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初めて出版した時の話〜1.2万部の電子書籍をどのように売っていったか?

初めてKindleを出版した時の話をまとめました。12年前の話です。

コンサルタントは出版が自分の営業になる!〜自費出版会社からの営業がたくさん来ます

私は中小企業診断士の仕事をしているので、職種で言うとコンサルタントということになります。そうすると、コンサルあるあるですが、自分に箔をつけるために出版を目指されることも多いでしょう。実際に「出版しませんか?」という営業はよく来ます。(しょっちゅう来ます)メール営業。

興味本位でお話を伺ったことはありますが、結構なお値段だったと思います。(1,000冊買い取れとか)もちろん紙の本を否定するわけではありませんが、今は電子書籍も簡単に出版できる時代なので、最初から自費出版に取り組むくらいなら電子書籍に自分で取り組んだ方が良いと思います。

自費出版の会社に伺って一度打ち合わせをした時に隣はコールセンターやっていました。営業電話かけまくっていた光景が異様に写りました。

診断士受験関係の出版にはたくさん参加させてもらいました。

自分でKindleを出す前に、資格取得直後には受験関係の書籍の執筆にたくさん参加しました。
続々80分間の真実ふぞろいな合格答案過去問マスター、など、中小企業診断士試験の合格前後には色々参加させてもらいました。80分間の真実なんて2007年執筆ですね。これらは全部先輩方のご準備があって出せた書籍でした。

ふぞろいな合格答案は初号に関わったので、毎年出版されて去年は17号でした。(ふぞろいな合格答案17)自分が診断士になって何年目か把握できるのが嬉しいですね。

ただあくまで受験参考書なので受験関係以外の仕事にはつながるわけではないので、自分でも本を出してみたいなあ、と思っていました。

独立して以降も、先輩などとの共著は増えました。

消費税対策やマイナンバー対策などの本を4冊くらい執筆しました。
中小企業のための超実践!消費税増税対策,作って実践する消費税増税対策,など。

ただ、これも私自身の企画ではなく、執筆メンバーとして参加しただけの本たちです。

最初のチャンスは残念な結果に

その後も雑誌記事などは多数書いていましたが、商業出版にはチャレンジしていませんでした。「ブログから雑誌執筆の依頼のが来た話」は以前のNOTEにまとめました。

そんな時、ある出版社から私のブログを見て本の企画をお願いされました。もうその時のメールは残っていなかったですが、「情報力」についての依頼でした。今でも「情報力」についての研修をやることがありますので、私の重要なテーマと言えます。

いわゆる自費出版の営業ではなく、名前もよく見たことのある出版社さんで、1度打ち合わせをさせてもらい、「目次案」と「はじめに」の原稿5ページを書いて持ってきてくれたら、出版会議に提案するとのことでした。

全体構成を考え、かなり時間をかけて原稿を書いたのですが、残念ながら出版会議は通らず、お蔵入りとなりました。

もちろん私の力不足ではありますが、結構時間をかけてやったのに形にならず、がっかりして、もう本を書くのはやめとこうかなと思ったものです。独立2年目だったので、2011年の頃です。

電子書籍が簡単に出せる

そんな時、Kindleが日本に登場しました。2012年のことです。当時の私はかなりの読書家だったので、本を買いすぎてこれ以上本を置けないなと言う状態に陥っていました。そこで思い切って紙の本を処分して、それ以来電子書籍鹿買わないようにしました。今ではKindleで4000冊近くあります。(半分は漫画ですが)

紙の本を買わなくなって、気づきました。Kindleダイレクトパブリッシングで自分で出版できるんだ!と。なお出版に費用はかかりません。もちろん自分で書いた原稿をKindleの書式に変更してアップロードしないといけないのでその手間はちょっとかかりますが、費用0円でAmazonに本が並べられるのはちょっといいかもと思い取り組みました。
(代行業者に頼んでも数万円くらいでやってくれる人はたくさんいます。)

Kindleづくりに取り組んでみた

現行は、過去に雑誌出版した24ページの統計学の記事を、出版社の許可を取って、電子書籍で作ってみることにしました。(共著です)

表紙も自分でパワーポイントで自分で作りました。流石にちょっとセンスないなあと思いますが(^^;

Kindleを出すときに工夫したこと

書籍のタイトルを考える

タイトルと表紙が大事なんだろうというのは素人ながらに思いました。「売上を上げる統計学」という主題は決まっていましたが、キャッチコピーに何をつけるか迷いました。

そして悩んだ挙げ句 「最強」をつけました。当時、西内先生の以下の著作が流行っていたので、入れてみました。真似っ子みたいで良くないかとも思いつつ、売れている本のマネも悪くないと考えました。「統計 最強」と探す人がいたら、一緒に並ぶわけですし。

なんとかが9割!って書籍は無限にありますもんね。売れている本の真似をするのもいいかもしれません。品位には欠けますが(^^;

書籍の見た目を考える

そして次は表紙ですが、どんなイメージが良いかわからなかったので、当時売れている本ランキングを見て上位にあった以下の本を参考にして作りました。

黄色と黒の阪神カラーだったので、丁度良いかと思って以下の本をオマージュさせてもらいました。(そっくりやんけ!)

