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寂しがり屋のムーちゃん(Lonely Moochan)

「お前ってなんか変だよな。気持ち悪い。」


僕には、皆んなと同じ数の目と鼻と口があるのに、僕は気持ち悪いみたい。
手も足も、話す言葉も一緒なのに、なんで何だろう。


その日、家に帰ってからママに聞いてみた。


ママは「あなたは世界一よ。気持ち悪くなんかないわ。」って言ってくれたけど、学校の友達は誰もそんなこと言ってくれないよ。


どんよりした気持ちでSNSを見ていると、すごく綺麗な人がいた。
なんでこの人は笑顔で写真に映れるんだろう。

僕は何が違うんだろう。

なんでか知らないけど、涙が出てきた。


そんな僕にも、好きなことがあるんだ。
それは、朝、学校に行くための洋服を選ぶこと。


気分がいい日は赤を着るし、雨の日は青を着るんだ。


それに、服屋の店員さんは僕に似合う服を僕のために選んでくれるんだ。
僕はオシャレが大好き!


ある日、家に帰ると、お兄ちゃんの友達がいたんだ。


「ようムーちゃん!浮かない顔してどうしたんだい?」


学校が楽しくないことをちょっとだけ相談してみた。


「なんだ、そんなことか。そんなこと気にするなよ。そんなことよりさ!メタバースっていう新しい世界は面白いらしいぜ!いままでとは違う仮想世界がもう始まってるんだ!」


仮想世界ってなに??


「今の世界とは別う、全く新しい自分の世界のことさ!」


メタバース??仮想世界??
初めて聞いた名前だけなあ。


僕でも行けるかな。
いじめられっぱなしも嫌だけど、1人で新しい世界に行くのも怖いなあ。


僕はその日からメタバースのことが気になってしょうがなかった。自分でもたくさん調べた。何をしていても何故か忘れられなくて、お母さんも心配するほどだった。


メタバースかあ、どんなところなんだろう。
行ってしまおうかな。大丈夫かな。


1人ぼっちになってしまうことを考えると、どうしても勇気が出なかった。そんな時、あのSNSで見た綺麗な人のインタビュー動画が目に入ってきた。


「まずは挑戦することが大切です。」

と笑顔で答えているのを見ていると、悩み事が小さく感じてきて、今ならやれるかもしれないと思った。


もういいや!
行ってしまえ!
えい!

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