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はじめに

 はじめまして。LogicalLabの宮本弘一です。
 突然ですが、私が論理的思考を極めるきっかけとなったエピソードを語らせて下さい。
 あれは中学1年生の時でした。私は親友のH君に「お前は論理的ではないな」とよく言われていました。なぜなら、当時、中学1年生だった私はその時の気分でコロコロと意見を変えていたので、自分の主張に一貫性がなかったからです。例えば、ある日、私は「友人のA君は間違っている」といっていたにも関わらず、その翌日になると、私は「やっぱりA君は正しかった」と意見を文字通り180度コロッと変えていたからです。
 しかし、今からその当時のことを振り返ると、物事に対する意見を180度変えることは必ずしも論理的ではないと言い切れないと思います。なぜなら、物事には多様な側面があるので、昨日はA君の間違っている部分しか見えていなかったが、その翌日にはA君の正しい部分が見えるようになる場合もあるので、自分の意見が180度変わることにはちゃんと理由があるからです。喩えると、サンタクロースの存在を信じていた子供が、クリスマスの深夜、枕元にプレゼントを置く父親を目撃した日を境に、その翌日にはサンタクロースの存在を信じなくなるようなものです。そして、当然、その日を境にその子が自分の意見を変えた理由には「サンタクロースの正体が父親だと分かったから」という理由があります。読者のみなさんもこのことと似た経験があるのではないでしょうか?
 しかし、当時、中学1年生だった私はその親友のH君に自分の意見を180度変えた理由を論理的に説明することができませんでした。そして、そういった自分の意見を論理的に説明できない経験が積み重なって、気が付けば、私はそのH君に”非論理的な人間”というレッテルを貼られていました。
 では、なぜ、当時の私は自分の意見を180度変えたことを論理的に説明することはできなかったでしょうか?答えは簡単です。その時、私は自分の意見を論理的に説明する考え方が分からなかったからです。しかし、本当は自分の意見を180度変えたことにも、私には私なりの論理があったはずです。要するに、私は自分の言葉にならない声を論理立てて説明できなかったゆえに、”非論理的な人間”というレッテルをH君に貼られて、歯痒い想いをしたのでした。
 以上が私の論理的思考を極めるきっかけとなったエピソードです。読者のみなさんもこれらと似た経験があるのではないでしょうか?
 では、それらの私が論理的思考を極めるきっかけになったエピソードを踏まえて、本書の意義を3点に分けて紹介したいと思います。
 まず1点目は、本書を読むことで、今まで論理的に自分の意見を表現できなくて歯痒い想いを抱いた人々は自分の意見を論理的に表現できるようになります。確かに、上記の私の論理的思考を極めるきっかけとなったエピソードを読んでいただいたら分かる通り、私は生まれた頃から論理的思考がずば抜けて出来る天才ではありませんでした。しかし、だからこそ、論理的に思考することが出来ずに苦しんだ経験を持っている人々に、自分が1から論理的思考を身に着けた経験を元に、誰でも論理的思考を極めることが出来る道筋を提示できると考えています。
 次に2点目は、本書を読むと、その他の論理的思考に関する本は一切読む必要がなくなります。なぜなら、本書は論理に関する数々の知見をもとに論理的思考をする上で必要不可欠な要素のみを抜粋してまとめた秘伝の書だからです。実際に、本書は、累計100冊以上の受験参考書、ビジネス書、哲学書、そして、実際の筆者のディベートの経験をもとに論理的思考の極意を3つのステップに分けて、分かり易くかつ凝縮して書かれたものです。ちなみに、筆者は哲学科で論理学を修学しました。
 最後に3点目は、本書を読んで論理的思考の極意を体得すれば、物事の生産性が飛躍的に向上します。なぜなら、論理的思考を活用しない知的分野は存在しないからです。それは理系の職業のみならず、文系の職業でも同じことです。例えば、営業職を例に考えましょう。確かに、営業職は自社コンテンツを他社に売り込むことがメインの職務になるので、論理的思考よりも人間力の方が大切になるように思えます。しかし、やはりここでも論理的思考は効力を発揮します。なぜなら、自社コンテンツを知らない取引先の相手に対して、如何に自社コンテンツのよさを説明して、相手が購入する必要があるかを説明する時にこそ、商談相手に筋道を立てて自社コンテンツのメリットを説明する必要があるからです。これは一例に過ぎませんが、要するに、論理的思考は文理問わず様々な知的分野で応用が利くような技術ということです。
 さて、前置きは長くなりましたが、かつての私と同じように自分の意見を論理的に表現できずに歯痒い想いを抱いた過去がある方々、または、かつての私と同じように様々な論理的思考に関する本を読んだ結果、一つも身につかずに意気消沈してしまった方々の一人でも本書によって論理的思考を身に着けて、実生活に活かせて頂けたら幸いです。

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