Missionが抽象的で分かりにくいので、BHAGを考えてみた
ログラスのMission「テクノロジーで、経営をアップデートする。」って抽象的でわかりにくいよね。
と言われてはや3年が経過しました。
こんにちはログラス代表の布川です。
2020年と2021年はひたすら目の前の仕事をこなす日々でしたが、2022年に入ってからは未来を見つめる時間が長くなりました。
ここ半年、ログラスの経営陣が考えていることは上記の1文に集約されます。実はこうしたMissionよりも分かりやすくて、測定可能な近未来を表す文章のことを、世界ではBHAGというそうです。
BHAGは、『Built to Last』という本の中で紹介された概念です。BHAG(ビーハグと発音し、「Big Hairy Audacious Goal」の略)とは、進歩を促す強力な方法である。BHAGは明確で説得力があり、ほとんど説明の必要がなく、人々はすぐにそれを理解することができます。
1960年代のNASAの月探査を思い浮かべてほしい。最高のBHAGは、長期的な視野に立ち、かつ、絶え間ない緊急性を感じさせるものでなければならない。確率に逆らい、最終的にBHAGを達成するために、今日、明日、明後日と、狂おしいほどの集中力で何をすべきか?を規定するものがBHAGである。
有名なBHAGとして、以下のようなものがあります。
特に布川のお気に入りはSpaceXの「火星での有人探査と定住を可能にする」=「人類を多惑星種にする」という偉大なるBHAGです。
ちなみにNIKEは「アディダスを破壊する」という超わかりやすいBHAGになっています笑。過激ですね・・・アディダスを破壊することが測定可能なのかはNIKEにしか分かりません。ちなみに私はアディダスもNIKEも好きです笑
まだログラスのBHAGは決まっていません。どんな未来にしたいかは決まってきているのですが、BHAGといえるような素敵な言葉には落ちてきていません。
そこで、noteという素晴らしい発信手段を使ってBHAGを言語化するために、ログラスが目指している世界観を妄想して記述したものを世間に公開してしまい、そこから絞った文章をBHAGに定めてしまおうという新しい取り組みです。
西暦2050年の未来の経営はこんな世界
あらゆる経営数値が計測され、気象予報のように1ヶ月先、四半期先の未来が予測される時代。
人間に求められる仕事は未来を予測することではなく、システムに予測された未来と目指す世界のGAPをどう埋めるかを考えることになった。まるで25年前の天気予報や囲碁や将棋の世界のように、経営の世界はシステムやアルゴリズムによる予測が可能な世界として進化していた。
かつて、コンサルティングファームや有名経営者の経営論が持て囃された時代には、経営とは独自性が重要であり、汎用性・標準化は到底難しいという考え方が一般的であった。
しかし、今では「パソコンのOS」や「プログラミング言語のフレームワーク」のように様々な経営フレームワークを簡単に取り入れた組織運営や経営推進が可能となり、Kaggleのように、予測モデリングをそれぞれの企業でインストール出来る世界が到来している。
まさに、経営フレームワークや予測モデルそのものが、オープンソース化し、全てのビジネスマンが経営フレームワークやアルゴリズムをアップグレードするための情報源となる時代が到来した。車輪の再発明は限りなく軽減され、経営とは即ちバリュープロポジション(提供価値)を考えること、という本質的なことに時間がより投下される世界にアップデートされた。
データの民主化により経営の予測可能性が高まり、経営の標準化が進み、集合知が適用される世界における経営体験とは、どんなものなのか見ていこう。
セールス編
25年前は営業部の仕事は極めて属人的だった。手紙を送り、電話をかけ、商談も極めて属人的なスキルによって展開されていた。
しかし、今は違う。
商談の95%はオンラインで実施され、全て録画されている。オフライン商談であっても広角カメラでお客様と営業マンの声と表情はバッチリ録画されている。オフィスに帰れば商談分析システムが商談の記録を全て分析・採点し、商談クオリティを査定している。さっきの自分の商談は65点だった。
