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【SDGs-Workshop第2回】カードゲームで体験!SDGsが企業に求めるイノベーション思考「アウトサイド・イン」とは?

5月に始まったラバブルマーケティンググループのSDGs推進プロジェクト「LMG’s SDGs Project」✨
6月22日、第2回ワークショップを開催しました!

第2回の主目的は、SDGs推進企業に求められる「SDGsマインドの醸成」でした💡

●そもそも企業がSDGsに取り組む利点とは?
●SDGsが求めるビジネス思考とは ―「マーケット・イン」ではなく「アウトサイド・イン」―
●「アウトサイド・イン」を体験!ビジネスカードゲーム
●「SDGsマインド」 インサイトTOP4

といった流れで、学んだことと活動の様子をセットでご報告します!!📄

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企業がSDGsに取り組む利点とは?

「SDGs」と聞くと、「取り組まなければならないもの」と責任感や義務感が先に来る方が多いかもしれません。
しかし私たちは、これまで2回のワークショップを通じて、SDGsを「機会」と捉え、ワクワクしながら取り組んでいます。

第2回ワークショップでは、SDGsアドバイザーの眞鍋先生から、「SDGsによってもたらされる市場機会は、世界で年間12兆ドル」というお話を伺いました。(*出典:PwC2015年調査、Better Business, Better World, Business & Sustainable Development Commission)

SDGsは、全世界が合意した2030年の未来図です。
企業にとっては、世界に足りていないものが記された潜在マーケットMAP、あるいは、世界に求められるイノベーションMAPとも言えるかと思います。

そして、この未来図の示す方向へ、お金の流れが出来ています。
環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮している企業を重視・選別して投資を行うESG投資の流れは、急速に加速しています。

日本の生活者の間でも、2019年にSDGsの認知度は、16%に達したと言われており、キャズム(新しいアイデアや行動様式が普及する際に障壁となる深い溝)を超えた、と捉えられます。
(*出典:株式会社電通、日本全国の10-70代を対象にしたアンケート調査、2019年)

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SDGsには、イノベーションのヒントが詰まっていて、SDGsに取り組むことは、世界中から後押しを得ることにも繋がっていきます。
市場の新陳代謝を担うベンチャー企業こそ、SDGsをイノベーション機会と捉え、積極的に取り組むメリットがあるのではないでしょうか。

SDGsが求めるビジネス思考とは ―「マーケット・イン」ではなく「アウトサイド・イン」―

SDGsという未来図を手に、イノベーションを志向する際、肝になるのが「アウトサイド・イン」という考え方です。

マーケティングの考え方として、"自社の強み”を起点に製品をつくり市場を開拓する「プロダクト・アウト」の発想から、"顧客ニーズ”を起点に顧客が求めるものを作る「マーケット・イン」の考え方が主流になっていますが、SDGsが求めるのはその一歩先の発想だと言います。

既に物質的に満たされて、顧客自身も欲しいものが見えづらくなっている時代、既存顧客の声を聞くだけでは差別化が難しくなってきました。そこで、その先(アウトサイド)にある"社会全体のニーズ”を起点とすることで、独自性のあるビジネス機会を見出していく考え方が「アウトサイド・イン」です。

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▼「アウトサイド・イン」の思考を取り入れた成功事例:
リーマン・ショックを機に見事なV字回復を果たした日立製作所では、1,000近くあった子会社の事業を「近づける事業と遠ざける事業」の名のもとに再編成を行いました。「近づける事業」は、水や交通といった社会課題を解決する9つの分野に絞り、社会課題に事業機会を見出して、自らのビジネスドメインを、社会課題を解決するソーシャルイノベーションカンパニーと定義付けた結果、V字回復に繋がったと言われます。
参考:SDGs アウトサイドイン カードゲーム運営事務局

「アウトサイド・イン」を体験!ビジネスカードゲーム

「アウトサイド・イン」の考え方で事業に取り組むとき、その事業が拡大すればするほど社会課題解決が促進される、という関係が成り立ちます。
即ち、企業のSDGsへの取り組みは、「本業とは別に、こんな良いこともしています」という状態ではなく、「本業を通じた社会課題解決を図る」ことが原則になります。

そこで!グループ5社の事業を担う役員・マネージャー・参加希望メンバー 計30名を集い、SDGsが求めるビジネス思考「アウトサイド・イン」を体感するビジネスカードゲームを行いました!
その様子が、こちら↓🎥✨

