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新型コロナ影響下での葬儀

世界で猛威を振るう新型コロナウイルス(COVID-19)。この新型コロナウイルスの早期終息に向けて、各国ではさまざまな規制や対処が実施されています。日本でも新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、2020年4月全都道府県に「緊急事態宣言」が発令され、 密閉・密集・密接といった「3つの密」を避けるべく、さまざまな規制や自宅待機の要請が出されました。

新型コロナウイルスによる影響は葬儀の現場にものしかかり、多様化している葬儀や供養にさらなる新しいスタイルが求められ、実施されています。この記事では、新型コロナウイルスと葬儀や供養の現状について解説します。

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響下にある日本では葬儀ができないって本当?

結論から述べると、新型コロナウイルスの影響下においてもお葬式/葬儀を実施することは可能です。ただし、お葬式(葬儀、告別式)をあげるには「3つの密」が避けられ、新型コロナウイルス感染予防策が施されていることが求められます。ここからは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響下でお葬式/葬儀を行うにあたっての注意点を列挙します。


  • 新型コロナウイルス感染予防策の徹底
    マスク着用と入場前に手指の消毒が必須。そのほか、石鹸による手洗い、うがい、咳やくしゃみに対するエチケットの徹底。日頃から十分な睡眠と栄養摂取をしましょう。

  • 自身の体調管理を最優先に
    発熱や体の不調の場合、また、過度の疲労や睡眠不足も新型コロナウイルスを含め、一般的なウイルスに対して感染リスクを高めるため、これらの場合は自宅にて療養するようにしましょう。

  • 緊急事態が発令されている都市からお葬式/葬儀への参列を自粛する
    緊急事態が発令されている都市からお葬式/葬儀への参列は、新型コロナウイルスの感染を拡大させる恐れがあります。新たなクラスターを発生させることを防ぐためにも自粛するようにしましょう。

  • 少人数、短時間での葬儀
    家族葬といった施主や親族など10人程度での葬儀、一日葬や直葬などで葬儀を実施するようにしましょう。

  • 新型コロナウイルスの感染終息後にお葬式を行う
    火葬だけを行い、新型コロナウイルス感染終息後に改めて、きちんとしたお葬式や供養を行う後日葬儀を実施しましょう。

  • 会食なし
    火葬中の会食は行わない。水分補給は各自で用意しましょう。

  • 待合室使用時における感染予防対策の徹底
    火葬中、待合室に留まらず、利用する場合は間隔をあけて着席し換気を行いましょう。飲食は厳禁です。

  • お気持ちは参列しない別の方法を検討
    お葬式に参列できないことが多いため、郵送などでお気持ちを届けるようにしましょう。


新型コロナウイルス(COVID-19)感染症で亡くなった場合の葬儀はどうなるの?

故人の遺体を火葬するための火葬炉


新型コロナウイルスによる感染症で亡くなられた国民的コメディアン・志村けんさんの出来事はまだ記憶に新しいでしょう。
新型コロナウイルスで亡くなられたあと病院から火葬場に運ばれ、ご遺骨となってご家族の元に戻られました。新型コロナウイルスの感染防止のためとはいえ、ご家族や親しい間柄の人にとっては、非常に残念なお葬式となってしまいました。
新型コロナウイルス感染で亡くなられた方の葬儀は火葬です。通常、人が亡くなって24時間は火葬してはいけませんが、新型コロナウイルスの場合は感染防止の観点から24時間以内に火葬することができます。これは、新型インフルエンザ等の感染症に関する対策ガイドラインを参考としており、そこには感染症法第30条第2項で「このような病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある遺体は、原則として火葬すること」と定められています。

そのため、先日新型コロナウイルスで亡くなった志村けんさんのみならず、新型コロナウイルス感染症で亡くなった方は直葬での葬儀になります。

ただし、厚生労働省は24時間以内の火葬は必須ではなく、新型コロナウイルス感染拡大防止の対策を講じて支障がないといった際は、通常の葬儀を実施することも可能と発表しています。遺族の意向などをできる限り尊重して葬儀を行う必要があると述べているため、葬儀の仕方は、各自治体や葬儀社によって多少の違いはあると考えられます。


新型コロナ(COVID-19)感染症で亡くなった方の火葬後の遺骨・遺灰から感染するリスクはある?

