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股旅CENTRAL_day2_名古屋

以前から実家に泊まった翌朝に母と連れ立って行っていた古い喫茶店は、田舎特有の趣味の悪いカフェバーに変わっていた。

緩い接客ではありつつも優しかった爺さんと婆さん。二人のどちらか、はたまた両方ともが、動けなくなったか死んでしまったか。

変わらないものはない。
それにしたってさよならはいつだって突然すぎる。

愛着のある人や場所に、お別れぐらいは言わせてほしいもんだ。

母は車の助手席で、私に比べてひときわ寂しげにしていた。
亡き弟と通った店がまたひとつ消えたのだ。

まだ誰ひとり欠けていない、幼く、幸福だったあの頃、家族で食事に行った店……
もうあと僅かしか残っていない。


名古屋では2日間を過ごすつもりでスケジュールを組んだ。
昨日も書いたが撮影依頼は期待に反しゼロに終わったので私は2日間まるまる母に付き合った。

買い物、食事、行きたいと言ったところは全て車で連れて行った。

趣味のご近所ウォッチングの話(……誰ぞの息子がああだこうだ、地域の誰がどうしたこうした…などというくだらない内容)にも根気強く付き合った。

こんな何でもないことも、もうそんなにずっとは続かないと感じながら。

穏やかな時間の流れのなか、
もしかしてこれって母子の最期の時間をプレゼントされてるのかもね、なんてふと思う。

それほど、名古屋で依頼が入らないということは普通なら考えづらい。

……が、本当のところは恐らく新年度始まってすぐのタイミングすぎただとか、月火だからだとか、単に自分が飽きられたとか、他のちゃんとした理由があるのだろう。
そのあたりは検証を継続せねばならない。

こちらは私の恋人(中央/金髪)の載った雑誌を見る母



晩飯は母と共に宇宙一チャーハン。
私のSNSをずっと追ってくれている方なら一度は目にしたことがあるだろう。

そして、一体どういうものなのかと気になっている方も多いと思うので一度しっかり説明をしようと思う。

ギリギリ岐阜市、ほとんど羽島郡岐南町のあたりに位置するラーメン屋「九州ラーメン うまか」の人気No.1メニュー、ニンニクゴロゴロの"うまかチャーハン"がそれである。

外観はボロボロだが改修される気配はない
宇宙一チャーハンこと"うまかチャーハン"


実家は岐阜県にほど近い愛知県の端っこなので、車を飛ばせば越県できてしまう。
そして、このあたりのエリアではそこそこの有名店・人気店。

https://tabelog.com/gifu/A2101/A210101/21001217/

私は車の免許を取得した頃に噂を聞いて訪れて以来20年以上通っている。
その後現在に至るまで日本全国どこへ行ってもこれ以上の味に出会ったことはなく、私の中で四半世紀近くもの長きに渡って「暫定宇宙一」の座を譲らないまさにチャーハン・オベリスクである。

あまりの麻薬的な美味さに、新宿からこれを食べるためだけに岐阜へ行った(650円のチャーハンのために交通費2万)こともあれば、
愛知県方面に行くと言う友人を何人もこの店に送り込むといった誘導はもちろん、
もしも私が宝くじで億という当たりを引いた暁には寄付金を送るつもりまであるという狂信ぶりで周囲を若干引かせている自覚はある。

愛知岐阜方面に行かれる方は是非行ってみてほしい。

注意点として、月曜休みであることと、ラーメンの味はごく普通だ。悪しからず。

2日間母とともにたっぷりゆっくりしたところで、さて、明日からは岐阜に移動だ。
本格的な旅が始まる。

否応にも気分が高まるところだが、どうも中国から半端ない量の黄砂が飛んできていて明日あたり上陸だそうな……

はてさてどうなる。旅は続く。

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