「SDGs アウトサイドイン カードゲーム」とは?
数人のチームを会社に見立て、社会課題解決型の新規事業創造を体験するビジネスカードゲーム。
▼今回の進め方
(1)3人1組のチーム(各社)に配布された「社会課題カード」を読み解き、「アセットカード」と「ソリューションカード」を組み合わせて、解決策(新規事業)を考えます。
(2)その新規事業(アセットカード+ソリューションカード)に2億円のお金カードを投資し、事務局に持っていきます。見事、新規事業が立ち上がると「新規事業カード」がもらえます。
失敗した場合は、2億円を失います。
(3)新規事業立ち上げに成功したら、それを広めるためのプロモーションを考えます。
「プロモーションカード」1億円×枚数(3枚まで)のお金カードを事務局に持っていきます。
(4)事業が生み出した価値や広まり具合によって、対価を得られます。
→ 制限時間内に(1)〜(4)を繰り返し、稼いだ金額と、解決した社会課題の数をシェアし、うまくプレイするためには、どのような振る舞いが必要だったかを話し合います。
*新規事業の成否や対価は、実際の事例に基づいて設計されているそうです。
参考:SDGs アウトサイドイン カードゲーム運営事務局

3人1組で、10チーム(10社)を作り、「SDGs アウトサイドイン カードゲーム」を2ラウンド繰り返すと、かなり大きな差が出ました!
多くの社会課題を解決しつつ資金を倍増させたチームもあれば、倒産してしまったチームも(笑)

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新規事業創造の成功要因・失敗要因は何だったのか…?
ゲーム終了後は、皆で「気づき」を話し合いました。
当日の話し合いをもとに、私なりにインサイトTOP4をまとめてみます。

【学び1】新規事業を成功させるには、まず「社会課題をよく知る」こと!

失敗要因として最も多かったのは、「手元にあるアセット(アセットカード)とノウハウ(ソリューションカード)を結びつけて、新規事業を起こそうとしても失敗が続いてしまった」というケース。

一方で、成功したチームでは、「社会課題カード」をしっかり読み込み「アウトサイド・イン」の考え方で、新規事業を立ち上げていました。

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「社会課題」から考えていくことが、成功ポイントだった、ということなのですが、実際のビジネスで考えてみても、自分たちがいま持っている限られたものから新規事業を考えるより、確実に社会的要請のあることから考えていく方が、新規事業の成功確度が高まるのでは、という感覚を得ることができました。

眞鍋先生からは、「日本政府は、アクションプランを毎年出しています。社会的要請をしっかり読みこんで、こんなことできそうかも?と普段から考えていく姿勢が大事ですね。」とご助言頂きました。

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出典:SDGs推進本部 SDGsアクションプラン2020

「社会課題をよく知る」ことがスタートラインであり、社会課題へのアンテナを張っていないということはスタート地点にすら立っていない、ということなのではないかと感じました。

【学び2】自社リソースにこだわる必要はない

カードゲームでは、「他社との交渉は自由」とされていました。
そこで、多くのチームが、他社の持っているアセットやノウハウ、プロモーション手法を見に行って、情報収集をしたり、カードの交換・買収・共有(レベニューシェア)等の交渉を自由に行っていました。

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その結果浮き彫りになったことは、社会課題解決のために、自社が現状持っているリソースにこだわる必要はない、ということです。

眞鍋先生からは、「この中にある全てのカードを使って社会課題解決を図っていくという姿勢が大事です。競合は、ライバルではなくパートナーになるかもしれません。新規事業の推進を阻害する最も大きな要因は自分自身のメンタルモデルにあります。」とご指導を頂きました。

社内でも社外でも、他者を「ライバル」と捉えて、いかに出し抜くかという思考で、目先の駆け引きに明け暮れていると、可能性がどんどん小さくなってしまうのだと思います。「利用する存在」(=取るに足りない存在)と見なしている場合も、実現できることは限定的です。
共通のゴールを掲げて「一緒に解決していこう」という発想で、幅広い他者と「共創関係」を築く力、それが、可能性を広げることになります。
競争から共創へ-そうしたメンタルモデルが今求められているのだと思います。

【学び3】VUCA(ブーカ)時代こそ、軸(ゴール)が大事

失敗要因として「情報が多くて処理しきれなかった」「後発になってしまった」「ゲームのルール理解が不十分だった」という声も挙がりましたが、
これに対して眞鍋先生からは、「現実世界で、ビジネスのルールについて、皆さんどのくらい理解していますか?」と問いかけがありました。
ゲームを始める際、ルールやコツを、あえて全ては説明しなかったそうです。

