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官民DXに共通点はある? 〜効率化を実現する第一歩としてのペーパーレスと押印撤廃〜

こんにちは。ヤフーのオープンコラボレーションハブ「LODGE」です。LODGEは地方自治体のDX支援の一環で、オンラインイベントの開催などを行っております。

「官民DXの現場から学ぶ手法と効果(全4回)」
このイベントシリーズでは、具体的な事例をテーマに、自治体DX、民間DXの事例共有と応用展開の手法をご紹介します。

シリーズは全4回。
豊富な先行事例をお持ちの神戸市様とともに各回多様なゲストとのクロストークをおこないます。
自治体DX推進の新しい気づきやエッセンスを、みなさまと共に学べる機会となることを目指しています。

シリーズ第2回は10月6日に【押印撤廃、ペーパーレスにおける行政手続きのスマート化】を開催しましたので、ご紹介します。

ゲスト
ソフトバンク株式会社 コーポレート統括 総務本部 総務サービス統括部 瀧口 諭様
神戸市役所企画調整局 デジタル戦略部長 森 浩三様
神戸市役所 企画調整局 デジタル戦略部 イノベーション担当課長 山川 歩様

モデレーター
ヤフー株式会社 オープンコラボレーションスペースLODGE 徳應 和典

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(1)神戸市のペーパーレス化と行政手続きスマート化

まずは神戸市の山川さんから、神戸市の推進事例をご紹介いただきました。
神戸市は働き方改革をロードマップ平成30年6月に策定されており、
その中から
・業務効率化、電子化による生産性向上
・来庁せずにできる手続きの拡大
の取り組みについて発表いただきました。

■業務効率化、電子化による生産性向上について
神戸市ではペーパーレス化は業務改革の土台として取り組んでいます。

目標:無線LAN導入所属で60%削減、それ以外の所属で30%削減
目標管理:局ごとに目標値を設定し、半期ごとに達成状況をイントラネットで公表

ペーパーレスを進めるにあたり環境の整備を順次実施

ペーパーレスを進めるにあたり、フリーアドレス、タブレット端末、無線LAN、グループウェアの導入など、必要な環境の整備を進められました。

職員証認証複合機の導入の効果

特に、本庁・区役所のプリンタをネットワーク化し、社員証をかざして出力するセキュアプリントを導入したことによって、個人/部署ごとの印刷コストの可視化やミスプリントの抑制が進み、ペーパーレス化の徹底に繋がったそうです。
また、この導入によってフリーアドレスの職員がネットワーク内のどのプリンタからでも出力可能となり、印刷機器の台数も約半数に集約できたそうです。

来庁せずにできる手続きの拡大
神戸市ではこれまでも取り組んでいましたが、コロナの影響により
接触機会の低減、新たな生活様式への適合など市民のニーズがさらに高まり
行政手続きにおいても急速にDXを進める必要性が出てきました。

押印廃止について

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山川さん:
市独自で押印を求めるものについては97%廃止で進めている
(廃止約90%、廃止の方向で検討、改正手続き中7%)

また、市民が使いやすい電子申請のプラットフォーム(e-KOBE)を構築を進めています。
実証実験を進め、令和4年度より運用開始を目指しています。

・電子申請
・Webサイトを通じた郵送申請の支援
・窓口滞在時間の減少化する取り組み
目標値
令和7年度末にスマート化カバー率70%を目標とし、
達成に向けて優先的に進める40手続きを選定


スマート化の検討範囲

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単に紙をオンライン化するだけでは業務の見直しは進まない
・様式や作業の見直し
・業務の再構築
・制度の見直し
などの視点をもって進めていき、効率化を図っていきたい。

(2)ソフトバンクが進めるペーパーレス〜紙からデジタル化へ進化したその先には〜

続いて、ソフトバンクの事例を瀧口さんからご紹介いただきました。
ソフトバンクでは10年以上前からデジタル化を推進しています。
DXの初めの一歩はペーパレスだと考えています。

