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vol.1『コンセプトづくり』〜サッカー・フットサルづくりの教室2020〜

先週行われたキックオフ会を経て、いよいよサッカー・フットサル場づくりの教室がスタートしました。
第1回はlove.fútbol Japan代表の加藤さんが講師となり、「施設のコンセプトを策定する」というテーマのもと、ワークショップ形式で行われました。

参加者の皆さんへ事前調査として、それぞれがグラウンドを作りたい地域の人口特徴や行政による都市計画、地域課題について調べてもらっており、グラウンドを作りたい地域がどういうところなのか、どういうまちづくりが進められようとしているのかなどについて深堀りをした状態でワークショップが始まりました。

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その始まりに加藤さんが参加者へ伝えたことは、
【場所は「メッセージ」を伝える】ということでした。

ちょっと試しに、皆さんがそれぞれ好きな場所を思い浮かべてみてください。
その場所が好きなのはどうしてでしょうか。
なぜ、その場所に惹かれるのでしょうか。
その時に思い浮かんだ理由が、場所があなたへ伝えているメッセージと言えます。

日本のスポーツ施設でこのメッセージ性を考えた時、サッカーや野球、バスケットができるといった特定のスポーツをする場としてのメッセージ性がある施設が多い一方、それ以外のメッセージ性が弱いことで本当に地域の人々に必要とされるスポーツ施設になりえていない可能性があります。

スポーツ施設の持つ価値は【スポーツの価値】と【社会の価値】から構成されます。前者が意味するのはスポーツの競技性の価値であり、後者が意味するのは地域住民の交流の場や、社会課題を改善する拠点、そして地球規模の課題改善を実践する拠点としての価値です。
日本ではスポーツの価値に重きが置かれたスポーツ施設が多いことが現状ですが、それだけではその施設が地域に根付くことは難しいと考えられます。
どのような価値をスポーツ施設が持つメッセージとして伝えたいかを考える必要があります。

そのメッセージ性のベースになるものが「コンセプト」です。

スポーツの場づくりは、いくつかの要素から成り立っています。
フィールドを作りたいと思う人はもちろん、フィールドができる地域に住む人、運営する人、利用する人、土地の所有者、フィールドを作る資材、行政、スポンサーなど多様な要素がありますが、これらを機能させるためのベースになるものがコンセプトだと加藤さんは言います。

コンセプトと似たような言葉として「ビジョン」がありますが、目指す社会像を表すのが「ビジョン」に対し、そのビジョンを実現するため、事業価値を言語化したものがコンセプトと言われています。

つまり、コンセプトは人に伝わるように明確な言葉で表現されているものであり、その言葉がそのまま事業のありたい姿につながります。

スターバックスには「サードプレイス」、アップルストアには「売るのではなく体験を共有する」といったコンセプトがあるように、スポーツ施設やグラウンドなどにも語れるコンセプトが必要であると加藤さんは言います。

では、なぜコンセプトが必要なのでしょうか。理由は2つあります。

1:施設の本質を語れるようになる
コンセプトが決まると、場の本質をとらえることができるようになります。
ただサッカーができる場所を作るのではなく、場を作ることで結果的にどのような状況を生み出したいのか、利用する人たちにどうなってほしいのか、といった場の在り方が見えるようになります。

2:スタッフも同じビジョンを語れるようになる
関わる人が多いほど、一人ひとりが持つ思いも多くなります。そうなると、各々が考えていることにズレが生じて、方向性がまとまらないことも出てきます。
このようなときにコンセプトがあることで、自分たちの事業がどのようなものなのかが明確になり、その先にあるビジョンを関わる人たち全員で共有することができます。

コンセプトが場づくりにおいて重要な項目であるという説明を受けて、参加者の皆さんによるコンセプト作りがスタートしました。

ビジョンの確認、現状を知る、時代を洞察する、閃きを発見、コンセプトを言葉に、という順番で自分が作りたい場のコンセプトを形作っていきます
(時代の洞察では、love.fútbolらしく、日本にも経済的な理由でスポーツを諦めている子どもたちが顕在化していること、子どもたちの自己肯定感や社会との繋がりが希薄になっている等の社会背景から、スポーツ施設の作り手が考えるべき視点を強調していました)。

本来はこの工程を2~3時間かけて、スタッフ全員で取り組んでコンセプトを作り上げるものを短い時間の中一人で行うというハードな内容でしたが、参加者の皆さんは事前に調べてきたことと、この時間に共有された情報をパズルのように組み合わせて、自分の考えているイメージをしっかりと言葉にされていました。

こうして参加者の皆さんが言語化されたコンセプトの中からいくつかを紹介させていただきます。

「多世代のつながりを生む大きなリビング」
「サッカーが好き、あなたが好き、この街が好き」
「女性が元気に笑顔になるパワースポット」

これ以外にも、聞くだけでどのような場を作りたいかがイメージできるようなコンセプトがたくさん挙げられました。
世の中には言語から物事を考える言語思考型の人が多いと言われており、イメージをそのままとどめるのではなくコンセプトとして言葉にすることで、より多くの人にどういう場を作りたいかが伝えらえるのではないでしょうか。

今回作ったコンセプトを場づくりのベースにしつつ、次回は「土地種別の法律・資材選定・芝生施工などロジスティックのすべて」というテーマで法律や資材の選び方などの実務的な内容に入っていきます。

<文:島ノ江耕平>
twitter: @koheishimanoe
Instagram: @koheishimanoe

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