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【自治体DX】小さなことからはじめよう! 新年度からの業務改善:加古川市事例から学ぶ編

こんにちは。ヤフーのオープンコラボレーションハブ「LODGE」です。LODGEは地方自治体のDX支援の一環で、オンラインイベントの開催などを行っております。

このイベントでは、『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2021』受賞者の加古川市企画部政策企画課スマートシティ推進担当課長の多田 功様にご登壇いただき、業務改革におけるマインドチェンジの大切さ、はじめの一歩と広げ方についてお話いただきました。

新年度から、一歩を踏み出したくなる内容となっておりますのでご紹介いたします。小さなことからまず始めてみませんか?

<登壇者>
加古川市企画部政策企画課スマートシティ推進担当課長
多田 功様

<モデレータ>
ヤフー株式会社 オープンコラボレーションハブLODGE
徳應 和典

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デジタル化は目的ではなく課題解決のための手段

加古川市では、少子化、生産年齢人口の減少が課題になっているといいます。その大きな要因には子育て世代の転出があると考えられています。
子育て世代をはじめ、市民が安心、安全に暮らせる街づくりへのアプローチとして見守りカメラや移動検知による見守りサービスを官民協働で行っています。
市民へ説明し、理解していただき、多くの方の前向きなご意見や同意を得て設置され、結果として刑法犯罪認知件数は減少傾向につながっています。


デジタルの導入は、スマートシティ化ではなく、地域課題を解決するための手段であり、市民同士の声かけなども意識向上につながっている、というお話しをお伺いし、デジタル化とは市民と一緒に取り組んでいくものである、ということを理解することができました。
市民の評価も高く、もっとカメラを増やしてほしいという要望もあるそうです。
加古川市では、市民参画型のプラットフォームも活用しながら、さまざまなスマートシティ構想を市民とともに進めているということでした。

加古川市のDX事例のご紹介

■特別定額給付金のオンライン申請
・どのような仕組みか

各市民の申請書類に固有の照会番号を事前に通知し、オンライン申請フォームには照会番号と口座番号を入力、身分証明、口座の写しをデジタルで添付するだけで、簡単に申請が完了。
市では、申請内容と身分証明、口座の写しを一画面で確認することできるため、支給までのフローが非常に効率的。
また情報として管理できているので、別の給付の際にも迅速に対応が可能。

加古川市では子育て世代向けの給付金施策も実施されましたが、対象市民の9割がオンライン申請だったそうです。
市民の利用率が高い背景について伺うと、案内方法の工夫や、オンライン申請が難しい方は問い合わせ窓口でフォローしていたとおっしゃいます。
誰一人取り残さないデジタル化は「デジタルと人」「行政と市民」でともに実現していくのが大切なのだと感じました。

特別定額給付金にかかる加古川版オンライン申請システムは、市のオープンデータカタログに掲載されており、他の自治体でもダウンロードして活用いただいているそうです。

■ワクチン接種の予約抽選申込方式
・どのような仕組みか

電話による申し込みが殺到したため急遽、導入。
一定期間内に接種を希望する曜日や会場を申請すると抽選の上、
日時、場所を決定して案内する方式とした。

予約フォームの項目の作成にあたっては、コールセンターへ問い合わせが多い項目を参考にされたそうです。
現状起こっている課題を把握し、デジタルで解決できる仕組みを考えるという流れが、加古川市の事例をお伺いしていると、徹底されていると感じました。
こちらでも改めて、デジタル化は目的ではなく、課題解決のための手段であるということがよくわかりました。

業務改善は現状の可視化から

業務改善ってなに?

