JT重力をやってみよう

個人的なメモを兼ねて、Jackiw-Teitelboim重力理論(JT重力)についてまとめていこうかなと考えています。なお、重大な誤りや計算間違いがある可能性があります。
参考文献はMertens, Turiaciのレビューで、和訳しながら行間を埋めつつやっていこうという感じです。

JT重力はディラトンと呼ばれるスカラー場と結合した、最も単純な2次元の量子重力の模型です。この模型は多様体のトポロジカルなデータと境界のゆらぎのみに依存するトイモデルではあるものの、ブラックホール解を持ち、ホログラフィーにおけるワームホールやブラックホール情報喪失問題などを考察するために役立っています。

本稿で考える模型は負の曲率を持つ最大対称な2次元時空$${\mathrm{AdS}_{2}}$$であり、以下のような作用を持つものです。

$$
I_{JT}[g,\Phi]=-\frac{1}{16\pi G_{N}}\int_{\mathcal{M}}d^{2}x\sqrt{g}\Phi(R+2)-\frac{1}{8\pi G_{N}}\int_{\partial \mathcal{M}}du \sqrt{h} \Phi(K-1)
$$

考える多様体を$${\mathcal{M}}$$とし、その境界を$${\partial \mathcal{M}}$$で表してあり、$${R}$$をスカラー曲率$${K}$$を外曲率、$${g_{\mu\nu}}$$をEuclid化された計量、$${g}$$をその行列式、$${h}$$を境界上の誘導計量、$${u}$$を境界に沿ったパラメータ、$${\Phi}$$をディラトンとしています。またはトポロジカルとなるEinstein-Hilbert作用も含めて全体の作用を

$$
\begin{align*}
 I[g,\Phi]=&-\frac{S_{0}}{4\pi}\left(\int_{\mathcal{M}}d^{2}x\sqrt{g}R+2\int_{\partial \mathcal{M}}du\sqrt{h}K\right)\\
&-\frac{1}{16\pi G_{N}}\left(\int_{\mathcal{M}}d^{2}x\sqrt{g}\Phi(R+2)+2\int_{\partial \mathcal{M}}du\sqrt{h}\Phi(K-1)\right)
\end{align*}
$$

とします。なお、ここではLorentz的な時空では平坦な計量を$${(-,+,…,+)}$$とし、作用を$${S}$$で表し、Euclid的な時空では計量を$${(+,…,+)}$$として作用を$${I}$$で表すことにします。

詳細は次回以降の記事で書いていこうと思っています。なるだけエタらないようにするのでよろしくお願いします。

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