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Instagram利用規約の改定内容まとめ

Instagramの利用規約が2020年12月20日に更新されます。instagramユーザーには、次のようなメールが届いているかと思います。

このたび、Instagram利用規約につきまして、明確化のため内容を一部改定することになりましたのでお知らせいたします。改定後の利用規約では、Instagramで許可されていることおよびInstagramのサービスの仕組みに関する記述がわかりやすくなります。改定後の利用規約は2020年12月20日から有効になります。この日以降にInstagramアプリをご利用いただいた場合は、改定後の利用規約にご同意いただいたものとさせていただきます。

この中に、「Instagramで許可されていることおよびInstagramのサービスの仕組みに関する記述がわかりやすくなります。」という一文があります。

このような利用規約の変更点は、企業アカウントを運用されている方であれば気になる事項ですよね。実際どう変わったのか、以下にまとめてみましたのでご参考にしてください。

(ちなみに、Facebookの利用規約も今年10月22日に更新されています)

Instagramの利用規約の構成

Instagramの利用規約は、以下のような構成になっています。現在の利用規約は2018年4月19日が改定日ですので、2年半前くらい運用されています。今回の改訂でも、その構成は基本的に変わっていません。

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上の表では、今回大幅に変更あるいは追加された箇所をオレンジ色に、部分的に変更された箇所をピンク色にしました。変更された箇所を見ていきましょう。


追加された項目:弊社サービスの資金援助

今回の改定で新たに設けられた項目です。英語では、How Our Service Is Fundedであり、これを日本語訳にしたタイトルになっています。

つまり、Instagramサービスの提供を可能にするための資金確保手段に関する説明です。すでに利用規約内の「Instagramサービス」や「Instagramデータに関するポリシー」の箇所で説明がありますが、今回の変更では独立して掲載されています。内容は以下のとおりです。

・利用者に広告配信に同意を求め、取得した個人データを広告に活用することを宣言

利用者は、本規約が対象とするサービスを利用することで、Instagramを無料で利用できる一方、弊社から広告の配信を受けることに同意するものとします。これらの広告は、ビジネスや組織がFacebookグループ企業の製品の内外で宣伝するために広告料を支払って行っているものです。 弊社は、利用者にとって関連性が高い広告を配信するため、利用者のアクティビティまたは興味・関心に関する情報などの個人データを使用します。

・広告主との関係(利用者の身元を特定する情報を提供せずに、広告配信を実現する方法の説明)

弊社では、利用者の身元を特定する情報を広告主に提供することなく、関連性の高い有益な広告を配信することが可能になっています。弊社が利用者の個人データを販売することはありません。 広告主は、ビジネスの目的および広告の配信を希望するオーディエンスの種類を弊社に知らせることができます。 この情報をもとに、弊社は関心を示す可能性のある利用者に広告を配信します。
また、弊社はInstagram内外で利用者が広告主のコンテンツに対してどのようなアクションを実行したかを広告主が把握できるよう、広告のパフォーマンスに関するレポートを広告主に提供します。 広告主には、例えば、設定したオーディエンスについての理解を深めることができるよう、一般的な利用者層データや興味・関心の情報が提供されます。 ただし、弊社は、利用者の明確な許可を得ずに、利用者を直接特定する情報(氏名やメールアドレスなど、それのみで利用者への連絡に使用できる、または利用の身元が特定される情報)を共有しません。

・ブランドコンテンツ(広告など)を利用者の画面に表示させる宣言

Instagramでは、製品やサービスを宣伝するアカウント所有者により投稿されたブランドコンテンツが利用者に表示されることがあります。これらの表示は、そのコンテンツにおいて言及されているビジネスパートナーとの取引関係に基づいて行われます。

広告配信をしている企業からすれば、至極当然の内容ですが、ユーザーにもしっかり説明しようとする意図が伝わってきます。これが、冒頭の案内メールにある「Instagramのサービスの仕組みに関する記述がわかりやすく」が示している主な内容だと思われます。


変更された項目:利用者による誓約

・Instagramで禁止されている行為

もともと、利用者が遵守するべきポリシーとして、「Instagramコミュニティガイドライン」「Instagramプラットフォームポリシー」「音楽ガイドライン」を挙げていましたが、今回の改定では、「Instagramコミュニティガイドライン」「Facebookプラットフォーム利用規約および開発者ポリシー」「音楽ガイドラインなど」に変更されます。

また、次の条項が追加になっています。

ブランドコンテンツを投稿する利用者は、Facebookのブランドコンテンツツールの使用を義務付けるFacebookのブランドコンテンツポリシーに準拠する必要があります。

ちなみに、2020年8月31日にInstagramプラットフォームポリシーは、Facebookプラットフォーム利用規約および開発者ポリシーに統合されています。これに伴う表記の変更です。Instagramの広告主にも、Facebookのルールに準拠させる意図が示されています。

この他にも、

FacebookまたはFacebookのサービスから取得されたアカウントやデータを販売、ライセンス供与、または購入してはなりません。
Facebookの製品またはそのコンポーネントについて、改変、翻案、派生物の作成、リバースエンジニアリングを行ってはなりません。

