散文 愛せなかった彼女たちへ

愛せなかった彼女たちへ

恋に恋するように、思い出を恋しがっていた
夏が翳り秋がゆっくりと忍び寄る。
ほんのりと秋の香りが鼻を掠めると人肌が恋しくなる。

恋に恋していた。心に空いた大きな穴を埋めるように彼女を求めていた。
彼女では埋まることのないポッカリと空いた穴。
まだ穴は空いたままだ。

運命。
彼女は最初からわかっていた。
その所為か離れていく時も静かに居なくなった。

もう彼女の顔もぼんやりとしか思い出せない。
嫌いになったのかもわからない。
愛せなかったという感覚だけが全身に残る。

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