タッチタイピングやショートカットキー、関数の理解などのスキルは、
・効率よく仕事をする
・業務スピードを一気に加速させる
・事務ミスを防ぐ
ことにつながります。
実はこれらの作業は、RPAの導入でさらに効率的になり業務改善が進むといいます。
RPAは、計算やコピペやデータ移行など単純な作業が得意です。
人がすれば長時間かかる作業もRPAなら短時間で処理できます。
加古川市では、RPAの導入による効果は非常に大きかったといいます。
さらに効果はそれだけではなく、既存業務の棚卸しやプロセスを再検討することで職員の意識改革にもつながったようです。

加古川市では若手職員の提案をきっかけに、窓口業務改革推進係を設置し、行政手続きのスマート申請やスマートナビ、窓口状況混雑ナビなどを導入したそうです。

業務の可視化から改善点が見えてくる

多田さんがおすすめするのが、「マンダラート」による業務の可視化。
業務を可視化することで、現状業務の整理ができ、改善ポイントや不足しているポイントを把握することができるといいます。

市民サポートと人材育成

業務改善を進める中で必要になってくるのが、デジタル技術の活用に不安のある市民に向けたサポート。
加古川市ではスマホ講座を職員が中心となって開催しています。
また職員向けにデータ利活用人材の育成にも取り組まれているようです。

行政DXを進めるための多田さんの「金言」

多田さんには
・デジタル化は、目的ではなく課題解決の手段であるということ
・業務を可視化をすることで改善点が見えてくる
ということを具体的な事例を交えてお話しいただきました。

多くの自治体の職員の方も、業務改善の大切さを理解しつつも、行政DXが進まない現状があります。
そこを打破していくためのみなさんへのメッセージとして、多田さんが最後にお話しいただいた言葉が大変印象的でした。

公務員は誰のために仕事をするか

=市民のため(ただし「自分のため」を大前提にする)
「市民のために仕事をするのが公務員ではありますが、
自分も市民であり、自分の生活は楽しい方がいいし、幸せな方がいい。
自分のために仕事をすることが市民のためにつながる」

このお話を伺って、まず自分ごと化して、身近なところから変えてみるということが、はじめの一歩であり、原動力になるのではないかと感じました。

スモールスタートで。少しずつ。毎日やり続ければ変わっていく

「いきなり100点を目指すのではなく、自分のペースで少しずつやれば少しずつ変わってくる。
たとえば1日3個やることを決めて実行していくと、100日で300個になる。
1日1個でも、一歩ずつ進めていけば、振り返れば、歩んできた道が自信となる」

多田さんや、DXで成功事例を生み出している自治体の職員の方々も、壁にぶつかりながら、一歩ずつ、自分ごと化して取り組むというマインドセットを大事にされているということを感じました。
最初から大きな課題解決を掲げるのではなく、身近な課題に対してシンプルに分解して考えてみること。
これは官民や組織の規模にかかわらず、業務を進める上で参考にしたい学びになりました。

ご視聴いただいた皆様のアンケートには

「DXの取り組みは日々の業務の延長にあり、シンプルであるという学びがあった」
「DXが身近に感じました」
「さっそくマンダラートを書いてやるべきことを整理してみます」

と、気づきやアクションにつながるご感想をいただきました。

業務改善を実行し、実現されてきた多田さんのお話しにはパッションがありました。実績はもちろん、取り組む姿勢も含めて「本当にすごい!と思う地方公務員」の受賞につながったのだと感じました。
アーカイブ動画をご覧いただけると、多田さんのパッションを実感いただけると思います。
ぜひ、周りの方々ともご共有いただき、DXの推進のご参考にしてください。

グラフィッカー山口陽子さんに今回のウェビナーをまとめていただいました。

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▼LODGEについて
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ヤフー株式会社が運営するオープンコラボレーションハブ「LODGE」は、「情報技術で日本をもっと便利に」を共通テーマとし、
さまざまな仕掛けでオープンコラボレーションの創出を目指しています。
コロナ禍に事業内容を転換し、自治体DX支援事業を開始いたしました。
その一つとして、自治体職員や自治体DXに興味関心のある方を対象に、オンラインイベント配信をおこなっております。

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