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【マンガ業界Newsまとめ】 アカツキ社ウェブトゥーンPF「HykeComic」はグローバルアプリとして来春始動!など |12/26-032

マンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。SNSシェアや感想など、とても嬉しいです!

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今年8月に、CEOの香田哲朗氏がnoteで第一報を発表して始まったアカツキ社のWebtoonアプリ続報で、サービス名称を「HykeComic(ハイクコミック)」としスタートは2022年春の配信決定とのこと。

その説明で「ウェブトゥーン特化のグローバルアプリ」と謡っており、日本のマンガプラットフォームの中では気炎を吐く、最初から世界を狙ったアプリとしてスタートする気合を見せてくれています。楽しみです。

プロジェクトの進捗報告にもなる形で、以下の紹介Webサイトで作品やパートナーの募集をしています。制作途中の作品の一部も紹介されています。

テイストとしては、現在のウェブトゥーン市場の中では主流とも言える、画力重視の作品が準備されていそうですね。


こちらはLINEマンガの国際展開のニュースです。

LINEマンガが近年取り組む「LINEマンガ インディーズ」出身の作品『先輩はおとこのこ』が国内で好調とのことで、これを6ヵ国で展開予定とのこと。

ひとつ前の記事でリリースを紹介したHykeComicはグローバルアプリということを謡っており、facebookやTwitter、amazonと言ったアプリのように世界共通で動くタイプのアプリを志向しているように受け取れます。

一方、LINEマンガは“WEBTOON worldwide service”という
WEBTOON Entertainment社のもとでの国際展開の一部となるため、作品を出す国によって、その国にそれぞれ対応したアプリで展開されそうです。

海外展開においては、言語のみならず、作品内容のローカライズや、相手国に合せてマーケティングなど販売展開面に多数の課題があり、このあたりが各社によって大きく様相が変わってくるところですね。


こちらは、LINEマンガ運営のコア部分を担うお2人のインタビューです。内容的には既報のものが多いのですが、最後に「そうそうこのお話」という大事な部分が出ていました。以下引用です。

私は少年漫画黄金期を体験した漫画世代ですが、以前のような正攻法は通用しなくなっている部分もありますし、コンテンツの質もガラっと変わっています。その変化をいかに早くキャッチアップして、ユーザーのニーズに合わせたコンテンツを提供できるのか?そうした部分を突き詰めていくことが、漫画業界の発展に繋がると信じています。

正にこの議論、日本の電子書籍黎明時代から、成熟期の現在まで数多繰り返されてきた議論です。

「ユーザーのニーズに合わせたコンテンツを提供」という考え方は、ネットでものを売るのならば、最早常識とも言えるコモンセンスです。

一方で『AKIRA』『ドラゴンボール』『NARUTO』『進撃の巨人』『鬼滅の刃』等と、世界的にアニメでヒットした日本の漫画は、ユーザーのニーズを主眼とせず、作家性を最優先とし、日本独特の、マーケティング的な空気を読まない制作体制から生まれ続けています。時代を変える大ヒット作品を産むためには、基本となる前提条件です。

しかし、現在トレンドとして大きくなりつつあるウェブトゥーンは、正にこの「ユーザーのニーズ」を捉えて作られているものであり、作品の内容はもちろん、世界展開時の各国へのローカライズや、マーケティング的なはめ込み方は、この考え方が無くば立ちゆかない基本原理となっています。

個人的に、このずっと繰り返されている考え方の違い議論が、ウェブトゥーンが世界に浸透していく中でどうなっていくのか、注目したいところです。

結果が出るまでは、どちらが優れているか議論しても、誰も予想できない宗教論争のようなものだとも考えていまして、時間というか歴史がこれから証明していくのでしょう。さてさてどうなるか。


ユーザーが翻訳をするDLsiteの国際展開の仕組み「みんなの翻訳」の続報です。

開始1か月で1200人が国内外から翻訳に参加し、約300作品が販売されることになったとか。中身を見ると、一般向けから成人向けまで様々なタイプの作品が翻訳されているようです。

同人作品がほぼという同サービスの中でのこの取組ですが、将来が非常に楽しみで、沢山売れて欲しいなと思います。


今年設立したサウジアラビアの「マンガ・アラビア」が「マンガ・アラビア・ユース」という雑誌を紙と電子で創刊したとのこと。

ライセンス契約を結んでいる、小学館、集英社、KADOKAWA、講談社の大手4社から様々な作品オン提供を受け、日本では考えられない呉越同舟雑誌が販売されるようです。同時にアラビア語のオリジナル作品も連載しているようです。


スウェーデンのゲーム会社が『マスク』などの漫画を制作販売する米国の出版社「ダークホース社」を買収とのこと。ことゲーム会社が絡んでくる場合、最早、日本やアメリカと言ったコンテンツ大国以外の国が、こうしてIPを抑えてくるアクションもあるのだなというニュースです。


2021年にピッコマでよく読まれた、横、縦のマンガと小説のトップ5です。

横については、まず1位の東リベはまぁそうよねというところですが、2位に『静かなるドン』が入っており、ピッコマが新しい市場を開拓したことを如実に語っています。ちなみに私の携わるスマートニュースのマンガチャンネルでも同作がとても沢山読まれています。

縦マンガについては、やはり1位の俺レべは盤石ですが、2位の『Retry』は中国で割と昔からある作品です。3位の『最強の王様、二度目の人生は何をする?』は、北米出自と以前聞きました(これちょっと自信ないです。間違ってたらすいません。)