喋る速度がお客様の1.4倍あり話速が良くなかった。内容もお客様の本論に関係のない質問に引っ張られすぎて脱線度が30ptになっている。本来は5pt以内が一流水準だ。
表情や声は機械学習によって分析され、お客様側反応等も高度に採点することができる。「この商談は成功確率32%です」というシステムアラートを見て、お客様のニーズがなければ即時撤退することができ、お客様も不要な商談を避けることができる非常に生産的な経済活動が実現された。
セールスマネージャーという仕事もずいぶんと様変わりした。25年前はひたすらセールスの案件管理や商談マネジメントが主な仕事だったが、今は部下のモチベーションマネジメントと重要な局面で商談に顔を出すことぐらいだ。
マネージャーが今までサポートしていたような、セールスがいつお客様に連絡をすれば良いかのタイミング検討については、既にシステムがレコメンドしてくれる。案件全体の受注確率はシステムが行動ログから算出し、セールスの行動が足りていない部分を補ってくれる。社内の全てのセールスの行動は統合的に管理され、セールスの偏差値が可視化されている。
偏差値70を超えるセールスは常に他社からスカウトが送られてきており、受注できる金額も社内からの評価もダントツに高い。人事評価も偏差値が主な指標になっている。
低単価商材はBtoBにおいても人間が販売する時代は終わり、大半はAI電話サービスによって、人間が電話しているのかどうかが判別できないレベルで実行されている。画面に人面が映ることもあるが、それももはや人工的に生成された表情と音声で営業されていても気が付かないレベルになっている。
人事編
採用の仕事はマーケティング、データサイエンスから科学されるtoCサービスで実現されているような世界に近似する仕組みへと変貌した。
25年前はレジュメを1つ1つ見ながら、エージェントやスカウト担当がメッセージを送ってコツコツと採用活動を行っていた。採用力は営業力、泥臭い行動量と言われている時代があった。
しかし、今は違う。
あらゆる経営数値が可視化された世界では、個々人のスキルレベルが数値化されており、常に人材の市場価値が可視化されている状態になった。もちろんこの市場価値は参考程度に利用されるものに過ぎないのが現状だが、恋愛のマッチングアプリやAmazonのレコメンドソリューションに近しいような仕組みが、転職プラットフォーム内のアルゴリズムとして構築された。
より高精度なマッチが実現され、このアルゴリズムは常に企業と求職者のマッチング精度についてFBされることで進化し続けている。このアルゴリズムは入社後の活躍レベルに至るまで予測できるように進化を続けている最中である。
異業種間の転職も増えた。
今までは自分の業界の経験者や出自が類似する人材を多く採用してしまう傾向にあった。現在は、自社における人材活躍状況と個々人のパーソナリティが可視化されたことで、未経験・異業種であっても自社の特性にマッチした人材を簡単に見つけることができるようになった。
そして、年収レンジも最適解を飛躍的に出しやすくなったことで、不必要な交渉も今となっては過去のものになった。まるで金融の世界のように、需要と供給のバランスが高いレベルで取られるようになったことは、ここ25年の革命だ。
採用計画や採用コストの見通しも大きく進化した。今までは各ポジションがいつ採用できるのか?は神のみぞ知るという状態だったが、今は当該ポジションにマッチする人材の数とアプローチ可能な人数から逆算してある程度採用できるか否か?を高精度に見通せるようになった。
これによって中途人材採用計画や新卒採用計画におけるコスト計画もハイレベルに進化し、効率の悪いスカウト対応や説明会の実施等はなくなり、最適な施策にのみ集中できるようになった。
企画編
事務系仕事において、企画業務は人間に最後まで残された業務だった。
各部門のKPIを取りまとめ、営業の進捗を把握し、組織の採用状況を網羅的に分析した結果として、各部門でどういった施策を走らせるべきか?どういったKPIを追いかけるべきか?を常に可視化・分析・改善をする仕事には中々テクノロジーが介在する余地はなかった。
しかし、2050年において、2022年時点で存在した企画という仕事は限りなく消失した。
