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【マンガ業界Newsまとめ】 Twitter公式レポ「漫画ファンってどんな人?」など|8/21-065

マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。

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Twitterカンバセーションレポート:漫画ファンを逃さない!

みんな大好きTwitterですが、漫画においては様々なマーケティング施策がとられており、その影響力や売上は大きなものとなっていると思われます。そんな中で、Twitter上のマンガファンのユーザー分析を、Twitterが発表しています。

・Twitter上のアニメ・漫画ファンの年齢層は24歳以下が35%

・Twitter上で、実際に購入に繋がりやすいカテゴリと、その購入率

https://marketing.twitter.com/ja/insights/conversation-report-manga-fans

など、興味深い数字が並んでいます。漫画のネット販売のデータを日々見ている方々には興味深い内容ではないでしょうか。


韓国漫画界、日本のお家芸揺るがす スマホ対応の縦読み

こちらの記事、突っ込みどころが複数個所に渡り、しかもそれが天下の日経新聞に堂々と書かれてしまっているので、どうしたものかと思いました。一先ずウェブトゥーンに対して初めて触れた多くの人が陥りやすい地雷を、見事に踏んづけている好例として、いくつか突っ込んでみたいと思います。

> 漫画は日本のお家芸――。そんな常識が覆されつつある。

→現場では既に、漫画とウェブトゥーンは似て非なる別のものという認識が定着しつつあると思います。漫画は漫画、ウェブトゥーンはウェブトゥーンで、制作手法だけではなく、市場も並立し、なんなら相乗効果があるのではないかという状況です。

確かにウェブトゥーンの市場はこれから伸びていくでしょう。しかし同時に、日本の漫画市場2021年現在、おおよそ横:縦比率=9:1で、近年ずっとともに絶好調です。タテが伸びればヨコは縮むというような単純な話ではなく、双方ともに伸びているのがファクトです。

経済新聞です。しっかりと数字を踏まえた話をしていただきたい。

> そうした日本の編集者中心主義は、実は若い才能の登場を邪魔してきたのではないか――。

→そういう面もあるかもしれませんが、同時に漫画家の才能を見い出し、ヒット作家に引きあげたのも、編集者の力ですね。私もそういう記事を死ぬほど書いてきました。枚挙にいとまが無いのでここで言えることとしては、もっと勉強しましょうというところです。

> 若い才能はネットに発表の場を求めたのだ。自由に描き、勝手に公開する。人気が出れば販路や収入は後からついてくるというネットカルチャーが土台にある。編集者がデビューまでに一人前に鍛える日本とは正反対だ。

→現在の日本において、横漫画、ウェブトゥーンで発表の仕方のカジュアルさに差異はありません。PixivやTwitter、筆者の関わるコミチやなろう系PFに至るまで、いわゆるCGM文化は、漫画や画像はもちろん、テキストから映像コンテンツまで総じてカジュアルになっています。勉強しましょう。

> 既存の資産や技術水準を保ちつつ、今の世界の消費者が受け入れるものを作る。製造業が突き当たった壁に漫画界も直面している。

→『鬼滅の刃』という作品をご存じでしょうか。かの作品がグローバルでどれほどヒットしたか、それに続く作品として、『呪術廻戦』『SPY×FAMILY』などの作品がどのように続き、それに対して大手配信サイトがどういった手を打っているか、本まとめでも沢山触れています。勉強しましょう。

> 権利保護と、創造性や活気の土壌となる自由闊達さのバランスが大事になる。

→主語が無いので良くわからないのですが、記事にも名前は書いていある、「コミケ」がどういう場かご存じでしょうか?ここまでの浅薄かつ迂闊な見解から察するに、何がどう大事なのかは全く理解されて無いと思います。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD131SA0T10C22A8000000/?unlock=1

現場からは以上です。


漫画家・牧野圭一さんが死去…本紙で政治漫画連載、京都精華大「マンガ学部」開設に尽力

牧野先生、お亡くなりになられてしまいました。生前、わたしも主に京都でのお仕事で多くのご縁をいただきました。

1995年、京都精華大学に漫画コースが出来、その後学科・学部や修士・博士課程までが出来ていくきっかけとなった立ち上げ部分、並びに同大が運営する京都国際マンガミュージアムが出来るまでの流れ。また、当時の旧京都造形芸術大学(現京都芸術大学)においてのマンガ学科立ち上げなど、日本の漫画教育黎明から、多くの功績を残されています。

