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【CFO CONFERENCE 2020 書き起こし】注目のFinTechスタートアップ2社が語る「次世代の資金調達の在り方」とは?-前編

皆さんこんにちは。株式会社ログラスの布川です。
今回は、先月行われたCFO CONFERENCE 2020の開催の模様を全4部作にてお届けします。

CFO CONFERENCE 2020は、「集う。日本の未来を担うCFO・経営企画」というコンセプトのもと、VOYAGE GROUP渋谷ソラスタオフィスに数百人という来場者を集めたイベントです。

SanSan、freee、Chatwork、カオナビといった有力企業が上場を果たした他、未上場企業による超大型調達、さらにソフトバンクによるヤフーの子会社化、ヤフーとLINEの経営統合などのM&Aも話題を集めた2019年の振り返りと今後の展望について、多くのパネラーが自らの経験や知見を披露してくださいました。

本イベントでは、全部で3つのSESSIONが行われましたが、SESSION1は内容があまりにもディープすぎたため、完全オフレコとなりました笑

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登壇者は、

ランサーズ株式会社 執行役員 コーポレート担当の小沼さん

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グロース・キャピタル株式会社 代表取締役の嶺井さん

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モデレーターは私、布川がつとめさせて頂きました。

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当日のディープさについてはTwitterのコメントでお楽しみ下さい。笑

さて、本記事では「SESSION-02 次世代の資金調達の在り方とは?」の内容をお伝え致します。前編・後編に分かれます。

イントロダクション

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冨田
モデレーターを務めますスマートラウンドの冨田と申します。未上場企業の資本政策などをクラウドで管理できるスマートラウンドのCOOを務めております。皆さん、どうぞ宜しくお願い致します。

このセッションは「次世代の資金調達の行方とは?」ということで、2019年に大きな注目を集めたスタートアップ2社の代表取締役にお越し頂きました。まずはお二人に自己紹介いただきたいと思います。

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澤岻
OLTA株式会社の代表取締役CEOの澤岻(たくし)優紀と申します。簡単に弊社の事業内容を説明させていただくと、クラウドファクタリングという請求書をオンラインでアップロードすれば資金化できる、ファクタリングをオンライン完結で提供している日本初の会社です。2017年の4月からですので、3年目がもうすぐ終わる頃で、4月から4年目という、まだまだ「ひよっこ」の会社です。

前職では野村證券の投資銀行門で、大企業向けの資金調達のお手伝いをしていました。具体的には上場事業会社を中心に社債や株式、資本市場からの調達に関する実務をお手伝いさせていただいていました。現在はその経験を土台として、中小企業やフリーランスなどの資金繰り、資金調達を支援させていただいています。今日は宜しくお願い致します。

冨田
宜しくお願い致します。途中で「ひよっこ」という単語が出てきましたが、創業2年で30億調達というニュースも出ていて、全然ひよっこではないので(笑)では、続けてファンズの藤田さん、宜しくお願い致します。

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藤田
ファンズの藤田と申します。やっている事業は貸付ファンドのマーケットプレイスです。上場企業に間接的にお金を貸し付けて金利を得られ、そこで資産形成ができるというサービスです。上場企業側から見ると、証券会社や銀行を介さず、個人から直接デット性の資金調達ができます。先日は大阪王将さんとの取り組みで、株主優待ならぬ貸付優待を初めて実施しました。これが結構話題になりまして、結果、数千万円が数十秒で満額達成しました。

冨田
ありがとうございます。このように非常に勢いある、2019年を代表するような2社の代表取締役にお越し頂きましたので、ぜひ色々と皆さんからのご質問を受け付けたいと思います。

OLTAのデット調達の裏側

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冨田
では、ここからは質問が集まるまで、2社が資金調達をどのように行ってきたのかを、それぞれお聞かせいただけますか。まずは澤岻さんからお願いできますか?

澤岻
では、OLTAのこれまでのファイナンスの概要を説明します。我々は2017年4月に会社を作りまして、創業前後のタイミングでエンジェル投資家の有安さんから投資を受けています。それが2017年7月で金額としては1000万円。これがいわゆるエンジェルラウンドです。この段階ではプロダクトも無く、チームもこれから作るところで、2~3名「これから仲間になるよ」という人がいるだけ。ピッチ資料のみという状況で調達しました。

その後、アクセラレータプログラムに参加していたので、そのプログラムの成果を経てもう一度調達しようと考えていて、前回のラウンドから3ヶ月後の2017年10月に、シードラウンドのような感じで5億円を調達しました。これがジャフコ、ビーネクストの2社から調達させていただいています。この時はプロダクトのローンチが翌月に迫っていて、チームとしても一緒にプロダクト創っていた仲間が創業メンバーになっていて、4~5名くらいだったかなと思います。

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その後、プロダクトローンチを経て、調達した5億円を使ってファクタリング事業を始めました。そして2019年5月にデットとエクイティ、あわせて総額25億円という金額で資金調達を発表させていただいた、というのがこれまでの流れです。この段階では、従業員は20名程度でしたね。

冨田
ありがとうございます。資金調達のタイミングや内容も順調で、凄い華々しい感じがしますね。

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藤田
私から質問良いでしょうか。普通ファクタリングの会社って、デットの調達ってすごく難しいイメージなんですけど、何でOLTAさんはスムーズに調達できたんですか?

