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地域をかえる宿づくり|HOTEL in HOTEL連載vol.4「MINAWA」

「HOTEL SOMEWHERE」というオンラインのホテルへ、いろんなホテルが出向いていただく「HOTEL in HOTEL」連載企画。

ここでは、CHILLNNに掲載されているおすすめホテルの方々に、「HOTEL SOMEWHERE」へと来ていただき、「HOTEL in HOTEL」を実施します。と言っても実際に空間はないので、この記事こそが「HOTEL in HOTEL」。
この記事の中だけはオンラインに存在する別のホテルなのです。
「HOTEL SOMEWHERE」の中で語られる日本中の素敵なホテルの物語。是非ご堪能ください。

今回は福岡県で地域をかえる宿づくりを掲げる「MINAWA」が登場します。

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はじめに

みなさん、はじめまして。

エリアリノベーションファンドという、すこし毛色の変わった投資活動をしている糀屋(こうじや)といいます。このファンドを通じて、地域の方たちと連携して地域にお金がまわる「地域資本循環経済圏」をつくり、地域の自立のお手伝いをしています。

この記事では、エリアリノベーションファンドが投資をする福岡県宗像市の離島『大島』にある1日1組限定の宿”MINAWA”について、どのような想いでつくられたのかをお話しさせてください。
みなさんに、大島の魅力、MINAWAの魅力、そして私がやろうとしている地域再生の活動について少しでも伝わるとうれしいです。

画像1MINAWAのリビング

神守る島 大島

「大島」というと、伊豆大島を想起される方が多いかもしれませんが、福岡県宗像市にも大島という島があります。

大島は、古事記や日本書紀にも登場する「田心姫神(タゴリヒメ)」を祀り、現在でも女性の立ち入りが許されていない世界資産の沖ノ島への信仰をもちつづける”神守る島”として神秘的な装いを保持しつづけています。

画像2沖ノ島
(宗像大社HPより)

大島は恵まれた漁場をもち、一次産業である漁業を生業とする、とても静かで自然にあふれた素晴らしい島です。

しかしながら、大島も日本の地方と同様、高齢化とそれにともなう人口減少により年々人口は縮小し、現在は人口600人をきっています。推計によっては5年後に人口が半分になるとするものもあります。まさに構造的な人口減少によってひきおこされる問題に悩む日本の縮図といっていいでしょう。

哀れみの目でみられたMINAWA

2年前に大島にきた頃に、島民の方に「1泊10万円とれる宿をやろうと思っているんです」という話をした時に、反対されるというよりも、「まーた外から頭おかしいのがきたわ。」といった哀れみの目でみられていたように感じています。

島内でお話をさせてもらった方からの正直な感想だったとは思います。というのも、大島には昔ながらの1人3000~4000円といった価格帯の民宿がほとんどで、そのなかで1泊10万円というのは理解を超えていたように思うのです。

これは「地域あるある」だと思いますが、地域の人たちは、自分たちのまわりにある価値に気付いていないことが多いのです。私たちのような都市生活者にとっては新鮮であり、驚きの対象となるものが、その地域の人たちにとっては日常生活でしかないからでしょう。

前述したとおり、大島の人口は年々減っています。
地域インフラ(水道・電気・公共交通など)を維持していくためには、必然的に地域が売るサービスやモノの価値を上げるしかありません!
もし、それができないのであれば地域住民は疲弊するとともに、地域のお荷物となってしまうでしょう。その先はいうまでもなく地域の消滅です。

所得を維持するためには、理屈として売る商品なりサービスの値段設定をあげるしかないのです。そうしないと、地域の人たちの所得は下がる一方で疲弊するだけなのです。シビックプライド(郷土への誇り)も喚起されません。

このような理由から、私が運用するエリアリノベーションファンドでは、地域の生き残りのためには、地域資源を価値付して高く売ることが最重要であると考えていますし、時間がかかっても地域の人に説得していくつもりです。最高の処方箋は、MINAWAのようにリスクをとって実際に事業を成功させて、みなさんを巻き込むことだと思っています。

MINAWAでの時間を楽しんでいただくために

さて、すこし難しい話が続いたので、ここからは、MINAWAのこだわりのポイントをご紹介していきたいと思います。

MINAWAには、沖ノ島を見ることができる気持ちのよいテラスがあります。かわいい灯台もアクセントになって、とても素晴らしいビューです。私が、MINAWAを一目みて宿泊業をはじめようと思ったのもこの唯一無二の立地でした。

この素晴らしい立地がMINAWAの大きな魅力となっています。

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このオーシャンビューの個人的なおすすめの堪能の仕方をご紹介します。

画像2➀ 日没を楽しむ

夕方になったらまず電気をすべて消してください。そして、夕陽が沈むのを眺めながらMINAWAのバスルームのお湯につかってください。MINAWAの周辺には家がありませんので夜は人気がありません。微かな波の音がここちよく響きます。

タンカーが横切る夕日は、なにかせつないものを感じます。都市生活では体験できない貴重な瞬間をここでは感じることができます。普段の生活で失った何かをここで取り戻している実感があります。