2012年4月 「ペーパーゼロ宣言」重要なのは紙ではなく情報

■ソフトバンク流ペーパーレスの実績

2011年度 3.3億枚 → 2020年度 約1,000万枚に削減
・お客様申込書類2.3億枚 → 全て電子化
・オフィス書類1億枚 → 約1,000万枚

社員の約64%が印刷なし、約24%は印刷10枚/月以下(2021年5月-7月実績)

■ソフトバンク流ペーパーレスのポイント

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■ペーパーレスの効果

・1ヶ月一人当たりが紙に要していた時間約1時間削減
・本社移転で物量を削減 1.62fm/人 → 0.5fm/人
ペーパーレスにより移転もスムーズに行われた

■電子化の取り組み事例

・押印電子化:Docusignの導入、押印のための出社をゼロに
・経理処理:請求支払い処理のデジタル化、経費精算のデジタル化
・人事採用:AIを活用したエントリーシート・動画面接の一次評価、チャットボットによる問い合わせ対応

■DXから生まれるスパイラル

・コスト効率化
デジタルワーカー4000人分の業務をデジタル化に置換を目指す(開始2年で2000人分を創出済み)
・人材育成、自己成長の機会の拡大
副業制度(社内・外)導入
マネジメント研修

(3)パネルトーク

最後に、登壇者全員でのパネルトークでは、いくつかの質問をご用意し、対話いただきました。

■共通と感じる部分はありましたか?


神戸市・森さん
 ・環境を整えること
 ・データで状況を可視化すること

神戸市・山川さん
 ・業務効率化の土台となることはペーパーレス化からという点

ソフトバンク・瀧口さん
 ・全てが電子化できたわけではないこと
 ・電子化するとどうよくなるか、トップの発信は大事ということ

■参考になりそうな部分はありましたか

ソフトバンクの民間事例を聞いて参考になった点を、神戸市にうかがいました。
神戸市・山川さん
 ・取り組みを徹底した上で、業務改革を進められている点を参考にしたいと思います。

ソフトバンクが徹底できている秘訣は? 

ソフトバンク・瀧口さん
 徹底できている工夫例として
 ・コピー用紙を利用する際は、上長が管理すること
 ・部門間でも目標を立てて見える化すること
 これらのことでそれぞれの意識が高まったと思います。

神戸市・森さん
 ・「重要なのは情報であって紙という媒体ではない」という意識づけを職員のアプローチとして参考にしたいと思います。

■他に、ご質問したいこと

神戸市・山川さん
 ・AI採用に取り組む中で反対意見や難しかった点はありますか?
ソフトバンク・瀧口さん
 ・完全にAIだけに合否を任せるということであれば反対意見もあったかと思いますが、スクリーニングとして活用し効果が上げられたので、結果的には問題がないことが実証されたということになります。

視聴者からの質問

・受け付けた書類の確認などで不都合は起きていませんか?
神戸市・山川さん
 審査やチェックはいまも課題となっており、検討しています。
 電子と紙が並存している状態では効率化は進まないと思いますので
 電子の利用率を増やしていくことが重要と考えています。

まとめ

目指すビジョンを策定し、現場に共有、共感を得ながら取り組み、進捗や成果についても可視化することで、達成のスピードや実績につながる、という事例をご紹介いただきました。

過去開催のアーカイブはこちら

Youtubeでは過去のアーカイブも公開していますのでぜひご覧ください。

今後の開催予定

・#3 「業務ツール「キントーン」活用と効果」11月2日(火)19:00-19:45
ご視聴お申し込みはこちら
・#4 「庁内DX推進にむけた人事戦略」12月1日(水)19:00-19:45

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▼開催の背景
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ヤフー株式会社が運営するオープンコラボレーションハブ「LODGE」は、「情報技術で日本をもっと便利に」を共通テーマとし、
様々な仕掛けでオープンコラボレーションの創出を目指しています。
コロナ禍に事業内容を転換し、自治体DX支援事業を開始いたしました。
その一つとして、自治体職員や自治体DXに興味関心のある方を対象に、オンラインイベント配信をおこなっております。
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