各部門からの数値の取りまとめ
予算策定
予実管理
各種分析業務
レポート作成
あらゆる実績数値は各部門のクラウドサービスから取得・統合され、1ヶ月先、四半期先は「予測可能性の高い未来」として人々の手の中に入るようになっている。
各部門で拡充された未来が全社を統括する企画部門の高い解像度の中で戦略を描く未来に変わってきた。
そしてなによりも大きく変わったことは、
財務会計のデータを使わない、新しいカタチの経営管理・推進業務
が実現されたことである。
世の中殆ど全ての会社では複式簿記を使った仕訳によって社内のあらゆるトランザクション(取引)を人力でデータに置き換える作業を行っている。しかし、複式簿記は記録に大きなコストがかかる上、リアルタイムにデータを取得するのに不向きであることは自明の事実であった。
今でも会社の業績開示には複式簿記の結果を用いているが、25年前は非常に手間も時間もかかり、取引の詳細な記録が失われたデータを社内の意志決定にも流用していた。
現在は、手前の取引データが高速で揃い、練り上げられた未来予測アルゴリズムによって、四半期先ぐらいの未来までは人間以上に精度高くシステムが予測することができるようになっている。
取引データを直接意思決定に用いることができるため、データ分析の手間が軽減され、リアルタイムでの予測が可能になったことは、この25年における経営革命であったと言える。
加えて現在は、ログラスを含む「主要な経営アルゴリズムを司る企業」が複数存在しており、世界でも大きな影響力を持っている。(当時のGoogleやMetaはそういった存在であった)
ログラスのお客様である1企業の経営が大きく改善された場合、その経営改善は多くの企業、そして従業員、その家族まで影響を及ぼす。一流のアルゴリズムとオペレーションを整えた企業からは以下のような負が消え去った。
不必要な残業
取引先への不当な価格ダンピング
非効率な事業開発
不当に低い給与水準
さらに、株主からの評価も未来予測をベースに判断される世界が訪れている。IRの現場では未来予測に対する予算とのGAPをベースに議論がされるようになり、予算という概念自体は目標という位置づけに大きく役割をシフトしてきている。過去に見られていた実績データとはあくまで帳簿であり、銀行も高精度な未来予測を基準にファイナンスの検討を行うようになったことで、成長性や予測精度の高い優良企業への融資が増加した。
一歩先の未来を見据えて、誰もが未来を今に引き寄せて経営することができる世界が実現しているのである。
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駄文にお付き合い頂きありがとうございました。
スタートアップ経営者にとっての25年とは途方もない先の未来だなと思いながらこの文章を綴りました。
私自身はデータアナリティクスや機械学習の専門家ではありませんが、確実に描きたい未来を頭の中に持ちながら生きることができます。これこそが起業家を起業家たらしめる才能だと思っています。
現在、私達ログラスは経営管理クラウドサービスを提供し、未来の数値を扱うためのプラットフォームを提供しています。そんな私達の作り出したい未来を知るために事業にまつわる歴史にも軽く触れたいと思います。
財務会計と管理会計の歴史
歴史的には14世紀頃のベニスの商人が複式簿記を採用し、イタリアの数学者であるパチョーリが数学の書物に複式簿記のあり方について記述した所から会計の歴史は始まっています。(と言われています)
そして管理会計は会計の概念を踏襲しながら、1830年代の産業革命期のイギリスにおいて発達した可能性が示唆されています。
当時のイギリスは「世界の工場」と呼ばれ、リチャード・トレヴィシックやスティーヴンソンらによって蒸気機関車が発明されたタイミングで、一気に工場生産技術が発達しました。
大量の部品や製造品が納品・販売されるようになったことで、製品原価計算や設備投資コストの見積もりが大変重要になりました。つまり、BSに計上された大型資産による将来に渡る減価償却コストや長大な生産ラインで発生したコストを製品原価に反映する管理会計が重要になっていったのです。簿記2級等で学習する工業簿記等にもこうした概念は一部出てきます。
