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妊娠日記11 彼とはじめてお金の話

今朝も5時半に起きてしまった。夢を見ていた。

すこし離れたバス停に和子ちゃん(祖母)の小さな姿を見つけて「行かないで、淋しい、待って!」と夢の中で走りだし、実際に体が動いて目が覚めた。
心臓がひどくドキドキしていた。

その動悸が呼び水となったのか、目覚めた瞬間、私のなかの恐れが一緒に呼び起こされた。

彼との関係が変わってしまうことへの恐怖。
自分の意思とは関係なしに容姿がどんどん変わってしまう恐怖。
出産の壮絶な痛みへの恐怖。


正直なところ、いまは産んだあとのことなんて全然考えられない。
産んだあとのほうがずっとずっと人生の時間は長いのに、産むに至るまでの不安と恐怖でいっぱいで、私の想像力はそこまでしかいきたくない、と言っている。


「母親」という今までの私とは違う生きものになってしまうまで、あとたったの8か月。
人生で、誰の親でもなくただの娘でいられる時間が、あと8ヶ月しかないなんて。


正常に妊娠しているかもわからないしまだ産院は調べていないのだけど、いまのところ1番の希望はコロナでも立ち会いや面会ができるところ。
それを彼に伝えたら、あんまりなさそうだけど探してはみるね、という返事。

勘違いかもしれないけれど、っていうか実際私の受け取り方の問題なのだろうけど、なんだか「立ち会いは想定してなかった」みたいな、消極的なニュアンスを彼から感じて、勝手にショックを受けた。

私としては
「1人なんて絶対に無理だし立ち会い以外あり得ないでしょう、なのに私一人で出産に立ち向かわせる可能性を普通に考えてたわけ?!」
と思えたのだ。
そしてちょっと険悪なムードになり、泣いてしまった。
不安なせいか、ここ数日すぐ泣いてしまう。


夜は万季さんの妊活マタニティー講座や、12人産んだ助産師さんの動画を見ながらごはん作りとあと片付け。
2人とも陽でおおらかでハッピーな感じでいい。

普段はすごくポジティブなのに、何かと思い詰めやすい、いま。
自分の気持ちが楽になるような情報に絞って接するのが、やっぱりいいよね。
「妊婦生活楽しかった♪」という人の話を積極的に見聞きしたい。


夜、会食終わりの彼から電話。
忙しくても、すこしでも時間があったら電話をくれてうれしい。

「杏奈は子どもが生まれたら専業主婦になりたい?それともお仕事続けたい?」と聞かれて、なんかそういう話をする仲になったんだなあと思った。
はじめて二人で具体的なお金の話をした。

彼に私がどれくらいのお金を得ているかは今まで話したことはなく。
私も、彼の仕事は知っているけれど収入と支出については関知していない。

お金に関して知識もなければ無頓着の無計画、どんぶり勘定で生きている私にとって具体的なお金の話って苦手であり、「よくそんなことでやってられるね」と人からは呆れられるレベルだと思う。
とくに私はフリーランスで産前産後の保証はないし、何ヶ月も無収入になる可能性だって高い。

でも経済についてビクビクしながら進んでもよくないし、彼も「不安なことがあったら何でも言ってね」と言ってくれたので、彼のリードに導かれるかたちで現状を話した。

やっぱり学生時代から8年会社をやっている彼はお金周りのことはよくわかっているし、私の現状や産前産後の仕事のしかたの希望(といってもまだ漠然としており、なにも具体的なことは言っていないけど)を聞いたうえで、「お金は何とかなるよ」と言ってくれた。

会社を経営しつつ他社のコンサル経験もあるし、「杏奈の産後の仕事についても力になれると思う」と言ってくれた。

自分の苦手分野が強い人とつがいになるとほんとうに楽だし、安心……。
お金とかビジネスはそれが顕著に出るので、ますますそう思う。


前から思っていたけど、彼は男性性と女性性どちらも強いと思う。

学生で起業して以降数々の修羅場をくぐり抜けてきたからか、彼は今回の妊娠に関してもまったく動揺していなくて(すくなくとも動揺を私に見せることはなくて)、
決めるべきこと・考えるべきこと・調べるべきことを冷静に淡々と処理していってくれる。

でもちゃんと愛情いっぱい、気持ちを寄り添わせながら進めてくれて、それがとっても心強くて、安心。
この人でよかったなあと思う。

それから、今どんなことに不安を感じているかを話した。

(長いのでつづく)


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