といった内容がユーザーの禁止事項として明記されました。


・弊社に対する利用者の許可

次の記述が追加されています。

利用者はご自身のコンテンツを、誰とでも、好きな場所で自由にシェアすることができます。ただし、弊社はサービスを提供するために、利用者から一定の法的許可(一般的に「ライセンス」と呼ばれる)を得る必要があります。

これは、これまでに規約にも記載のあった、次の項目を説明するために補強されました。

利用者がサービス上で、またはサービスに関連して、知的財産権の対象となっているコンテンツ(写真や動画など)をシェア、投稿またはアップロードする場合、利用者は、弊社が(利用者のプライバシー設定およびアプリ設定に沿って)利用者のコンテンツをホスト、使用、配信、変更、実行、複製、公演、公開または翻訳し、またその派生作品を作成できる、非独占的、使用料なしの、譲渡可能、サブライセンス可能な、全世界を対象としたライセンスを弊社に付与するものとします。


追加された項目:コンテンツの削除およびアカウントの停止または終了

この大項目自体はこれまでの規約にもありましたが、以下の記述が大幅に追加されています。

弊社はまた、弊社に対する法律上または規制上の悪影響を回避または軽減するために合理的に必要であると判断した場合、本サービスを終了または変更したり、本サービス上でシェアされたコンテンツや情報を削除またはブロックしたり、サービスの全部または一部の提供を停止したりすることができます。何らかの誤りによりアカウントが取り消されたと思われる場合、またはアカウントを停止または完全に削除したい場合は、ヘルプセンターをご覧ください。コンテンツまたはアカウントの削除依頼をいただいた場合、ご依頼後30日以内に削除処理が自動的に開始されます。 削除処理の開始後にコンテンツが削除されるまでには、最長で90日かかります。 このようなコンテンツの削除処理が実行されている間、そのコンテンツを他の利用者が見ることはできなくなっていますが、本利用規約および弊社のデータに関するポリシーが引き続きそのコンテンツに適用されます。 コンテンツの削除後、それをバックアップと災害復旧システムから除去するまでには、最長で90日かかります。
以下の場合、コンテンツは、アカウントの削除またはコンテンツ削除処理の開始から90日以内に削除されません。
そのコンテンツを他者がライセンスに基づき引き続き使用しており、削除していない場合(この場合、当該コンテンツが削除されるまでこのライセンスは引き続き適用されます)
弊社システムの技術的な制約により、90日以内に削除することが不可能な場合(この場合、弊社は技術的に可能な範囲で速やかに削除を完了させます)

このように、削除を依頼されてから、実際のデータが削除されるまでのプロセスやリードタイムを明確に記載しています。


変更された項目:利用者の同意事項および同意いただけない場合に関する事項

・紛争の解決方法

現在の規約には、

利用者が消費者に該当する場合、本規約に起因または関連して弊社に対して行う何らかの請求、申し立ての提起、または紛争(以下「請求」)については、利用者の居住国の法律が適用され、その請求は、当該国における当該請求の管轄裁判所で解決することができます。
その他のすべての場合、請求の解決は米国で専属的に解決することに同意し、抵触法の規定にかかわらず、当該請求は、カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所、またはサンマテオ群に所在する州裁判所のいずれかでのみ解決すること、当該請求に関する申し立てを行う目的において、上記のいずれかの裁判所の対人管轄権に従うこと、本規約や請求は、カリフォルニア州法に準拠することに同意します。

とあります。ここに今回の改定では、以下の内容が追加されてます。

上記の規定に制限を課すことなく、利用者は、不正にFacebook Inc.の製品を濫用する、または不正に弊社の製品に干渉する、もしくは関わる取り組みに対して弊社が有する利用者に対する請求を、弊社がその独自の裁量により、当該請求に対する管轄権を有する利用者の居住国にて提起することもできることに同意するものとします。

つまり、Facebookに訴えを起こす場合には、米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所か、サンマテオ群に所在する州裁判所でのみとし、Facebookが訴えを起こす場合には、どこでも提訴することを可能としています。


まとめ

以上のように、今回の規約改定を通じて、利用者に広告を配信する必要性の説明、問題のある投稿を削除する際の処理手順や個人データの運用状況の精緻な開示を進める姿勢が見て取れます。

今年6月には、大手広告主が続々と出稿を停止する事案が発生しました。これは暴力の肯定や偽情報の拡散、差別助長につながる投稿を看過している運用状況に対する批判の広がりが原因でした。また、大統領選挙においても、発信内容の中立性に疑問が投げかけられもしています。このような事象が、今回の規約改訂にも色濃く反映されています。

企業のInstagramアカウントの運用に大きな影響を及ぼす内容はありませんが、しかし、利用規約のユーザーに説明する内容や要求する条件を通じて、プラットフォーマーの方針の変化や注力しているポイントを推し量ることができるのではないでしょうか。


ループス・コミュニケーションズでは、InstagramやTwitterをはじめ、各プラットフォームのアカウント運用支援を行っております。まずはお気軽にお問い合わせください。


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【書いた人】
福田 浩至
株式会社ループス・コミュニケーションズ副社長、博士(情報管理)

多数の企業にて、ソーシャルメディアの効果的かつ安全な運営を支援しています。 特に、企業のソーシャルメディア活用におけるルール「ソーシャルメディア・ポリシー」策定や啓蒙教育など積極的な守りの仕組みづくりが専門領域です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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