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「GoToキャンペーン」の虚無を言語化する

このnoteをお読みになる前に
①このnoteはあくまで観光業に従事する一個人の意見を綴ったものであり、私の関わる宿泊施設やブランド、プロジェクトとは関係ありません。またその他の観光従事者の意見を代弁する意図はありません。
②私たちの運営している宿泊施設は直接予約が主であり、予約サイトや総合旅行代理店からの送客が少なく、また私たちの運営している予約プラットフォーム『CHILLNN』もまた現時点ではGoToキャンペーンが適用される可能性が不明瞭であるため、直接GoToの恩恵を受ける可能性は比較的低い立場からの意見であることを予めご了承ください。
③この意見は現在(7/23時点)の状況や現時点で明らかになっている情報を基にしたものであり、今後の情勢変化や新情報の発表に応じて意見が変容する可能性があります。
④センシティブな内容の可能性があり不特定多数の目につくことを避けるために有料記事(マガジン購読者は閲覧可)とさせていただくことをご了承ください。


一昨日くらいまでなんだかんだでGoToはやった方がいいと思っていた。

こんな感染が広がっている時期に旅行を奨励するなんてどういうこと?とか、不要不急の旅行産業なんかより医療従事者や水害の被害地域や経済困窮者や大学生/就活生(...etc)の支援が優先度が高いのでは?とか、国民にお金をばらまくのではなく事業者に直接給付すれば?とか、経済は後から復興できるけど失われた人命は戻らない、とかいった声が聞こえてくる。これらの多くは正論だし、実際に共感できる部分も大きい。

それでも、業界全体が前年比97%減と死活問題に直面しているいま、旅行してもいい、とういメッセージを国が主体となって発信してくれることはものすごく重要だった。正直、観光市場は年間25兆円規模の巨大マーケットなので、1.7兆円なんてほんと雀の涙でしかない。だけど、GoToで直接市場にばらまかれるお金と、それに誘発されて動くと思われる個人資産の数兆円と、旅行をしてもいいんだという空気感がまた生まれることが希望だった。


決して人命を軽視しているわけではないし、このコロナショックでダメージを受けている多くの方々への支援も行ってほしい。どんなに感染対策をしたところで100%感染を防げるわけではないし(病院でだってクラスター化することはすでに実証済み)、万が一にも感染者や死者を出してしまった場合は取り返しがつかないし、自分たち自身も風評被害に苦しめられるだろう。

だけど、観光産業は旅行業者や宿泊業者のみならず、航空会社やバス会社、タクシー会社、レンタカー会社などの交通機関や、テーマパークや観光地などの娯楽施設、土産物屋や飲食店などの小規模事業者にその仕入れ元、リネン会社や清掃会社などの下請け企業など非常に裾野が広く、数百万人単位の人口が従事している一大産業で、彼らの収入源が回避不能な形で一気に途絶え、生活が成り立たなくなることとどう天秤にかけられるのだろう?

正直、今発表されている感染者数などのデータの扱い方にも疑問があるし(自粛期間と検査環境が異なるのだから一概に比較するのはナンセンス)、そもそも『旅行する=感染拡大する』の図式が成り立つとは限らない。


もちろん、このプロジェクト自体、キナ臭い部分はあるし、癒着やら中抜きやら様々な問題や疑惑を孕んでおり、課題や不備もあると思うし、私たちのような中小事業者がその恩恵にあずかれない可能性も濃厚だけれど、例えそうであったとしても日本の将来を考えた時に多額の税金を投じて取り組む価値がある政策だと思っていた。

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GoToは1兆7000万円をばらまくのではなく、1兆7000万円で旅行のできる世の中を買うものだと思っていた。だから青写真は普通に支持できるものだった。でも正直、今となっては私の期待は打ち砕かれ、前に進めなければ後ろにも下がない、1.7兆円が無為に帰すだけのただの虚無になったと思っている。


GoToが今どうなっているのかを誰も知らない

本来はここでGoToプロジェクトの概要とか論点とか現在地点を整理して書くべきなんだと思うのだけれど、それは難しい、というのが正直な現状になっている。

とりあえず、どうやら昨日チェックイン分の予約からGoToが適用されるらしい。そして、ホテル事業者や一般の旅行事業者は昨日から仮の登録申請ができるのだという。そして申請のための条件や手続きなどを含むGoToの概要をまとめた資料が昨日、公開されていた。

ところが、これを読み込んでも随所が曖昧で全体像を理解することはできない。さらに、事務局には私たちと同じように疑問を持つ事業者からの問い合わせが殺到しており、ホテルとして、プラットフォームとして、このキャンペーンに対応するための情報を全く得られず、したがって申請すらできない状況にある。

▲CHILLNNのPMのボヤキが切実。事業者側として、宿泊ゲストや加盟施設への責任を全うできないことへのフラストレーションを感じているが、聞くところによると観光庁側もGoToの問い合わせ対応に忙殺され疲弊しているらしく、誰も幸せになっていないただのカオス。


今日公開された資料から私たちが読み取れたプロジェクトのスキームを図解するとこのような形になる。もしかしたら正確ではないかもしれないが、それくらい現状で明らかになっている情報がわかりづらいことの証左であると言えるし、むしろ正解を知っている人がいるなら普通に教えて欲しい。


L&Gでは、HOTEL SHE,をはじめとする5つのホテルにくわえ、ホテルの直接予約プラットフォーム『CHILLNN』を運営しているので、今回のGoToには宿泊事業者として、旅行事業者として、そして個人消費者として、という3つの立場から関わることになる。

このnoteでは旅行事業者、そして宿泊事業者それぞれの視点から感じる問題点について解説していく。

(念のため補足しておくと、GoToには政治献金や中抜きなど様々な疑惑がつきまとっているが、そこに関して糾弾する気力はもうないし、当事者以外の方も意見できる領域だと思っているためこのnoteでは割愛させていただきます)


■旅行事業者視点での問題点

①特定企業による制度設計

今回のGoToトラベルは、ツーリズム産業共同提案体(以下、委員会)という、旅行業協会や大手旅行会社、大手OTA、ホテル連盟によって構成された組織が運営母体となっており、おそらく制度設計にも少なからず関わっている。

ツーリズム産業共同提案体
JATA(日本旅行業協会)、ANTA(全国旅行業協会)、日本観光振興協会、JTB、KNT-CTホールディングス(近畿日本ツーリスト)、日本旅行、東武トップツアーズから構成され、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本旅館協会、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟、リクルートライフスタイル、楽天、ヤフーが協力する組織。

これはおそらく2018年の北海道地震の際に実施された北海道ふっこう割への批判の反省からきていると思う。私たちのホテルも被災し向こう1ヶ月分の予約が剥がれた中で、ふっこう割による旅行需要喚起を期待していたのだが、

なぜか、

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