ご遺体に新型コロナウイルスが残っている可能性はあると心配されるかもしれませんが、100℃以上にさらされたウイルスは失活するため、火葬後のご遺骨から新型コロナウイルスの感染は起きません。しかし、拾骨も家族ではなく、葬儀社が行うことが多いのが現状。その理由は、葬儀は3つの密になりやすい点と、ご家族の中には濃厚接触者となる方がいるかもしれないという点。新型コロナウイルス感染拡大を防止する策として拾骨は家族以外が行うと講じている自治体、葬儀社が多数あります。

人の最期と言う大事な場に置いて、新型コロナウイルス感染者が増えてしまうのは本末転倒。従来の葬儀や供養を執り行わないことは不本意ながらも現段階では致し方ないと考えるご遺族が多く、葬儀関連事業者とご遺族双方において、葬儀や供養への協力体制ができていると言えるでしょう。

新型コロナ(COVID-19)の影響で変わりつつある日本の葬儀・供養方法

新型コロナウイルスの急速な感染拡大を受けて「医療崩壊」と言う言葉を耳にしたことがあると思いますが、進行が極めて早い新型コロナウイルスの影響で、医療だけでなく「葬儀崩壊」へと続く国も出ています。

アメリカでは、新型コロナウイルスの感染者数ならび死者数が非常に多く、医療崩壊に続く、葬儀崩壊が起きつつあると報じられました。 冷凍トラックが一時的なご遺体の安置所になるなど、施設や備品、スタッフが現状の死者数に対して大きく不足している状況なのです。

日本では、こうした新型コロナウイルスの影響による葬儀崩壊を起こさないためにも各自治体や葬儀者が対策を講じているため、葬儀や供養方法が新型コロナウイルスの影響によって変化しています。

新型コロナウイルス感染下における葬儀

もともと日本では、人々のライフスタイルの変化に伴い、葬儀や供養方法が多様化していました 。例えば、ご遺骨を海や湖に散骨する海洋散骨、埋葬後に墓石の代わって樹木を植える樹木葬、ロケットに乗せて宇宙に散骨する宇宙葬など、従来の火葬での葬儀に加え、新しい葬儀スタイルで故人を弔う方が増えています。

そうした背景に、さらなる変化をもたらしているのが、新型コロナウイルスの急速な感染拡大。新型コロナウイルスの性質や対処方法などの問題により、従来の葬儀を実施することは難しいとされています。厚生労働省からの新型コロナウイルス感染症の方の葬儀に関する義務要請はないとしても、新型コロナウイルスの感染拡大防止に努め、葬儀関連事業者の健康への配慮などを考慮すると、新型コロナウイルスが終息するまでは、家族葬、一日葬、直葬、後日葬儀などで葬儀を執り行っていく必要があります。

新型コロナウイルス感染症にて亡くなられた方や、亡くなった方で新型コロナウイルスに感染している可能性がある方は、直葬にて葬儀を行うことがほとんどで、後日葬儀にてお葬式を設ける方が増えています。

家族葬や一日葬、直葬、後日葬儀は新型コロナウイルスの影響だけでなく、以前から存在していた葬儀スタイルですが、新型コロナウイルスを受けてさらなる需要増により、今後の日本のお葬式/葬儀や供養方法に大きな影響を与えるかもしれません。

  • 家族葬
    家族葬とは、明確な定義はありませんが、故人のご家族や親しいご友人などの少人数で実施されるお葬式です。家族葬は、新型コロナウイルスの影響だけでなく、少子高齢化や核家族化が進む日本では多くなってきた葬儀スタイルで、一般葬と言われる、故人とご縁のあった仕事関係者やご近所の方などを呼ぶお葬式に比べ、家族葬は参列者数が少ないのが特徴です。新型コロナウイルスが発生していなかったときには、家族葬での人数制限はなく、ご遺族のご希望や故人のご意向などで行われていました。しかし、新型コロナウイルスが広まる現在では、感染防止として家族葬での葬儀の場合、10人程度など人数制限を設けている斎場もあります。家族葬の流れは、通夜、翌日にお葬式(葬儀と告別式)、火葬です。

  • 一日葬
    一日葬は、通夜を行わず、一日で葬儀から火葬までを行うスタイル。ご高齢の方や遠方から参列する方に負担をかけず、費用と時間を抑えた葬儀です。火葬のみではなく、お葬式もあるため、一日葬は故人とゆっくり最期の時を過ごすことができる点が好まれています。

  • 直葬
    新型コロナウイルスにより亡くなられた方の多くは、直葬での葬儀です。通常は、亡くなったあと、ご遺体を斎場やご自宅などで安置し、翌日出棺し火葬になります。通夜、お葬式は行わず、火葬炉の前で宗教者による儀式を執り行いますが、行わずに火葬することもあります。新型コロナウイルス感染症による場合は、24時間以内に火葬することが可能であり、病院の安置所から直接斎場にご遺体を運び火葬といった流れをとるケースが多いようです。新型コロナウイルス感染防止の点では現段階で最善な方法ですが、故人と最期のお別れができないことも多く、直葬はご家族や近親者などにとっては非常に心苦しいスタイルとなるかもしれません。

  • 後日葬儀
    事情により火葬だけを先に行い、後日改めて、通夜やお葬式を行う後日葬儀の実施が増えています。しっかりとお別れもできないまま、愛する故人がいなくなってしまうことは、残されたご家族にとってあまりにも悲しすぎること。お別れを告げたい親しいご友人もいらっしゃるでしょう。そうした気持ちから、ゆっくりと故人を偲びお別れする後日葬儀を検討している方は多数いらっしゃいます。

