タワマン住民は、本当に「お金持ち」なのか?分譲と賃貸の大差

タワーマンション(以下、タワマン)に住む人は「富裕層」のイメージがありますが、本当に「お金持ち」なのでしょうか。どのような家計の財務状況で、どのような生活をしているのか、その実態に迫ります。

2年後、また別のタワマンを購入したワケ
2年前に初めて都内湾岸タワマンに2LDKの部屋を購入した田中(仮名)さんは、隣駅で同じ2LDKの駅近タワマンも購入し、移り住むことにしたそうです。

「今の部屋も子供の保育園も近いし悪くないのですが、将来的な資産価値を考えて、駅近のタワマンを購入しました。今、住んでいる部屋は、売りに出します。まだ新しく、人気のタワーなので、相場的には“売り時”とも考えて決めました」(東京都/35歳/会社員)

タワマン以外の選択肢はなかったのでしょうか。

「近くにタワマン以外のマンションもありましたけど、たいして価格は変わらないですよ。それだったらタワマンのほうがいいかな、と思いました。なんだかんだゴミ捨てとか楽ですし、近所づきあいの気苦労もないし、水回りとかもひとつひとつしっかりしてますよね。故障とか、何かあったときの管理も行き届いていて安心です」

住民の間で、いわゆる上層階による下層階へのマウンティングがあるとの話も聞きますが。

「マウンティング、別にないですよ。保育園で同じマンションの人がいると“あー、同じですね!”となるくらいで。住民が多いので、共有施設を利用して、父母会を開催したこともありますが、みんな仲良しです」

“みんな仲良し”なのに、なぜ引っ越したいと思うのでしょうか。

「街として、隣駅のほうが格上な感じがするのと、やはり駅近に住みたかったからでしょうか。仲良しといっても、“そのコミュニティから離れたくない”という感覚はありません。むしろ、タワマンからのほうが離れられないですね。今回、売却からの購入でスムーズに話が進んでいるので、その資産価値も改めて感じています」

年収は高かったが、「購入」はできず…
タワマン購入層は、資産家、富裕層であることが見受けられましたが、賃貸層はどうでしょう。都内湾岸のタワマン中層階に分譲賃貸で住む久嗣さん(仮名)は、「家賃は払えるが、購入できる信用はない」と言います。

「今住んでいる分譲賃貸の部屋、オーナーが売りに出すというので“買わないか?”という話はあったんです。聞いてみると、月々の支払いも、今払っている額より安い。毎月30万円近くを家賃で捨てているんだなと改めて感じて、フルローンで購入を検討したのですが、頭金はいらなくても、初期に必要な金額って結構かかるんですね。貯金はあまりなかったし、融資担当から“もう少し余裕を持ったほうがいい”と諭され、諦めました」(東京都/38歳/会社員)

同じ「タワマンに住む」のならば、賃貸よりも分譲のほうがいいのでしょうか。

「振り返ってみると、タワマンに住みはじめた当時はフリーランスだったので、年収は高かったけど、“購入”するのは無理だったんですよね。住めるだけで、うれしかったものです。審査が通ったときは喜びましたから。しかも分譲賃貸だと、普通の賃貸では使えない共用施設が、購入したオーナーと同様に使えるんですよ。その分、割高ですが、分譲賃貸って仕組みのおかげで、タワマン生活を満喫できています。なので、どちらがいいかというのは一概には言えません。賃貸は損得でいうと損かもしれませんが、そもそも住めないはずの部屋に住めたという意味では、得した気分でもあります」

買えるならば、今の部屋を欲しいと思うのでしょうか。

「購入するならば、別のタワマンがいいですね。最初は“タワマン”ってだけで価値を感じていましたけど、住んでみると、やはり違いが見えてきます。共用施設とか、交通の利便性とか、諸々。周辺のタワマンを、休日に内覧で回ってみたこともあります。住んでみて、比較してみて、“ここは良さそう”とか、“ここなら今のほうがいい”とか、ありますね。実際、他のタワマンは価格が下がってるところもあるけど、“良さそうだ”と思ったタワマンはむしろ上がってるんです。余計に“欲しいな”と思いますよ」

タワマン以外の選択肢はないのでしょうか。

「“住む”ということを考えるとタワマンは本当にいいですね。買えたら買いたい。買えなくても、借りて住み続けられるのならば、他に住むよりそれもいいかなと思います。とにかくゴミ出しとか買い物とか、生活動線がすべて楽でストレスなく過ごせます。隣人の騒音もまったくないですし。ただ、お金は貯まらないですよね。高いから。“住”の快適さに振り切ってますよ」

同じタワマン住民でも、分譲と賃貸では、家計の財務状況や生活ぶりは異なるようです。少なくとも、「タワマンを所有している」というのは、大きな資産と言えるでしょう。とはいえ、住宅ローンという大きな負債を同時に抱えることになるので、「価値をどう見るか?」の判断と言えそうです。



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