人間が耐えられる限界の暑さ

今年は例年よりも早く、暑い日が続いていることが話題になっています。あちこちで日傘や熱中症対策を呼びかけられる中、2022年3月に人間が耐えられる気温や湿度が、従来の常識よりも低いことがわかったそうです。

https://journals.physiology.org/doi/full/10.1152/japplphysiol.00738.2021

研究チームが、室内の温度と湿度を徐々に上げつつ参加者らに運動をしてもらい、その中で計測された体温データを分析したところ、一定の体温が保てる「限界湿球温度」が35度だった参加者はなんとゼロ。「限界湿球温度」は高温乾燥環境では25~28度、温暖湿潤環境では30~31度で、いずれも35度よりも有意に低いという結果になりました。

研究チームを率いたLarry Kenney氏は、「私たちの研究結果は、世界の中で湿度が高い地域では湿球温度が31度以上になると、若くて健康な人でも心配しなくてはならないということを示唆しています。私たちは高齢者ではどうなるのかの研究を続けるつもりですが、おそらくもっと低くなるでしょう」と話しました。

https://gigazine.net/news/20220630-endure-temperatures-humidities-high-humans/

今回の実験では運動しながらという条件が加えられています。

上手く人間の体温調節システムが機能すれば多少の高温は耐えられるものの、体内の温度が過剰に上昇してしまうと人間は命の危機にさらされます。体温が38.5度に達すると、ほとんどの人間は疲労感を覚えます。加えて人間を構成するタンパク質は熱に弱く、体温の上昇によって体内のタンパク質が壊れてしまう危険性もあるとのこと。

また、心臓や脳、腎臓といった重要な器官の温度が上昇することで、人体を生存させるための重要な機能が失われることもあります。心臓はポンプとして血液を体中に送り届けていますが、体内温度の上昇は心臓に大きな負荷を与えます。また、大量に汗をかくことで脱水状態となって血管内の水分量が減少すると、さらに多くの仕事が必要となり、心臓が負荷に耐えられない場合は心不全などを起こしてしまいます。

https://gigazine.net/news/20190924-how-rising-temperatures-affect-health/

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