見出し画像

#IMART2019 :(1) マンガ・アニメのビジネスカンファレンスを最高出力で開催する

マンガ・アニメの現場で、今までになかった大きな動きが起きようとしています。それをお伝えするため、ここから #IMART2019 のタグで数本記事を投じます。

IMARTとは?

2019年の11/15~17の3日間、国際マンガ・アニメ祭 Reiwa Toshima (IMART)というイベントが池袋にて開催されます。

これは、元々トキワ荘のあったマンガの聖地豊島区にて、東アジア文化都市2019豊島という枠組みの中、マンガ・アニメ部門のスペシャル事業として、春から多数行われていた催しの、最後のビッグイベントとして行われるものです。

IMARTとは、シンプルに言うと「マンガとアニメのカンファレンス」です。マンガやアニメの未来をテーマに、2つの基調講演、1つの特別講演、20のセッションや講演が行われる場です。一般のファンの方はメインの対象ではなく、クリエイターや企業人、教育関係者、研究者などを対象とした、プロ向けのイベントになります。内容としては、ビジネスや教育、クリエイションそのものやクリエイターサポートなど、多岐にわたります。

この規模で、日本において「これだけ」を専門に行っている場はこれまでにはなく、海外のエンタメで言うと、毎年3月にサンフランシスコで行われる、世界中からゲームの業界人が2万人集まる、GameDevelopersConference(GDC)がこれに近いものになるかなと思います。


私はIMARTのアドバイザーを務めています。役割は、マンガ関係の講演・セッションの企画、登壇者アサイン、当日の司会進行、その他イベントに関する諸々を拝命しています。わたし個人については、以下の記事が詳しいです。

上記記事にもIMARTについて触れていますが、ここでは更に踏み込んでこのカンファレンスについて触れ、次の節以降で、企画した講演・セッションの説明をしていこうと考えています。


なぜ今、マンガ・アニメのカンファレンス?

5年ほど前、わたしはサンフランシスコで開催されていたGame Developers Conference(GDC)というイベントへ視察に行きました。目的は、なぜ一時期世界を席巻した日本ゲーム界の存在があったにも関わらず、ゲームの覇権はアメリカにあるのか?という問いと、ひとつの仮説を確かめに行くためです。

Game Developers Conference -GDCとは?

1980年代後半から~90年代、アタリショック後の米国ゲーム市場を席巻した任天堂のファミコン(米国ではNES)や、後のソニーPlayStationの存在や数々の国産ゲームメーカーの存在がありながら、現在世界のゲーム市場はアメリカを中心に回っています。重要なことは何点かあると考えました。

① 世界最大のゲーム市場を持つのはアメリカである
② 世界最大のゲーム見本市を持つのはアメリカである(E3)
③ 世界最大の業界カンファレンスを持つのもアメリカである(GDC)

この中で、例えばマンガの場合、世界最大のマンガ市場を持つのも、マンガイベント(ここではコミケをイメージ)を持つのも日本です。業界カンファレンスだけありません。ここにマンガやアニメの世界展開の活路を見出しました。ここは後述します。

GDCというカンファレンスは、世界中からゲームの業界人2万人を集め、約1週間の期間中に、約200のセッションや講演のほか、世界的権威のゲームアワード、リクルーティング、技術博覧会的展示などがなされます。内容はビジネス面は勿論、制作、マーケティング、歴史研究から学術的なものまで、あらゆるものが共有され、運営する会社は業界全体のリサーチを行い、各種データを共有するなど担っています。ちなみに、全日参加すると2,000$かかります。(早割1,000$)

各セッションで共有される内容は、ゲーム業界における最新の事例で、素晴らしいものばかりでした。登壇者は、権威あるGDCで自分の知見を語ることを誇りに感じ説明し、来場者はその知見をむさぼります。毎晩毎夜各所で交流会が開かれ、GDCに限らない周辺イベントも複数開かれ、朝から晩まで国籍問わないすごい盛り上がりです。

何より私が感心したのは、世界中から集まるゲーム業界人が「よう、久しぶり!今なにしてんの?」という具合で交流し、それこそここでの出会いをきっかけに、アメリカは勿論、カナダ、フランス、イスラエル、新興の中国など、人材が縦横無尽に飛び回っているリクルーティングが行われていることでした。

その、交流の場が30年間「アメリカ」にあったわけです。これは強いです。正にある意味「ルールがここで生まれる」場であり、一番大切な「人材」が流通する起点であり、グローバルゲーム市場の中心点にあるのがこのGDCであるわけです。出国前に持っていた仮説を、あながち間違いでは無かろうと感じることが出来ました。


IMARTを日本で開く意義

先ほど、ゲームにおいてアメリカは、世界最大の
① 市場規模
② 見本市
③ 業界カンファレンス
を持つと述べました。

世界のマンガ市場は、各種リサーチで6000億円~1兆円程と言われています。そして、日本の純粋なマンガ市場は4500億円程です。様々な市場規模の考え方がありますが、いずれにせよマンガだけで日本は半分近くの市場規模を持っています。この点、ゲームにおけるアメリカと同じ立場を持っているわけです。アニメについては消費市場としてはNo1というわけにはもう行きませんが、制作において存在感を持っていることは未だ変わりありません。

① 世界最大のマンガ市場を持つのは日本である
② 世界最大のマンガ見本市を持つのは日本と言えるかもしれない(コミケ)
③ 世界最大の業界カンファレンスを日本で持てる(IMART)

