晴らしいですが、私は『The Voice』と呼ばれ女の子達にキャーキャー言われていた、ちょっとひ弱そうな青年期の歌声が特に好きです。
甘くてどこかデリケートで、真っ直ぐな感じ。
 彼は他にも♪What Makes The Sunset♪や♪The Charm of You♪といったラブソングを歌っています。ブルックリンの前で歌うこの2曲は、前後のやり取りも素敵なのでぜひ本編を観て欲しいです。

 ジーン・ケリーは何度かアニメのキャラクターと共演していますが、今回はあの有名なネズミ、ジェリー(トム&ジェリー)と踊っています。当時のハリウッドの合成技術や、ケリーの自然な動き、本当に凄いですね。そして何より楽しいです♪ケリーのダンサーとしての能力と明るいキャラがあってこそのナンバーだと思います。

 キャスリン・グレイスンはデビュー作とは思えない堂々とした歌声を披露し、以後たくさんの作品に出演します。
 作中、スーザンは最終的にイトゥルビのカメラテストを受けることが出来るのですが(トレーラー1:40~)、これは実際スーザン役のテストでもあったとか。つまりラストの曲を最初にテストとして歌ったのですね。言われてみれば序盤の♪ジェラシー♪(0:17~)の方がこなれている感じもします。面白いですね~。

 イトゥルビは俳優ではなく音楽家ですが、複数のミュージカル映画にしっかり台詞付きで出演しています。今作でも、彼をピアノの調律師と勘違いしたクラレンスとのとぼけた会話など、とても自然に演じていました。
 もちろん本職のピアノはさらに素晴らしく、特に♪Donkey Serenade♪(1:01~)では見事な演奏を楽しそうにこなしているのが印象的。このナンバーを観ると、楽器が出来るっていいなぁといつも思ってしまいます。

 以上、映画『Anchors Aweigh』の主要キャストとおすすめ曲でした。
それほど凝った話ではない分、楽しく一気に観られる作品だと思います。楽曲もクラシックのアレンジから新作まで幅広いので、お気に入りの一曲をみつけられるのでは。
どうぞ機会がありましたら観てみてください(^^)

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