そして現在の未来を意識した経営概念が提唱され始めたのは、シカゴ大学で会計学を教えるジェームズ・マッキンゼー教授が約100年前に「管理会計(Management Accounting=マネジメント・アカウンティング)」、正確には「Managerial Accounting=マネジリアル・アカウンティング」という名前の講座を、1920年からスタートしたことに端を発すると田中靖浩氏は説明しています。田中氏の著書「会計の世界史」は非常に有名です。
つまり、予算の概念はまだ100年程度のものであり、極めて最近生み出された概念なのです。
私たちログラスが今後実現したい世界
そしてここからの100年は過去のフレームワークにとらわれてはいけないと私は考えます。
マッキンゼー教授はかのマッキンゼー・アンド・カンパニーの創始者でもあり、こうした経営フレームワークを提唱しては企業の経営を進化させてきた偉人です。
しかし、マッキンゼー教授が予算という概念を経営に取り入れた時代は、フォードが大量生産を試みていたような時代であり、製造業が全盛期の時代です。明らかにIT企業や今後のWeb3時代にはマッチしていない概念になってきており、これからの時代に沿うような新しい100年を経営・マネジメントできる仕組みが必要です。それが何かを模索することこそが、ログラスのBHAGの源泉であると考えています。
世界は既に動き出している
2021年にGartnerが発表しているテクノロジーハイプサイクルにて説明されているように、技術の歴史としては長いがこれまで主流にはなっていなかったデータに関する技術(Data Lake、MDM、多様なデータのSQLによる取扱い、データ統合技術)が幻滅の窪地から啓蒙の坂※に入り、世界中で様々なスタートアップが立ち上がっています。
私の中ではまだ、これらの技術が本格的に日本では盛り上がってくる感覚は持てていないため、ログラス社ではアプリケーションレイヤーで経営管理クラウドを提供しており、非常に多くのお客様に価値を感じて頂いております。
しかし、今後ログラスの未来はこれらの技術とともに歩んでいくことになると考えています。大企業でもDX戦略の一部としてData Lake構想を描くことが増えてきている印象であり、今後これは大きな流れに変わっていくと確信しています。
こうした技術の圧倒的な進化によって、様々な企業が真の意味でデータを自由に扱える時代が来ることでしょう。先程も述べたように、ビジネスモデルが製造からITへと大きく転換し、ITの大企業もかなり大手企業として板についてきた中では、従来の経営管理のあり方は確実に古くなりつつあります。
BCGがまとめたCFOの役割にも、データ一元化の推進から始まり、自動化とセルフサービス化、そしてAIと分析ソリューションによる進化を示唆するような図が掲載されており、25年後の未来は確実にこの方向にシフトしていくと考えられています。
私達ログラスは、こうした巨大な流れの中、先程の述べたような未来を作り出すため、新しい経営のあり方を生み出すための仕掛けをどんどんと増やしていきたいと考えています。
解像度は粗く、25年後のことなので、まだまだ遠く、足りないことが沢山あると感じています。しかし、臆すことなく言語化していくことで、今の自分達に足りないことを自覚することもできます。
スタートアップとは常に野心的であるべきであり、現時点では在りもしない未来をつかむために戦っています。管理会計100年の歴史に終止符を打ち、新しいデータ経営の在り方を生み出したのは間違いなく私達ログラスであったと言われる未来に向けて。また一歩前進していきたいと思います。
おわりに
ここまでお読みいただきありがとうございました!!!
これまでは「日本の現在から未来はどうあるべきか?」という文脈で語ることが多かったですが、今回はよりスケールアップした世界観を語ってみました。
ログラスはまだまだシリーズAの小さい会社です。是非多くの共感していただけた仲間と共に未来を創り出したいと思っています!!!
是非、我こそは!!!という方は気軽にお声がけ下さい。
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