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もし、必要な情報が全て整理された資料が手元にあり、競争ルールが明確で不変なら、うまくプレイできるでしょうが、現実世界はそうなっていません。情報が溢れ、競争ルールは不透明かつ日々変わっていきます。

そのような中、効率的に情報収集を行い、スピーディに変化に適応していくためには、軸が不可欠です。
現状の外側にある、大きなゴールを軸にしていくことで、想定外の状況や変化に直面しても、効率的かつ効果的に対応しやすくなるのだと感じました。

【学び4】個人の思い・モチベーションを推進力に

このゲームでは、プレイヤー1人1人に、あらかじめ個人の思いが書かれた「プレイヤーカード」が配られていたのですが、「このカードの使い道がよく分からなかった」という声が多く挙がりました。

実際、所属している組織の中で、「多くの社員が、自分起点の"想い”を殺して仕事をしている」と言われているそうです。
現チームが抱える喫緊の課題に照らして、その想いは無関係に思われることも多いかもしれません。
ただ、1人1人がその想いを起点に行動していくと、組織の枠組みを超えて、コラボレーションのネットワークができていきます。
イノベーションを起こすには、社内リソースだけでは実現できないことも多いので、目先の課題だけにとらわれず、自分の想いを起点に、1人1人が、日頃から共創ネットワークを築いていくことが大事だというお話がありました。

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ただし、「こだわりが強すぎると、事業としてうまくいかなくなることもある」というお話もありました。
「この問題を解決したい」「こんな未来を実現したい」という強い思いは、推進力として大事だけれど、そのプロセスにおいて、「全て自分の計画通りに進めなければ」とこだわりすぎると、他者とぶつかってしまったり、近視眼的になってしまうのかもしれません。
ゴールへの思いは強く、計画は柔軟に。視野を広く保ち、計画通りにいかないとしたら、より良い道が拓けるかもしれないと、他者の思いや力を活かしながら柔軟に進めていく。
そんなバランス感覚が、イノベーターに求められるマインドなのかもしれません。

おわりに

4時間にわたったワークショップの最後に、代表の林は、
「まず先にゴールがあって、リソースは自社にこだわらなくても持ってきたら良い。普段、ゴールを考えるときに、リソースから考えてしまいがちなのでは?」
「皆、資本主義というゲームをずっと生きてきたから、"他社より多く稼ごう”という競争的な発想でゲームをしてしまいがちだが、共創的な発想で"みんなでこの社会課題を全部解決しよう”と呼びかけても良かったのではないか?」
「楽しくないと続かない。内発的モチベーションってそのための推進力になるものだと思う。」
と振り返り、これには多くのメンバーが共感を示していました。

第2回ワークショップでは、SDGs推進企業としてのマインド醸成が1番の目的でしたが、それぞれが多くの「気づき」を得られたように思います。

守屋: 課題解決のインプットが重要だと感じたと同時に、自社の利益だけでなく、企業同士が連携しながら社会全体として解決のための動きを考え、実行していく必要があると感じました。
自社だけでなく、他社を巻き込んで解決方法を考えることが重要ですね。
椙浦:コムニコ社員、日本人という枠を取っ払って、自分の置かれた立場に縛られずに地球人の一人として課題に向き合うことが大切だと思いました。
広い視野を持って、LMGでできることを考えて行きたいです。
中村:事業を起こして利益を得ることに一生懸命になっている、そういった"スタンダード”な考え方も変化していくかもしれないのかなと思いました。
鈴木:普段の業務の中でも必要な考え方が詰まっているワークで、色々と考えさせられました。
今あるリソースありきで課題解決を考えるのではなく、目指したいゴールを設定し、足りないリソースは他者を巻き込んで進めていくことが、課題解決においての一番の近道なのかもしれないと思いました。
神部:「ゴールから逆算する」「他社のアセットも利用できるように」ここが一番深く残りました。
「やらなきゃではなく、企業も利益を出しながら持続的にできる解決策」が生み出せると楽しいなと改めて思いました!

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こちらの30名が中心となって、「SDGsマインド」を全社に伝えていきたいと思います!!
第3回も、このメンバーでワークショップを行い、引き続き、SDGs推進企業としての礎を強化して参ります。

※このnoteでは、「SDGsステートメント」策定までの全6回のワークショップの過程を全てオープンに発信していきます。SDGsへの取り組みにご関心をお持ちの方へ、ご参考になることがあれば幸いです。

木下


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