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ロロ放談:望月綾乃と森本華の場合

ロロメンバーが適当なところで適当な雑談を行うこの企画、第2弾の望月×森本ペアは二人の提案により皇居→東京タワーの散歩中対談をお届け。方向音痴を自認する二人の散歩と対談は、『BGM』と関係がないようで意外と関係があるような……?(構成&写真:もてスリム)

二人は大手門から東京タワーへ向かって歩き始める。左手にはパレスホテル。散歩という案は二人から出てきたものだったが、ロロの全ペアのなかで一番多くの案を出してくれたのがこの二人だったのだという。

望月:対談で何するってなって、一番最初お祭り行こうって話してたね。神楽坂のほうずき市行こうって。あとはボウリングと乗馬だっけ?

森本:二人が下手なものをやったら面白いかなと思って。私と綾乃さんがどっちも下手そうなもの──ボウリングと乗馬はいいかなと思ったんだけど、夜だし、ボウリングはゲームしながら話せないしと思ってやめちゃった。

望月:じゃあ目的がない散歩にしてみる?って。昔横浜から桜木町まで歩いたときに二人共方向音痴だからめっちゃ迷ったけど面白かったねって話になって、地図なしで目的地まで行ってみようってことになったんだよね。……っていうか、ちょっと待って、東京タワーどこにあんの?

森本:あそこあそこ、あれじゃない?先っちょ出てるでしょ。

望月:あー、あれね。私東京タワーは登ったことあるけど、スカイツリーは登ったことないな。華はある?

森本:ない。なんで登るのかわかんない。

望月:やっぱ気持ちがいいじゃん。登ると。

森本:命をぶら下げてるわけじゃん。登ると死の危険が高まるわけじゃん。

望月:やっぱそこに対してはコンクリートの信頼感あるから。木造だとめっちゃ怖いじゃん。

森本:ジェットコースターとかなんでみんな乗るんですか?あんな危険なものに。死がよぎることはないの?

望月:それはやっぱ大人になってから増えてきた。もし故障したらとか。小さい頃の方が全然気楽だよね。

森本:小さいときから「死んじゃうよ!」って恐怖が強いのよ。

望月:万が一の可能性をすごい考えるってこと?

森本:家にひとりで残されるっていうのも怖くて、それもなんで怖いかっていうと、お母さんがお父さんを駅まで迎えに行ってる間ひとりなのよ家で。そこでお父さんとお母さんが交通事故にあったらどうしようみたいな。

望月:それで留守番したくないみたいな?私はそこまで危機管理能力ないから、留守番始まってから「もし交通事故があったら」ってぶるつくタイプ。

森本:でも「なんでお留守番できないの?」って聞かれて、「お母さんとお父さんが交通事故で死んじゃうから」って答えてて肝が冷えたってお母さん言ってたけどね。

望月:うちの娘ヤバいみたいな?

森本:ギョッとしたって。何その予知みたいな。たしかに死に対する恐怖が強いのかな。亀さんも言ってたけどな。住宅街に飛行機が落ちちゃうやつとか怖いじゃん。

望月:東京タワー、マジで見えないな。通り過ぎてない?

森本:通り過ぎてはいないけど、もうどこも曲がらないんじゃない?

望月:じゃあもうすぐじゃん。着いたも同然じゃないの。あっ、日比谷公園だ。寄ってく?地図見ようよ。

森本:いや意味ないって地図見ても。わかんないからさ。えっ、「大噴水」って何?いまどこ?

望月:大噴水まで行ってみる?

森本:大噴水まで行ったら東京タワー戻れなさそうじゃない?

望月:いや行けるでしょ。

森本:じゃあ行こうか。でも大噴水どこ?

こうして二人は日比谷公園に入っていく。公園の入り口から大噴水まではほぼ一本道といっていいほどシンプルな道だったのだが、二人は複雑な解釈をしているようで見当違いの方向に進みかけていた。

森本:あれ、野音てこのへん?そうだ、私野音でピーズのライブ観た。

望月:ピーズ、前武道館でもやってたよね?

森本:やってた。それより前くらいかな。綾乃さんは音楽何聴いてる?

望月:アップルミュージックで聴くけど、垂れ流しみたいな。知らない人の曲聴いたり。

森本:じゃあ最初に買ったCDは?

望月:KinKiKidsの『硝子の少年』

森本:あー、いいなー。オシャレ。いいなー。

望月:華は何?

森本:言っちゃう?野猿だね。あっ、いや、SPEEDかも。

望月:私もアルバム初めて買ったのはSPEED。シングルが『硝子の少年』。細い8cmシングルだったよ。当時あの形のシングルって1枚1000円したの。でも『硝子の少年』は500円で、だからお小遣いで買えたの。Kinkiのデビューシングルだったんだよね。ドラマとかいっぱい出てたんだけどCDは出してなくて。

森本:私ポケビかもしんないなあ。ポケビも500円だった気がする。

望月:電話したわー。ポケビかブラビか。投票で。でも、音楽なあ。大学生の頃ニコニコ動画で狂ったようにアニソン聴いてたけど、それもねえ。

森本:私はオシャレな音楽聴いてる人ってイメージあったけどね、綾乃さんたちは。みんな先輩だから。

望月:「先輩だから」?