4位は韓国の作品ですが、5位の『4000年ぶりに帰還した大魔導士』を制作するエルセブン社さんは日本の会社です。(代表者で制作者さんでもある方が、韓国人の方なのですが、日本の漫画業界で長く仕事をされてる方です。)そうした意味では多様性がありますね。

そしてこちらは、来年伸びるだろうとピッコマが推す作品です。

『接近不可レディ』と『リバースタワーダンジョン』は最近連載開始したものだと思うのですが『テムパル』は、割と前から続いている作品ですね。最近伸びたのかしら。

こういうものをしっかり発表し、未来へ向けて推していくのは、こうした新興プラットフォームのPRの特徴ですね。ネットにおいては大事なことだと思います。


主に、出版業界向けに情報発信をする日本電子出版協会(JEPA)が、毎年業界内の様々なサービスへ送る「JEPA電子出版アワード」の結果が発表されました。

マンガ関連からは「エクセレント・サービス賞」に「ピッコマ(株式会社カカオピッコマ)」が選ばれ、「チャレンジ・マインド賞」に「FanTop(株式会社メディアドゥ)」が選ばれています。


日本テレビと資本業務提携を結んだビーグリー社のまんが王国では、2.5次元俳優たちのYoutubeチャンネルからコミックス制作を発表しました。ニュース内容だけだと、縦横は今のところ不明ですかね。

もうひとつは、世界展開をするBTSを原作にウェブトゥーンを制作し、NAVER系で展開するという内容です。国内ではLINEマンガということなのでしょうね。

ともに、今の若者に人気のあるグループのコミカライズ展開ですが、こういうものはウェブトゥーンと相性良さそうだなと感じました。BTSの国際展開はどう広がるのか興味深いですね。


海賊版サイトの運営者に対しての法規制は長い間議論され、法制化にも結び付いておりますが、こちらは別のアプローチで、海賊版サイトにネット広告を提供した企業を「著作権違反のほう助」として抑える動きです。

これがまた、先週自民党からの出馬を発表した赤松健先生による動きなのですが、自身の作品であるネギま!などをもとにこの訴えを起こし、1100万円の支払いを裁判所が命じる勝訴に至っています。

この事例は、少なくとも日本人向けに展開される海賊版サイトに対しては有効な手段と考えられ、他の作家さんからの訴えなどが横展開すれば、法規制と合わせ技で効果を表していけるのではないでしょうか。


今週のlibroさん『北米漫画市場まとめ』より

先週末にあったジャンフェスで、多くの作品新展開が発表されたこともあり、それのリアクションがいくつかニュースになったようです。

るろ剣へのリアクションが厳しいという記事について、今週は日本国内でも児童ポルノ関連でニュースがありましたが、経緯はともかく、やはりこの件に海外の目は厳しいのだなということが改めてわかりました。


Skayfall社は、少年画報社のマンガアプリ「マンガDX+」を運営する、Web広告代理店ですね。同社が、メディアドゥグループのジャイブ社が運営する「ネクストF」にも関わっていくというものです。説明からは、主に広告面でのマネタイズや獲得の強化が期待されるというところでしょうか。


ebookjapanのレーベルBLfrancの中で、VTuber漫画家「ツクルノ女渦(じょか)」氏が連載を勝ち取ったということで、その制作過程などまで配信企画としてしまおうというもののようです。

VTuberが立ち上がっていく中で、既に著名な漫画家がVキャラそのものになって配信する形は多くありましたが、この取組はキャラ付けされたVTuberそのものが漫画家自身ということで、配信を見ても楽し気です。

ちょっと九条林檎様的なキャラの方の作家さんですね。個人的には好きです。


玉石混交気味なNFT界隈ですが、鉄腕アトムのモザイクアートが5300万円相当で落札されたというものです。アートとNFTの相性は良く、こうした形で日本のIPが参加することは歓迎できるかなと思います。

ただ、日本において、この5300万円相当の暗号通貨120ETH(イーサリアム)を、日本円に変えようとすると大きな税金がかかりますので、そこは要注意ですね。一説によると半分になるくらいとか。


こちらもNFT関連ですが、先の記事でJEPAの電子書籍アワードでも受賞した、メディアドゥ社のFanTop上での商品ですね。北斗の拳の世界観の中にVRゴーグルから入り込んで、作品を読んだり、ミニゲームで敵キャラと戦うことが出来るというもののようです。

しかし、北斗はほんとに様々なサービスの先兵となりますね。まさに世紀末覇者の覇気です。


縦横両方経験したベテラン編集者さんが「ウェブトゥーンの教科書」というnoteを始めました。作る側目線でウェブトゥーンについて発信される記事はまだまだ稀少ですので、続きが楽しみです。

ウェブトゥーンスタジオの勃興期で、多くの編集者が未経験者を含めて育って行く中で、その指針となる編集者向け教科書となったら良いですね。


と、言ったそばからですが、3D制作やコンテ(ネーム)の構成など、クリエイター寄りで詳しく書いているフーモアコミックスタジオさんの記事です。要約しずらいノウハウものですので、ともかく本記事読んでください。


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本まとめは、主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに別途特集を書きます。マガジンTwitterのフォロー、よろしくお願いします。

おかげさまで今年は、32回も書くことが出来ました。こうしたことを続けることが苦手な私としては、出色の継続です。読んでくださった方々のリアクションが励みで続けることが出来ました。誠にありがとうございます。

また、来年はこのNewsまとめの枠組みで、他のnote発信者の方とコラボで新しいことをやっていこうと考えています。開始の際はまたこの記事上でご紹介させていただきます。

ということで、2021年は本noteのご愛読、誠にありがとうございました。
皆様良いお年をお迎えください。
2022年もよろしくお願いいたします!






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