画像3➁ 暗闇を楽しむ

周辺は人けがありませんので、夜の灯りは漁火だけです。

当然、MINAWAの周辺は漆黒の闇です。
まわりからは、危険だから外灯をつけるようにアドバイスをされたのですが、私はどうしてもこの漆黒をあえて残したいと思いました。何故なら、都市生活をしていて、これだけの漆黒を感じることがないからです。
正直、自然の中の漆黒は何かに襲われるのではないかという恐怖を引き起こします。
しかし、私にはMINAWAをつくるときに、ここでしか味わえない体験をしてもらいたいという譲れない想いがありました。
漆黒の中で見上げる星空は感動的です。私はこの体験をどうしても体験してもらいたいと思い、MINAWAにはあえて一切外灯をおかないことにしたのです。

画像5➂ 身体を労わる

MINAWAのテラスで大自然を感じながら受けるリラクゼーションマッサージです。

実は大島には、凄腕の整体師さん・鍼灸師さんが島のキーパーソンとしていらっしゃいます。
そんな彼らが提案してくれたオプションメニューは、「リラクゼーションマッサージ&カッピング 7,700円/60分」と「メンテナンスマッサージ&鍼灸8,800円/60分」。
MINAWAに訪問していただき、暖かい時期であれば、ぜひテラスで大島の風を受けながら体験できます。

大島の人とふれあいの体験をつくりたい – あえての泊食分離

地域の活性化のためには、お金が地域内に循環する仕組みが必要です。MINAWAには調理人はいないため、お食事については、島内の飲食店からのデリバリーか、島内のいくつかの飲食店を積極的にご紹介しております。そうすることによって、島内の飲食店にお金が落ち、地域の持続可能性につながりますし、島民とのコミュニケーションも生まれます。
旅の思い出の多くの部分は、地場でとれた魚や野菜などをつかったおいしい料理の思い出でつくられていると思います。どんなに素敵な場所でも、食べた料理がいまいちだと、満足度も半減してしまいますよね。
写真は、民宿つわせさんの名物「トウヘイ鍋」。トウヘイ=クロアナゴのこと。うなぎに似た風貌の肉厚な魚で、大島では昔から食べられていた食材です。トウヘイ鍋は、祭りや行事などのときに家族や仲間と囲むいわばハレの日の料理。骨からスープをとり、野菜と一緒にみそ仕立てでいただきます。提供は11月〜3月の季節ものですが、他の時期もその日捕れた新鮮なお魚料理がテーブルいっぱいに並びます。

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大島の意外なアクティビティ

大島には釣りやカヤックなどの海でのアクティビティの他にも、素晴らしい自然環境をいかしたアクティビティがあります。
その中でも私がお気に入りなのは、カナディアンキャンプ大島牧場です。四方を海に囲まれた自然豊かな大島ならではの環境で乗馬体験ができます。

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玄界灘をバックに観光スポットである砲台跡や風車を眺めながら、気持ちのよい風にあたっての乗馬は、他にはないここだけの体験です。ぜひ大島に行かれた際には体験していただいたきです。

大島をもっと魅力的なものにするために

ここでは、詳細を述べる余裕がありませんが、エリアリノベーションファンドは、MINAWAを数年内に地域資本によって構成された会社に譲渡することをお約束しています。それによって、地域資本循環経済が駆動し、地域の自立につながるからです。

私の推計となりますが、もしMINAWAが地元資本によって構成された会社に譲渡された場合、地域の所得は約1%上昇します。MINAWAという宿だけで、地域にこれだけのインパクトが生じるのです。
このあたりの詳細は、エリアリノベーションファンド構想についてまとめたnoteをご覧ください。

MINAWAという宿泊施設は小さい宿ではありますが、このMIANWAの成功とエリアリノベーションファンド構想は、大島の持続可能性に影響を与え得ると考えています。

そうした意味でMINAWAは重要な資産なのですが、正直、自分の中では、MINAWAにはまだ全然満足がいっていません。予算的な都合からデザイン面で手をいれられていない部分もありますし、ご提供する食事ももっとこだわりたい(いま、大島に今までにない形態の飲食店をつくろうと考えています)。サウンドスケープやアートにもお金を使いたいですね。

それらのMINAWAの魅力を引き上げるための施策は、宿泊者の満足度をあげるとともに、将来に持続的に残っていく資産の価値をあげることにもつながります。
MINAWAは小さい宿ではありますが、その背景にある思想の射程は長く大きなものであると考えています。そういう意味でもMINAWAを起点とした価値ある体験をどうつくっていくかがとても重要です。

そのためにも、ぜひみなさんに大島にお越しいただいて、MINAWAに宿泊していただき(もちろん他の宿でも!)、島の食事を楽しんでもらい、島民の方々と接していただきたいです。
そして、その感想を教えていただきたいです。
私たちは、そんな皆様からの声を必ず反映させて、より良い体験をしていただけるようにします。
そうやって皆様と一緒に地域の魅力を引き出していければと考えています。

地域の発展は、地域を体験してくれる方々と一緒につくりあげていくもの、そう思ってこれからも大島での活動を続けていこうと思っています。

ぜひ大島に遊びに来てください!

文:糀屋 総一朗MINAWA


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