森本:ロロの人たちと(島田)桃子はオシャレな音楽を聴いてる人たちって思ってた。

望月:大悟とか全然そんな感じじゃなくない?

森本:私大悟さんもそうだと思ってたよ。やっぱ全然イメージ違うね。私は総じてオシャレな曲を聴いてる人たちって思ってたから。

望月:駿谷さんはヒップホップ、亀ちゃんと大悟はバンド……バンド?あれ、何ここ。オクトーバーフェスト……?えっ、これ飲んでいいの?

森本:えっ楽しい!おお、これ大噴水じゃん!水出てないけど。っていうかやばい、東京タワーどこにあるのか全然わからん。

奇しくも二人が日比谷公園を訪れた日はオクトーバーフェストの期間中で、気まぐれに目指した大噴水の広場はビアガーデンと化していたのだった。取り敢えず休憩ということで、二人は噴水脇のベンチに陣取りビールとフライドポテトを交えて話を続ける。音楽の話は、いつの間にかロロの話へとスライドしてゆく。

望月:EMC(Enjoy Music Club)と出会って話してみて、毒気のなさっていうか、ミュージシャンてこんななの!?って思った。別にミュージシャン全員がそうじゃないとは思うんだけど。懐疑的な目線とか全然ないじゃんあの人たち。

森本:少年探偵団みたいだよね、ほんと。でもずっと一緒にいられるってすごいよね。ロロはさ、ほんとに知り尽くしちゃってるじゃん。もう新しい面みたいなのないじゃん、お互いに。

望月:こんなとこ見たことないって思っても、突き詰めればあの時の感じの変化球バージョンか、みたいな。すぐわかるもんね。

森本:もう全部知ってるからね。いま何年目なんだっけ。8年目?じゃあもう知り合って10年は経ってるんだ。

望月:そうだよ。三浦くんとか大悟とか私12年くらい一緒にいるからね。

森本:私も桃子は12年くらいか。桃子はほんとにかわいかったからなあ。

望月:いやかわいかった。びっくりしたもん。

森本:授業に現れたとき教室が揺れてたからね。私、思わずナンパで声かけてるんだよね、桃子は。自然に友達になったんじゃなくて何か一緒にやりませんかって声かけた。ロロも、桃子ちゃんてすごいかわいい子がいるからって言ったら、お願いしますってなって。ありゃかわいかったんだよなぁ。

望月:でも、かわいいだけじゃなくてよかったね。あれでかわいいだけだったら敵多いじゃん。でも変だもん演技とか。変だな〜って思うよ、観てていつも。うまいとか、かわいいとかきれいじゃなくて、めちゃくちゃ変だから。演技が。怖い。

森本:ははは。でも頭もよかったからね。たまに三浦さんが難しい古典にハマったりとかして本渡されたりするんだけど、意外と桃子はスルスル読めたりするみたいな。教養はあるんだよ、変だけど。

望月:私は三浦くんとかは1年生の頃から。でも、亀ちゃんとか途中まで知らなかったけどね、存在。

森本:そうなの?亀さんは私の方が……私はコースが一緒で、先輩が後輩を出迎えるみたいなのがあったから飲みに連れてくれていったりとかしてて。割と遊んでた気がするけど、その時はもう綾乃さんたちもいたかな。

望月:いや私亀ちゃんと遊んだ記憶ないよ?亀ちゃんは最初三浦くんがなんか、最近仲良い男の子みたいな感じで連れてきて、三浦くん最近その方といらっしゃるんですね、みたいな。

森本:めっちゃ遊んでもらった記憶あんだよな亀さん。なんでだろ。

望月:大学2〜3年になって、私と大悟が舞台やったりとか、亀ちゃんが作・演出やったりとか、演出助手に華がついたりとか。そこら辺からいまのロロみたいな感じになってたけど。それまでは全然……見た目も怖かったしさ。

森本:怖かったよね。水色の革ジャン着ててさ、空色の。覚えてる?あんなスカイブルーの革ジャン見たことないもん。

望月:っていうか、そろそろ東京タワー行く?21時半までには着きたいでしょ。

オクトーバーフェストをあとにした二人は再び東京タワーを目指して歩き始める。地図を見ればわかるとおり、皇居から東京タワーまではほぼ一本道を歩くだけなのだが、このあたりは高層ビルが多いせいか意外と東京タワーが見えなず、それが混乱を生んでいるらしい。

森本:東京タワーってあっちなんだよね?綾乃さん的には。

望月:私的にはっていうか、そうでしょ。

森本:責任をね。一応、責任を。……綾乃さんは旅するときさ、めちゃめちゃここ行ってこれを見てとか計画立てるタイプなの?

