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横読みマンガと縦カラーマンガ、両方を読む読者は何%?|マンガ業界Newsまとめ 12-210802

マンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。

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調査では「SMARTOON(縦カラーマンガ)しか読まない、出版社マンガしか読まない、両方読む」の3択で尋ねると出版マンガのみ読む人は全体の約10%、SMARTOONだけも同じく10%前後、両方読む人が約80%

などなど興味深い回答も多く、縦カラーマンガや海外事情に通じ、何度もピッコマの記事を書き続けている飯田さんらしい記事です。2013年頃、多くのマンガアプリが現れ、同時にcomico社の登場とともに縦スクロールカラーマンガも日本で注目され始めました。

当時、マンガは全て縦カラーマンガに集約し、既存のマンガは廃れ、取って代わられると言う過激な意見もありましたが、現在は完全に共存状態。特にピッコマ内では、ライトユーザーがSMATOONでアプリ利用を開始し、後に普通の横スクロールマンガを読む生態系が完成していると言います。

また、現在日本のマンガ業界では、縦カラーマンガを制作するスタジオの設立や、受託先や編集者探しが各所で力強く行われていますが、ここではStudio1picという、ピッコマ社による韓国のスタジオの話題にも触れています。

出資のニュース以来、多くのニュースを提供するピッコマ社の動きが引き続き注目されるところです。


ベトナムに拠点を持つベンチャー企業が、3.4億円の資金調達をしたというニュースです。

INKR社は、世界中のコミックのローカライズをするプラットフォームを提供。縦・横・カラーなど、様々なタイプのコミックを、コラボレーションツールで迅速に国際展開できるようにサポートするとのこと。講談社USAや、中国の最大手Kuaikan(快看)などがサービスを利用していると言います。

一見、自動翻訳と思いきや、各国の翻訳チームがグループになって作品を翻訳や編集など出来る、コラボソフトのようです。これにより、通常数日かかるローカライズ作業が数時間で出来るようになるとのことです。

ベトナムと言えば、一昨年に話題となった海賊版マンガサイトの運営企業が拠点としていたり、日本コンテンツの大型イベント開催など、日本のコンテンツ産業との結びつきも広がっています。

また、日本のマンガ業界人で国際業務を長くやられている方には著名な、TOKYOPOPファウンダーのStu・Levy氏も、運営に参画しているとのことです。

事業内容、人材共にユニークな状態にあるようですが、なによりこのフェーズで3.4億円の調達が、日中韓以外の国のベンチャー企業に行われるということは、海外のマンガビジネスの環境が多きく変化したとみて取れます。日本と違う尺度で、マンガをビジネス化していく別世界が出来ていっている感があります。

マンガのグローバル化とは、日本だけ頑張ってどうにかなるものではりません。先日、ピッコマに海外企業が出資したことのあたりから、未来がちょっと近づいてきた感があります。

追記--------------------

2020 年 9 月 29 日 北米子会社のさらなるグローバル展開についてのお知らせ

講談社(US)のリリースによると、このINKR社は元MangaRock(のよう)で、すでに調査済みということのようでした。海賊版関与者の正規軍化の狙いのようですね。

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コミケ再開!ですね。

2021年12月末開催が、新C99として開催に至るとのこと。様々な中小規模の同人誌即売会が、関係者の決死の努力で開催され、ここに至っている経緯などが説明されています。

とりあえず、良かった。良かったですね。


2020年末にマンガアプリ「マンガがうがう」をサービス開始した双葉社は、数年前より「異世界転生作品」の制作体制を強化し、電子コミックサイト/アプリや、自社アプリなどで、オリジナル作品からなろう系作品まで多数の作品を送り出しています。

今回は、電子コミックサイト大手のめちゃコミックに双葉社がオリジナル作品を提供する座組です。中小規模の編集プロダクションなどが、大手電子コミックサイトにオリジナルIP作品を提供する形は既に一般的ですが、双葉社クラスの老舗出版社が、電子コミックサイトに作品をこの形で提供するのは、ちょっと珍しいかなと思いました。(他にもあるやもですが、私は初観測でした)

双葉社はこれとは別に、アニソンクリエイター・Reomによる歌姫音楽プロジェクト「アルマギア -Project-」のコミカライズや、前述の自社アプリ運営など、積極的な展開をはかっています。


まんがたり株式会社は、【マンガ動画制作サービス マンムビ】新プランの提供をリリースをしました。

広告マンガ制作を行う企業が、マンガ動画を制作するというところまでは最近の流れですが、更に広告運用まで行うというサービスラインになっています。

どちらかというと、広告代理店が広告の1種としてマンガやマンガ動画コンテンツする場合、広告運用まで同時に行うケースは良く見るのですが、制作側から広告運用まで範囲を広げているケースは、珍しいかなと思い取り上げました。制作側から広告運用に仕事を伸ばしたとあれば、良い漫画制作と広告運用がセットになるのは、良い形なのではないでしょうか。


話題作ほど影響力が大きいからか、今度は大ブレイク読切『ルックバック』が、一読者の声から表現を改めたというニュースです。この改変には、表現に関わる作家などから多くの意見が出ています。

おりしも日本は、オリンピック開催に至る過程の中で、表現や人権問題が吹きあがり、旧態な姿勢を見直す機運高まるということもあり、良くある「表現の自由」議論だけには収まらない、議論百出の様相を呈しています。

この是非について私見は一度置き、どのようにこの決定がなされたかということを、私の知る流れで想像してみました(実際にどうだったかは知りません)

まず、出版社に上がるクレーム対処の一般的な流れはこんな感じです。

・担当編集者がなんらかの形でクレームを知る。
・そのクレームを作家に伝えるか編集者/編集部が決める
・編集者と作家で、対応を相談する。この段階で、広報や法務部・弁護士などを前後に入れることもある
・決めた内容を「編集部で」実施する。大事になると広報が前に出て全社対応の形になる。
→ケースバイだが、法務や広報などの部署が関与せず、編集部だけで対応するケースも多々ある。これは出版社の特徴的なところ。他業界からすると驚くところではありますが、良し悪しは別として、これが編集権の独立、ひいては良い作品を作る基盤的考え方としてありました。

必ずしも上記のとおりではないですが、ユニークさを際立たせて書いてます。一般的な企業の広報や法務の常識とはちょっと違いますね。ただ、最近は全面的に広報が前に出て、一般企業Likeな対応をするところも増えました。

さて、想像するに、既に連載2本を終え、中堅とは言えまだまだ若い天才藤本タツキ先生と、マンガを愛しつくし多くのヒット作を世に送り出す、化け物編集者林士平氏が2人で相談して出した結論なわけです。

お2人なりに世の中の変化や作品、そして読者のことを考えつくし、この時代を背景にして出した結論です。どこまで深く考えたのか、そのInputや洞察、解像度は凡百の及ぶところではありません。それだけに、私はあの2人がやることならもうそれで良いんではないかと、納得した次第でした。

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