夏に取り囲まれて
見上げれば燦々と
身の回りは熱気によってむんむんと
アスファルトから立ち上る蜃気楼がゆらゆらと
360度夏に取り囲まれて身動きができない
息をするのもしんどいが身体は生きるために
生理機能を働かせてたらす汗だく
べたべた身体中
へとへとの昼日中
ぐるりと球体的絶対的に夏の包囲網が
確立されて逃げ場なんてどこにもない
ただただ夏の暑さの餌食になるしかない現実
せめてもの慰めで仰ぐ団扇の
あぁなんて切ない風なのか
はたはたと動かす左手の熱い事悲しい事
ぐるっと夏に取り囲まれた
僕はただただ無力感に苛まれたまま
ダラダラと汗を流すだけ
空を睨むのもしんどい
やる気すらも夏の熱気にあてられて
蒸発してしまったようだ
日陰があるのならば
すぐさまに飛び込みたいが
見渡しても見当たらない
アスファルトの道の上
ジリジリと肌が
焼かれていく音だけが
耳元に聞こえてくる
僕の全身が黒く赤く
夏に侵食されていく
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