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ホテルのルールその1

西成には、
おっちゃんのようなおばちゃんがいます…

今日ちょっと、ボクにとって大問題が起きて…
バイト先にクレジットカードを忘れてきたみたいや…

「みたいや…」というのは、それがはっきりバイト先やと確定してない、ということ。手元にないことははっきりしてる。

ポケットを探してもかばんの中を探してもどこにもない。クレジットカード。

ヤバっ、

こんだけ探してもないんやったら、バイト先やな。たぶん…防寒着の内ポケットの中やな…

次バイトに行くのは5日後。マジかあ…バイト先は近いんやけど。徒歩15分。
近いんやけど…クレジットカードを取りに行くためだけに行くのかぁ…

うん、やめよう。次のバイトの時にしよう。でもなぁ、僕ほとんどの買い物クレジットカードでしてるからなあ。不便は不便。

まあまだ、PayPayがあるからね。この5日間はPayPayで乗り切ろう。でもなぁ、5日間でしょー、5日間バイト先に放置でしょー、

盗まれへんかなあ…
っていう心配。

クレジットカードやからぁ…盗まれたら大変やなぁ。めんどくさい。過去、一度か二度、クレジットカード失くしたことあるんですよ。

めんどくさい。ほんまめんどくさい。
カード止めたり、再発行したりめんどくさい。

まあちょっと心配は心配なんやけど…行くのめんどくさいからやっぱ5日後まで我慢します。

ホテルのルールその1:ドアはそーっと閉めなくてはいけない。

僕が住んでるホテルの部屋のドアは、普通にドアを開けて、パッとドアノブから手を放して、ドアが閉まるのを自然に任すと、

「バタンッ!」
と、まあまあ大きい音がする。

そして大きい音がすると、
隣の住人が狂ったように壁を「ドンドンッ!ドンドンッ!」叩く。

狂ったように叩く。

そして僕は怖くなる。

なのでそれ以来、僕はドアを閉める時、ちゃんとドアを閉め切るまでドアノブに手を添え、そーっと閉める。

「カチャリ、」

小さい音はする。さすがに無音は無理や。

でも「カチャリ、」くらいの小さい音やったら、隣の住人は狂ったように壁は叩かない。

ふぅ、気ぃ使うわぁ…

その隣の住人とたまーに顔を合わすことがある。廊下とか、洗面所とか、トイレとかで、

30代くらいの青年かな。真面目そうな。おとなしそうな。会話はしたことない。挨拶もしない。

狂ったように壁を叩く人とはとても思えない。人は見かけによらないもんだ。

ちなみに、逆となりの住人は、まるで昭和ヤクザのようなイカツイ兄ちゃんや。
その兄ちゃんは、ドア「バタンっ!」て閉めても、

何も言わない。

人は見かけによらないもんだ。

で、今日は夕方から稽古や。
なんか今日は1日ホテルの部屋にいて…まあもちろんいろいろとやることはあるのだが、部屋にこもりっきりでなんか気もちがモヤモヤしてたので、早めにホテルを出た。

こんなに早く出たら、稽古場に30分前には着く。まあそれでもいい。ホテルにこもってると気もちがモヤモヤする。

早めに着いたら着いたで、電子書籍でも読んでいよう。

稽古場に行く途中、バイト先の近くを通る…

え…?え…?え…?せや、あーせやな、

うん…え?今クレジットカード取りに行きゃあいいんや。

何してんねん。

ちょうど早めに出たし、逆にバイト先寄ってクレジットカード取ってから稽古場行ったら、ちょうどいい。

よかった…たまたまはよ出たけど、それがよかった。

バイト先寄って、防寒着の中にクレジットカードはあった。よかった。

で、ちょうどいい時間に稽古場に着いた。

よーし!稽古張りきってやりまっせー。


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