ご冥福をお祈りします。


【マンガ家向け】マンガ投稿サイトを比較してみた。

多様化している漫画家の稼ぎ方、デビューや収入を得るために、多数ある投稿サイトやサービスなどをどう使うか。主要なものを上げて比較しています。

網羅性というより、どういうものがあるかという意味でコンパクトに整理していますので、人によっては新たな情報も得つつ、頭の整理にもなる記事かなと思います。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

【taskey×キングレコード】日本初のWebtoon OSTをつくる新プロジェクト始動!第一弾はHykeComicオリジナルWebtoonとのタイアップ

taskeyが、講談社系キングレコードと、Webtoonに音楽を合わせるオリジナルサウンドトラック(OST)を『離婚後夜(りこんこうや)』という作品で展開開始するとのこと。

韓国においてWebtoonにOSTをつけて、両方向から作品や音楽の認知を上げるスキームは既に成功事例も多く、この日本版を両社がトライするということですね。


国内News

新デジタルコミック誌「コミックNOAN」8/18(木)創刊!話題のe-Storyアプリ「peep」作品をコミカライズする新感覚エモきゅんレーベル!

一つ上のWebtoonのニュースでも新しい取組を発表しているtaskeyの「peep」ですが、peep本来のテキスト原作をぶんか社に提供し、コミカライズを行う形で、新雑誌「コミックNOAN」が立ち上がるとのこと。

既に、『小悪魔教師♡サイコ』で両社の連携は実績がある中で、今後はこのレーベルから毎月5‐7作品を配信とのこと。


アニメDVD/ブルーレイがとにかく不調です。

漫画が作品として伸びていくにあたり、アニメの好不調は重要ですが、そのアニメの売上は2010年代前半までは、DVD/BDなどのパッケージ商品の売上が大きな割合を占めていました。逆に言うとパッケージが売れなければそのアニメは失敗というケースが多かったです。

しかし、ちょうどマンガの売上が紙からデジタルにシフトしていたタイミングとほぼ同じ、2010年代中盤から、内外の大手配信サイトによる配信買い付けの割合が徐々に上がっていきます。しかも、配信の買い付けの場合、配信が開始する前に値付けや購入が終わるため、なんなら放送前にアニメの売上の趨勢が決まる形です。

事前予約はあれど本当の売上確定が、アニメ放送以降になるパッケージと比べると、配信のほうがアニメにとってもマンガにとっても良いことが多く、そして最も重要な視聴者も、パッケージよりも配信でアニメを見ることが増えていきました。このパッケージ不調の流れは必然だったと言えそうです。


王子製紙が、書籍などに使用する紙の種類が1000超あったものを「共通文庫用紙」というものに集約し、需給がひっ迫している印刷用紙の生産を効率化し、安定供給・調達に向けて成果を上げているようです。

現在、出版社間ではコミックスの用紙を共用化する動きも出ているとのこと。


これは数十巻の既刊単行本を持っている作家さんなど、特にこういう感想を持つことが多いみたいですね。古くても面白い漫画は沢山ありますしね。デジタルの恩恵だと思います。


7月の参院選で53万票を得て、比例トップ当選を果たした赤松健氏ですが、毎週のようにその影響力や選挙の仕方が話題になり続けています。

票の話をすると、表現規制や規制下のコミケ開催に尽力するなど実績のある議員として名前を上げられる藤末健三氏や栗下善行氏などと赤松氏が票を食い合い両氏は落選。同じタイミングで出馬してしまったことの難しさを露呈しつつも、同時に1回の国政選挙でオタク票がどれだけ集まるかのベンチマーク基準が出来たとも言えるかもしれません。

