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『「家族の幸せ」の経済学』読書メモ:家族の神話をデータで正す

作者:山口 慎太郎
ページ数:264
出版社:光文社


読んだきっかけ

実は再読本。今回、noteの「#読書の秋2020 」キャンペーンをきっかけに再読した。
当初はAmazonのKindleセールで安かったのが買った理由だったはず・・・まだ家庭を考えるような状況ではないけど、もともと経済学にも興味があって。


ざっくり要約

・結婚、育児、離婚に関する研究を紹介
・データで見てもやっぱり美男美女はモテる
・異性の多い職場で働いている人は離婚しやすい
・母乳育児にそこまで大きなメリットは無い
・育休期間はキャリア面で1年がベスト
・育児は母親がやらなくても子供はしっかり育つ
・育休で会社の目を気にする父親は世界共通だった
・幼児教育は長期的な効果は無い
・むしろ情操教育のほうが長期的な効果あり
・親の離婚と子供への悪影響には「相関関係」が見られる


感想

しっかりとデータ・根拠を参照して着実に論じている。突飛な展開にはならずに安心して読めた。そんなに固い文章でもなくて、平易で分かりやすく読みやすい。身近なトピックを客観的なデータで切り込む本書の趣旨は興味深かった。個人的に印象に残った部分をピックアップして語りたい。


母乳育児
データによれば、母乳育児と粉ミルクで育てるのに効果は大差ないらしい。
たしかに母乳育児には効果があるけど、それは短期的なものみたいだ。具体的には幼児の胃腸炎と湿疹にかかる割合乳幼児突然死症候群の発症率が減少するというもの。そして効果の期間は生後1年間のみ

そのほか肥満・アレルギー・知能発達・問題行動には粉ミルク育児と比べて効果の大きな差はなかったとのこと。僕が中学生の頃、学校の授業で「母乳は幼児の身体に良い」と習った記憶がある。免疫が強くなるんだったような?それだけにこのデータは驚いた。

この話を受けて思い出すのが、今年で3歳と1歳になる姪っ子についてだ。姉(つまり姪っ子の母親)は母乳と粉ミルクを組み合わせて育ててたみたいなんだけど、手動搾乳機を大変そうに使っているところを見たことがある。なんでも手が腱鞘炎を起こして辛かったとか。というエピソードもあったから、母乳育児の効果のデータを読むと「そんなに無理して母乳育児しなくてもいいんじゃ?」と感じた。(最終的に自動搾乳機を姉へプレゼントした)

本書では「最終的な意思決定は母親がするべき」という落とし所にしている。まぁそうだよね。自分の子の育て方は自分で決めるべきだ。でもデータや事実を知らなければ、そもそも選択肢に出てこないわけで。僕の姉も知っていれば腱鞘炎にならずに済んだのかなーとか思ったり。こうした客観的なデータが広まって、世のお母さんの選択肢も広がるといいなと思う。


更新されにくいバイアス
本書のトピックである結婚・育児・離婚は、なぜそもそも思い込みやバイアスが根強いんだろうか?僕が考えるに、これら話題は非常にプライベートで、閉じられた性質であることが原因だと思ってる。

こういう話って、やっぱり誰でもかれでも話さないし、信頼する人・親しい人にしか話さないんじゃないかと思う。それだけに新しい知識が入りづらく更新されにくい。これが結果的に思い込みやバイアスを生んでいる原因じゃないかと。

あと親とか上の世代からの刷り込みもあるんじゃなかなと思う。教育や普段の生活から知らず知らずに影響を受けたり。だから思い込みから解かれるために客観的なデータに触れて、知識を更新していくべきだなーと読んで感じた。


データは判断材料にしかすぎない
ここまで「データ見るのメッチャ大事!」と伝えてきて矛盾するようにも感じるんだけど、データはあくまで意思決定の材料にしかすぎない。本書のあとがきでも著者もこう述べている。

何が真実で、何が「神話」であるのかを明らかにしてくれますが、科学的根拠だけで、私たちがどう生きるべきかを決められるわけではありません。
(中略)
科学的研究は、私たちがよりよい選択をする上での助けにはなりますが、「何が自分にとっての幸せなのか」までは教えてくれません。
あなた自身の価値観に従って、科学的根拠を知った上で、ご自身と家族の幸せを考えてみていただきたいと思います。

客観的に考えるための強力なツール」ぐらいに捉えて、データとの適切な距離を取りたいところ。

データとの付き合い方、データ活用の考え方はプライベートのみならず仕事でも使えると思う。仕事でのデータとの向き合い方については、柏木吉基『武器としてのデータ活用術』の読書メモも投稿してるので、興味があれば読んでみてほしい。

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