女王の終幕(中間)

昔はもう少し書いたお話について1エピソード終わるごとに何か書いていたんですけれど、いまじゃすっかりツイッターでぽろぽろ零すだけになってしまってしまったなぁと反省しつつ。3巻も出たし、女王の終幕も後半に入ったのでここで3巻と終幕の前半と後半これからについて少し。

前作の裏切りを書き終えたのがもう十年以上になります。女王をきっかけに読もうかなーと思われる方もいらっしゃるかもしれないんですが、文章等が年数分古いので若干読みづらいし設定も随分甘いと思います。その点にはご留意を。それでも書き終えたとき、たくさんのお言葉を戴けて、そのおかげで生み出されたものが女王でした。まさか十年以上付き合うことになるとは思ってませんでしたがね……。

今回、女王の商業の3巻ですが、色々遊ばせてもらいました。3巻で裏切りについて触れているのは、後半のロウエンの科白が初見の方でも意味が通るように、という意図があってですし、あの終わりを迎えるアリシュエルの未来には、少なくとも親しい誰かが傍にいる、という示唆のためで、初見の方向けの意味をきちんと持っているんですが、それでも古くから、それこそ女王の生まれから見守ってくださった皆様、また女王だけでなく前作にまで手を付けてくださった方々が少しにやりとできるものであったらうれしいです。

さて、10年もあると色々あり、何度か筆を折りかけているため、3幕のときも触れましたが終幕、いやー書き出せてよかったなぁーマジ。3幕までそもそもいきつけるかも怪しかったので。

女王の終幕前半は長らく揉めていた教会の話になりました。これはちょうど3巻のアリシュエルのバイラムがまず最初の前振りで、ペルフィリアのことも絡めて、宗教と政治とそれを維持するための「正当な血統」とその道具として使われた女たち、男たちの話の亀裂の話でした。レイナはアスマのいなかったダイで、ダイに出会わなかったマリアージュで、もうひとりのアリシュエル。レイナの最後どうなるかなーって書きながら思っていたら、なんか生き残りましたね。よかったよかった。話題にはなっても、主だった出番はもうないと思いますが、彼女はきっと本当の意味で聖女として歩き始めるかもしれないです。

間幕は終幕で書きたいなーと思っていたところだったので、予告にもいくつか断片が出ていますね。ディータは実は空白の3年もちゃんとペルフィリアの仕事をしているんですけれど、この人マジ仕事量尋常じゃないから早く妻を愛でるだけの仕事をさせてあげたい。

これまでダイたちが歩いてきた道をひとつひとつ広いながら、広げた風呂敷を閉じていく話です。間章、ちゃんとダイに化粧をさせてあげられてよかったなって思っています。本編中の化粧はあと1回です。

終幕後半、まぁ、単純な殴り込みですけれど、過去にやりたかったことを、いま、改めて手札を揃え直して、もう一度していく。そんなお話です。派手さはないかもしれないんですが、淡々と自身の化粧と身の振りだけを考えていればよかった職人と、泣いて喚くことでしか自分の存在を訴えられなかった女王候補と、圧倒的な叡智も美貌も備えながら、自身にあらゆるものを失わせた節理に怨嗟を抱えていた青年が、自分の手札すべてを駆使して手に入れるもの、その変化。これはミズウィーリ家で出逢った三人の物語の、ひとつの確かな終わりなんだなって思えるものをお届けできればと思っています。

せっかくだからなんかずいぶん前に書いたもの、もっかい書いておきますかね。

この物語を書く前、まず頭にあったのは、血にまみれたぼろぼろの玉座の間、空白の玉座を挟んで立つ一組の男女でした。ひとりは王に顔を献じる化粧師、もうひとりは王に道を敷く宰相。空白の玉座に誰が座し、彼らが何を選び取っていくのか。

あと文庫本2冊ほどでしょうか。出来れば最後までお付き合いいただけますと幸いです。


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