販売価格を考える 

250円にしました。税込み250円以上にすると印税が70%にできます。250円で売れると印税170円くらいもらえます。紙の本を出版社で初めて発刊すると印税は8%前後でしょうから、2,000円の紙の本を売るより、250円の電子書籍を販売した方が儲かります。
(細かくはデータ通信量も影響するので、いくらになるかはご自身で確認してください)

ということで完成しました。

タイトルと見た目をオマージュ


Kindleを売っていくために取り組んだこと

①SNSでの発信 〜100冊

とりあえずはSNS発信です。もう12年前のことなので、いまほどSNSが多かったわけではないですが、Facebookを中心に発信しました。知り合いベースで伝わって100冊くらいは売れました。何回かKindle出版をしたのですが、自分がSNSで発信して知り合いに買ってもらえるのは100冊が限度だということを実感しています。

②SNSで広告 〜300冊

その次にFacebookで広告しました。予算をいくらかけたのかわからなくなってしまいましたが、300冊程度売れました。友達がいいね!と言っている書籍は、ある程度は売れますね。書籍は知り合いの口コミで買うことが多いのでSNS広告は今でも効果的だと思います。

③イベントでの販売 〜30冊

勉強会を開催しました。Kindleを自分で出版するにはというものです。参加費無料です。ただセミナーの途中で、「参加費だと思ってよかったら私の本を買ってください」と言ったらみんな買ってくれました。250円ですしね。参加費としては安いものです。

値下げで販売数激増〜5,000冊くらい

ここまでたいして売れていませんが、起爆剤がありました。

それは、値下げです!

値下げってあまりやりたくない手段ですね。でも電子書籍は原価が固定なので、値下げしてでも収益はでます。また、Amazonというプラットフォームでの販売ですからたくさん売れるとランキングが上って相乗効果があるので値下げすることにしました。

ただ、このタイミングで値下げするということは、先に友達に定価で販売して、知らない人に値下げで販売するということになります。あんまり印象が良いものではありませんね(^^;

ということで友達とかには謝りながら、統計学の本なので読むのに時間もかかるでしょうから、ゴールデンウィークだけ100円に値下げします!という取り組みを行いました。

そうすると、みるみる売れました。1週間で5,000冊売れました。

たくさん売れると勢いがつく

そして1週間で値下げは終えて、250円に戻しましたが、ランキングが上がると勢いがつきます。なんとKindle有料ランキングで1位に入りました。(4日間だけですが) 当時はこれくらいの販売数で上位に出たのです。今はもっと売らないとランク上位は難しいかもしれません。

そのため、書籍のカテゴリ1位を目指すわけです。経営の書籍部門1位などと。でもわたしのはKindle有料部門全体の1位です ←自慢

そして勢いがつくと何もしなくても勝手に売れます。ということで2ヶ月で1万冊を突破して、1年で1.2万冊売れました。

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その他、ブログを書いたり、Google広告もしましたが、あまり効果はなかったかもしれません。「売上 統計」で検索順位1位になりましたが、そんなキーワードで検索する人は少ししかいませんしね。
そういう意味では、Amazon広告を試してみればよかったです。(当時は、やらなかったです。)

マーケティングの4Pで考える

ということでKindleの本を売っていくために色々取り組んできました。内容を整理すると、マーケティングの4つのPに集約されるのかと思います。

Product 商品の工夫としては流行っている統計分野に取り組み、売れている本のマネをしました。

Place 販売ルートとしてはもちろんAmazonしかないのですが、勉強会などの対面でも販売することができました。

Price 価格戦略として効果的に値下を使えました。

Promotion SNSや広告等色々やりました。

Kindleで売れると、紙の出版社でもすぐに発刊してくれる

ちなみにKindleが売れたので、紙の有名出版社に持ち込んだら、すぐ紙の発刊OKが出ました。販売実績があると強いですね。 
(紙の本でだいぶ書き直したのでかなり執筆には苦戦しましたが)

さらに紙の本もぼちぼち売れたので(初版が8000部で、やっぱり1.2万部位になったと思います)、雑誌(東洋経済)から、この本のこの部分を記事にしてほしいと言われました。こういうのは嬉しいですね。本から記事を書き直すだけなので執筆の手間もかからないですし、当時はまだ雑誌にも存在感があったので結構な数の人に「見たよ!」と言われました。

そうすると、「この内容で研修してください」という依頼も来ました。

まとめ

コンサルタントの集客としては執筆はわかりやすい作戦だと思います。自分の知識を整理し直すためにもちょうどいい。

さらに執筆しておくと、その後、人前で話すのが楽になります。自分の頭の中で情報が整理されているので、研修やセミナを実施するのがスムーズです。

さすがに書籍の執筆はかなり手間がかかるので、最近はあまりやりたくないですが、こんな感じでブログにまとめるくらいでも役に立ちます。

もちろん、この内容も、創業塾などのセミナで話してます\(^o^)/

そんなところで

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