澤岻
意識したこととしては、交渉はすごく早めにやりました。2017年10月に2回目の資金調達を行った後、すぐに銀行に接触を始めました。いわゆる3大メガバンクそれぞれに担当者をつけてもらい、「デットを引けないか」という話をさせていただきました。でも、最初はやっぱり門前払いで。創業から約半年でエクイティ調達してるけど、「デット調達するのは、3年分の決算書持ってきてから」というニュアンスでやんわりお断りされて。まあ、これは当然の話だと思います。

一方で、我々としてもいわゆる人件費や広告宣伝費などの運用資金はエクイティで調達したお金で進め、ファクタリング・買取資金は、なるべくデットを軸に進めたほうが資本効率は良いだろうなと思っていました。その辺りの考え方を喧々諤々と1年近く議論していたところ、とあるメガバンクが「OLTAさん、これくらいならデットもいけるかもしれません」という話を切り出してくれて。

冨田
なるほど。その辺りの流れは初めてお聞きしましたね。

澤岻
確かにこの話は出してないですね。隠しているつもりもなかったんですが(笑)。で、あるメガバンクの担当者が漢気出して「出せます」という話をしてくださって。そうなると、一つ突破口開くと、「僕も」「私も」という流れで、3メガバンク揃い踏みでデットを引くモメンタムが形成できまして。その結果、総額6.6億円でデットを引けるようになりました。

藤田
その金額はエクイティとセットでしたか?

澤岻
いえ、エクイティとデットは別でした。リリースのタイミングは総額としてまとめた感はありますが、たまたまタイミングが揃ったという形でしかなくて。

藤田
ファクタリングの会社がこのタイミングでデットを引けるというのがすごいですね。

冨田
そうですね。まるで錬金術というか。
(会場笑)

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事業の本格開始を前に資金調達を実施した2社の戦略

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冨田
では続いて藤田さん、宜しくお願い致します。

藤田
OLTAさんと比較すると少し規模は小さいですが、創業は私たち2016年11月で、最初は共同創業者と自己資金で始めて、2018年の3月にシリーズAで3億円を調達しました。

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その頃はまだサービスを開始しておらず、サービス開始には第二種金融商品取引業の登録が必要なものの登録認可がいつ降りるか分からない状態だったんですが、B Dash Ventures等に出資していただき、ライセンス取得できるところまで頑張ることができました。その後、2019年にサービスをローンチ出来て、ありがたいことにトラクションも出たので、その成果を材料として追加で7億円を調達。総額で10億円ほど資金調達をさせていただきました。

冨田
ありがとうございます。去年のピッチコンテストは本当にファンズさんが総なめでしたからね。リリースしたらすぐに人気爆発してという感じだったのをよく覚えています。さて、では色んな質問が来ていますので。まずは「デット調達のコツが知りたいです」ということです。ファンズさんはデットの調達はしていませんか?

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藤田
僕たちはしていないですね。なので、OLTAさんにぜひ回答いただきたいです。

澤岻
デット調達のコツですか。再現性があるかというと微妙ですが、デット調達がうまく進められた理由を挙げるとするなら、交渉の場に立っていた弊社の社員が、元メガバンクの審査企画の担当者で。つまり、メガバンクで融資の稟議を書いていた方が、メンバーとしてジョインしていたんですね。

冨田
それ再現性低いですけど、確かに大きいですね!

澤岻
銀行内で融資の稟議を通すロジックを熟知していているので「こうすれば落とせるよね」「この辺が稟議を通すときのかゆいところですよね」というコミュニケーションを取りながら進めてもらいました。再現性は低いかもしれませんが、エクイティとは違うデットに強い担当者を立てておくというのは、1つの戦略かもしれませんね。

もちろん、最初からそこを狙ったわけではなかったのですが、たまたまベンチャーというカオスな環境の中で、1つの役割としてやってもらっていたので。

冨田
色んなスタートアップ企業のデットの調達について相談に乗ることが多いんですけど、「誰に銀行の担当者を紹介していただくか」というのはすごく重要ですよね。人ベースでデットの調達がうまくいくなというのを見ていて。「どの支店の誰が担当についてくれると良いか」というのが大きなポイントだと思うので、もしそういう情報を共有していただければ大きいですよね。

澤岻
そうですね。どの支店を最初に選ぶのかは大きいかもしれません。

(後編に続く)

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