赤松氏の言動から読み取れることは、意見団体の漫画家協会理事としてロビー活動をしているだけでは、現実の表現規制の法制化などの局面は抑えられないと判断し、なりたいわけでもない議員になり、政党としても政府与党側で出馬。政策立案の実務に対して影響力を持てるポジションを取ったということです。

議席を取ったということで、一つ大きな意味があるわけですが、同時にこうしてオタク票(ちょっとこの言い方も極端ですが、判り易いんですね、、、)が国政の中で、現在問題になってる某宗教団体より影響力が高いなどという認識が国政まわりの方々に出来るというのは、上述の赤松氏出馬の狙いからすると、良かったことなのでしょう。


8/13-14の2日間、100回目の開催を迎えたコミケが開催されました。コロナ対策も現住に行い、コロナ禍においても継続的な運営が出来る形が確立しつつあります。


ブックリスタと言えば「auブックパス」「ReaderStore(sony)」などを運営する電子書籍の大手かつ老舗です。そこのUI/UXデザイナーが、auブックパスの改修で気を付けたことを語っています。

現在、長く運営されている電子書店は、スマホ以前にガラケー時代からのシステムなどを一部運用し続けるケースも珍しくなく、そうしたものを日々どうしていくかというのは、エンジニアやデザイナーの頭を悩ませています。そうしたところに、具体的にどう対応しているかという記事として、貴重なものかと思います。


海外News

漫画全巻ドットコムを運営するTORICOが、シンガポールに現地法人を設立しました。具体的な事業内容に触れていませんが、東南アジア、東アジア、欧米への事業領域拡大が狙いとのこと。


これはウェブトゥーンのニュースというより凄い人のニュースみたいになっていますが、こういうところにもウェブトゥーンが出てくるんだなぁと。


KADOKAWAが海外向けに語っている事業展開の戦略や、名前通り日本漫画の北米販売において文字通りダークホース的存在の出版社「Dark Horse Comics社」が、NetFlixとの契約を拡大した件など興味深いです。この会社さん、DCやマーベルの向こうを張って、存在感が名前の通りなんですよね。


記事のみ紹介


告知関連

IMART:アニメをいかに見るか、いかに語るか

日時:2022年8月25日 19:00-
場所:新宿ロフトプラスワン
配信:TwiCasあり
IMARTについての重大発表があります。リアル参加も配信参加(アーカイブも)あります。


「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」展

日時:池袋:8月11日 (木・祝) ~ 28日 (日) 9時~18時
場所:池袋・サンシャインシティ 文化会館ビル2F 展示 ホールD
※名古屋・大阪の開催概要は後日お知らせいたします。


「ローゼンメイデン」20周年展

10月7日から30日まで東京・有楽町マルイ、12月2日から11日まで大阪・なんばマルイで開催される。


Aniplex Online Fest 2022(アニプレックス オンライン フェス 2022)

2022年9月24日(土)(日本時間)
主催アニプレックス 共催:ソニー・ミュージックエンタテインメント


「漫画とデザイン展」大阪で8月26日より巡回展

期間:2022年8月26日(金)~9月4日(日)
時間:12:00~20:00
会場:大阪府 KITAHAMA N Gallery
東京で3月に開催されたものの巡回展


オンラインイベント『 横描き漫画家がウェブトゥーン作家になる方法』アーカイブ配信

8/15~コミチサイト上で募集している「GIGATOON Studio 縦読みマンガ大賞」開催にあたって、『 横描き漫画家がウェブトゥーン作家になる方法』のオンライン勉強会を開催、このアーカイブ動画を配信しています。

横描きの漫画家さんがウェブトゥーンに挑戦する際、考えると良いことなどを、既に作品を多く制作しているベテラン編集者が丁寧に説明しています。


追記:
これは面白そうです!


―――(編集後記)
ここのところTwiiterやDiscordをにぎわしているAI作画の「#midjourney」ですが、漫画家さんでも使ってみようという人が出始めてます。この記事だけではないですが、「すぐに絵が出来るの凄い」とか「絵柄が合わない」とか、色んな事例が見れて面白いです。

人によっては、こうしたところまで応用されてる方もいました。たしかにこんな滑り出しのマンガ、読んでみたいですね。なかなかの雰囲気です。

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現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。

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