コミケが見本市かというと少し違和感がありますが、世界最大規模のマンガのファンイベントではあると思います。そして、業界カンファレンスは、規模的に比肩するものはありませんでした。

日本には、マンガの世界最大のカンファレンスを開く条件が揃っていました。ここにIMARTが開かれる意義があると考えています。


IMARTのタイミング

IMARTは、事務局のリーダーに山内康裕、土居 伸彰 両氏、運営にW@KU WORKの中山英樹氏他、アニメ側のアドバイザー(私と同じ役目)に、数土直志氏、という、マンガアニメ業界のイベンターとしては、経験に優れ、非常に地力の高いメンバーが集まっています。私はそこにマンガ関連のアドバイザーとして呼んでもらいました。

以前からことあるごとに色んな方に「マンガのビジネスカンファレンスをやってみたい」という話をしていたところ、IMARTディレクターの山内氏に声をかけてもらいました。これ以上ない機会をいただき、大変感謝しています。

例えば10年前を考えても、マンガやアニメのカンファレンスについて、勿論そうした動きはあったのですが、大規模なものは少し尚早だったかもしれません。

それは、そもそもそうしたカンファレンスを行える人材がいなかったことや、座組づくりの難しさ、ビジネスや制作の現場の中に、情報を共有したり人材交流を行ったり、何より「何かしないと、海外勢や世界情勢に対応できないのではないか?」という危機感や雰囲気が、今ほど強くなかったのだと思います。

私も10年ほど前から業界向けのイベントを行ってきましたが、昨今のこうしたイベント数の増え方は、もううなぎのぼりです。今回も、同じ日に近所の自治体でアニメイベントが行われ、海外でも大きなアニメイベントが開催されています。

10年前、この規模でこんなイベントが開催出来るなど、思いもしませんでした。ずっと諦めずやり続けてきて、本当に良かったと思っています。


IMARTの狙い

さて、タイミングと座組と人材を得たこのIMARTは「登壇者の方々の知見を共有し、ここで学びを得ることによって、いま激変の時期を迎えつつあるマンガ・アニメの未来を作り出すためのそれぞれの活動に活かし、さらなる新しい可能性を生み出すことを目指しています。」と謡っています。

私が担当したのは、主にマンガ関連のセッションです。

過去、様々なマンガ業界イベントを行ってきましたが、今回は、過去の実績というよりは、ここ数年でアグレッシブな・あるいは新しい取組を行い、それが未来を見据えた活動になっている方を中心に企画を考え、登壇者をお呼びしました。詳述は次の節以降にまわしますが、簡単に、

・圧倒的な海外シェア/知名度を誇るジャンプ(MangaPlus)の海外戦略
・伸び盛りのマンガアプリ各社のチャレンジとこれから
・新人漫画家発掘も教育も、大きく変わる中での各社・各教育機関の考え
・続出する、新しいネット漫画家、工夫から活路を見出すベテラン漫画家
・マンガ業界外から来た、ビジネスや作家を支えていくニューカマー

こうしたことをテーマにしています。底流にはもちろん、「デジタル化後のマンガの世界」ということがあるのですが、それに限らない幅広いセッションになっていると思います。次節以降、各セッションの企画、なぜ今回の方々をお呼びしたのか、書いていきたいと思います。

なお、セッションの情報や、チケットお買い求めはこちらまで


リスペクト1:

IMARTは、大きく言うと「デジタル化後のマンガの世界の変化」が底流にあります。ここ10年間のマンガイベントの中で、マンガのデジタル化と言えば、鈴木みそさん、うめさん、赤松健先輩で、長くこのジャンルをリードされてきていました。

このイベントのパート2の時は、私も壇上にデータマンとしてあがったのですが、その際に「電子コミックのネタは、いつも同じこの3人がイベントに出ていて、なかなか変化がない」とお3方が憂いていました。

事実当初5年位は、漫画家の中ではこのお3方がずっとトップランナーでした。大変リスペクトしています。そして今回、お呼びしたら色々話してくださるのは判っていましたが、敢えて「変化がない」にお応えしたつもりです。

これまで、特にみそさんうめさんには、私が関係する沢山のイベントに出てきただき、感謝の念に堪えないのですが、今回は時代の変化を楽しんでいただけたらと考え、敢えて見る立場としてイベントにご招待させていただきたいと思っています。


リスペクト2:

文中、説明を簡単にするために、「こうしたカンファレンスは初」と書いておりますが、「Anime Japan(旧東京国際アニメフェア)」や「クリエイターEXPO」関連に「ブックフェア」など、機能として先んじて行われてきた先人の実績やご苦労は、痛み入って認識しており、大変リスペクトしております。

ただ、逆に同じイベントを行うものとして、今回のものが、本稿の通り少々違う切り口になっていること、タイミングや座組など、今までと状況が変わっていることも同時にご理解いただけているかと思います。言葉足らずな所がありましたら、申し訳ありませんでした。




この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
菊池健@マンガの助っ人マスケット

Twitterもやってます!フォロー、よろしくお願いします! https://twitter.com/t_kikuchi いただいたお気持ちは、マンガ関連のシステム開発に使わせていただきます!

ありがとうございます!励みになります!
19
とらのあな新規事業開発担当 マンガの助っ人「マスケット合同会社」の代表(企画・イベンター等請負) 元:トキワ荘pj、京まふ、マンガ新聞など運営。 現:トキワ荘pj/HON.jp/IMART 各アドバイザー  実績詳細:https://mapdate.net/post-0038/