新型コロナウイルス感染下における供養

供養方法では、墓参りが一般的でしたが、近年では墓参りになかなか行けない、高齢のため体の自由度が減り墓の管理ができない、墓の継承者問題があるといった理由から、永代供養や手元供養(自宅供養)が好まれるようになってきていました。特に手元供養の需要は高まっており、ご遺骨からダイヤモンドを作製した遺骨ダイヤモンドを家に安置して毎日合掌するなど、さまざまな手元供養が行われています。

供養において新型コロナウイルスの影響で、中国での墓石の生産が間に合わないという問題があります。日本で使用されている墓石の多くは中国で生産されており、新型コロナウイルスはもちろん中国でも非常に大きな影響のため、外出規制がいち早く実施され、生産者の稼働が抑えられていました。そのため、墓石の流通が滞る事態になったのです。現在では、新型コロナウイルスによるさまざまな事態が緩和傾向にあり、いっときのような非常事態は軽減されているようですが、今後こうした問題が皆無となるかは難しい段階です。そのため、永代供養や手元供養(自宅供養)は新型コロナウイルスなどの緊急事態による影響を受けにくい供養と考えられ、さらに注目が集まっています。

  • 永代供養
    永代供養は、寺院や霊園がご遺族に変わってご遺骨の管理や供養をします。納骨は他人と一緒の合祀墓に埋葬されることもあります。また、寺院や霊園によってご遺骨の安置や管理に一定の期限が設けられていることもあります。

  • 手元供養(自宅供養)
    手元供養は、ご遺骨を身近に置いて自宅にて供養することで、自宅供養とも呼ばれます。手元供養の方法は多種多様。中でも話題を呼んでいるのが、世界一美しい供養方法として知られる遺骨ダイヤモンドです。遺骨ダイヤモンドは、ご遺骨やご遺灰、ご遺髪から抽出された炭素で作製した合成ダイヤモンドであり、遺骨ダイヤモンドの魅力は、大切な人をいつでも傍で感じられること。愛する人を失った衝撃はとても大きく、立ち直るまでに時間がかかる人もいます。そうした方に 遺骨ダイヤモンドはグリーフケアとして効果も発揮します。遺骨ダイヤモンドは天然ダイヤモンド同様の生成方法で炭素を結晶化させるため、遺骨ダイヤモンドは天然ダイヤモンドとほぼ同じ特性を持ちます。しかし、故人のご遺骨から遺骨ダイヤモンドを作製されていることから、遺骨ダイヤモンドの輝きは故人を思い起こさせる特有の輝きを放つと言われ、市場に流通しているダイヤモンドにはない価値を遺骨ダイヤモンドは持っています。また、遺骨ダイヤモンドはジュエリー加工をすることも可能。愛する故人の遺骨から作製した遺骨ダイヤモンドをネックレスや指輪、イヤリングなどに施すと、常に身近に感じることができます。遺骨ダイヤモンドのカラーは5色展開で、遺骨ダイヤモンドのサイズは8つのラインナップ。また、遺骨ダイヤモンドのカットは6種類の中から好きなものを選べます。遺骨ダイヤモンドに特別な数字や文字を残したい方は、遺骨ダイヤモンドにレーザー彫刻で数字や文字を刻むことも可能。新型コロナウイルスによって亡くなり、直葬を行った場合も遺骨ダイヤモンドとして生まれ変わった故人が身近で輝くことで、悲しみも癒されるでしょう。また、後日葬儀や毎日の供養において、 遺骨ダイヤモンドが手元にあれば、美しい輝きに溢れた故人を見ながら葬儀や供養ができるでしょう。

新型コロナ(COVID-19)影響下における葬儀と供養のまとめ

新型コロナウイルスの影響下でもお葬式/葬儀はできます。しかし、新型コロナウイルス感染予防のためにお葬式/葬儀や供養方法に変化が起きています。

新型コロナウイルスで亡くなった場合は、ご遺体に新型コロナウイルスが残っている可能性がありますが、火葬したご遺骨からは新型コロナウイルスに感染することはないため直葬を行います。新型コロナウイルスで亡くなった場合、故人とお別れするお葬式ができないため、新型コロナウイルスの感染を防止するために、後日故人を弔う後日葬儀を予定するご遺族が増えています。新型コロナウイルではない死亡においても、新型コロナウイルス感染を防止するため、「3つの密」になりやすい葬儀は家族葬、一日葬といった少人数、短時間の葬儀が実施されています。

新型コロナウイルスの影響で墓石の生産が滞ったこともあり、以前から需要が高まる遺骨ダイヤモンド等で行う手元供養にさらなる注目が集まっています。