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母さんの夢 6

「じゃあ、裕一の部屋にしよう。子どもたちも就職したことだし、あそこを僕のアトリエにしても、文句は言われないはずだ」
 嬉しそうに微笑む夫に腹が立つ。第二子の真美ではなく、第一子の裕一の部屋を使うとは。
 夫は子ども二人を可愛がったが、特に真美に関しては、溺愛していたと言ってもいい。
「裕一が帰ってきたときは、どうするの? 臭いと言って、絶対にあの部屋では寝ないわよ」
「ここで寝かせればいいじゃないか」
 ああ、そうですか、としか答えられない。
 父親に普通に愛されて育った裕一は、大学を出て自立した。もう二十七歳で、家電メーカーに勤めている。父親に溺愛されて大きくなった真美も大学を卒業し、三年前に貿易会社に就職した。父親と喧嘩をし、泣き、話し合った結果、一人暮らしを勝ち取ったのだ。

 真美のアパートの契約に行ったとき、夫と娘は、こんな話をしていた。
 いいな。彼氏ができたら、すぐに連れてきなさい。お父さんの許可なく付き合うのは、絶対だめだよ。
 うん、わかった。
 夫は真剣、真美はお気楽な調子だった。
 私が鼻白んだのは言うまでもない。
 何が、お父さんの許可なく付き合うのは、絶対だめだよ、だ。あんたと私は、親に紹介する前から同棲していたのじゃなかったのかっ。
 黙っていても思いは通じる。私は何も言わなかったが、夫は大きな咳払いをしていた。やはり、分が悪いところはあったのだろう。


   続きます

夫は娘を可愛がり、妻は息子を可愛がる。その典型的なパターンですが、この夫婦の場合、それには深いわけがあったのです。
何といっても、ガカとショーセツカですから。

しかし浩哉君、娘には勝手なことを言うてますな。
翔子さんが鼻白んだのもわかります。

写真はロンドン、
Yu-toお得意のリージェンツパークです。
いかがです?
黄緑色が綺麗でしょう?
見ただけで幸せな気分になっていただけましたか?

図々しいわっ!

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Yu-to

私にサポーターが現れるとは思えません。 え? してくださった? おおきにどすえ。

いいことあるよ♡
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主に小説とエッセイを書いています。 別の媒体で出版した物語を加筆訂正しました。 続けて読んでいただければ嬉しいです。