望月:いや、どうだろ……みんなで旅行行くときは、計画立てたい人に任せる。別の土地に行ってるって感覚が欲しいだけで、何かを見たいみたいなのがないからね。

森本:じゃああんまないんだね。

望月:そういう旅行の行き方あんましたことないかも。

森本:私もそっち派なんです。休みに来てるわけだから。でも、あれ行ってこれ行ってとか言う人いるじゃない?これがあれなんですよ、これまで行った先に何かがあってそれを楽しめばいいじゃんみたいなのがかっこいいと思ってたの。でも、結局方向音痴だからさ。何も見つけられないまま終わるみたいな。でも三浦さんとか大悟さんてそういうタイプだけど、ふらふら歩いてそこで面白いもの見つけて楽しむみたいなさ。

望月:やっぱ楽しむの上手な人とそうじゃない人いるじゃん?

森本:じゃあ私楽しむの下手ってこと?

望月:私たちあんま上手じゃないと思う。大悟とか三浦くんとかって、海が見えてきたってだけでテンション上がるじゃん。

森本:海は楽しいよ、私も。

望月:私は海ある土地なんだから海あるでしょって。そりゃ海見えるよって。電車とかで、海見えてきたよー!とか言われても、いや海ある土地なんだから見えるでしょみたいな。

森本:でもさ、こっちの道に行くと面白いことありそうだねみたいな嗅覚があると思わない?三浦さんとか大悟さんて。私そういう嗅覚がすごいなくて。でもある人いるじゃん。どこに行っても楽しいところを見つけてくる人っていてさ。

望月:それって大悟の嗅覚に乗っていくとうちらも楽しめるってこと?

森本:そう、そんでやっぱそっちの方が有意義じゃんて最近思うわけ。全く知らない、都内の駅で下りてみたりとか、空き時間ができてうろうろしようってなったときに、するんだけど、何も見つけられずにただ歩き倒して疲れるだけみたいな。そういうことがすごい多くて。しかも帰れなくなっちゃうかもみたいなのがすごく念頭にあるから。ここで曲がってはアカンみたいなのがあるけど、大悟さんとかはぐんぐん行くじゃん。それで遅刻したりするけど。結局そういうこと考えると、調べたほうがいいんじゃないかと。

望月:それってさっき話してた心配性問題に帰結するんじゃない?うちらはさ、基本旅行行っても帰りたいからさ。帰れなくなったらどうしようって心配じゃん。

森本:うん。大悟さんとかどこに居ても帰れるって思ってそう。俺は帰れるって思ってんだよね。三浦さんは帰れなくていいって思ってんだよね。

望月:うちらは帰りたいから。帰れるけど楽しみたい。

森本:そういう人はやっぱ計画しなきゃダメだと思うんだよ私。

望月:あれ、坂?ねえなんか道が坂になってない?大丈夫?

森本:大丈夫だよ、東京タワーのところ坂になってるから。

望月:ほんと?見えなくない?……あっ見えた!

望月:あっいいかもよ。これ道なりに行けばいけるんじゃない?遠くからの方がなんか大きく見えたね。スカイツリーの方がなんかすごい存在感じゃない?なんか怖くない?スカイツリーは。ヌボっとしてない?

森本:SF感はあるよね。

望月:何考えてるかわかんなさそうじゃん、擬人化したら。東京タワーは「どうも!東京タワーです!」みたいな。スカイツリーはボーっとしてる感じ。ボソボソ喋りそう。

森本:図体を持て余してる感じでしょ。

望月:何もできなさそう、あいつ。

森本:でもその論理で言うと、スカイツリーの方がかわいくない?そのキャラだと。東京タワーすかしてんじゃん。

望月:でも、スカイツリーの方があとにつくられちゃって、よりあとにつくられてる方が偉いみたいな。東京タワーもいい子なんだよって感じなのよ。色もパッキリしてるしさ。すごいいいよ。

森本:かっこいいわやっぱ。いいじゃん東京タワー。っていうか着いたっしょこれ。

望月:着きました〜。

二人は神谷町を通り過ぎると路地裏を進んでいく。道の脇に建てられていた幸稲荷神社が目に入り、折角だからと『BGM』の成功祈願をする二人。すでに目の前に東京タワーが大きく見えていたが、なぜか道路は東京タワーから離れる方向へ進んでいった。

森本:えっ、嘘でしょ。

望月:ないない。ないって。

森本:綾乃ちゃん、めっちゃ近いのに……反対側から行った方がよかったのかな?

望月:着いたと思ったのにね。あー、でもこっち曲がったら行けるんじゃない?どう?

森本:さあ……どうかな……?

望月:ああ!着いた!

森本:あー!なんか結構感動する!

オクトーバーフェストを挟んで計2時間20分。ようやく到着した二人は、東京タワーへ向かってiPhoneのカメラを掲げた。東京タワーは水曜日なのに混雑していて、ビアガーデン目当てと思しき人々が次々と入り口に流れ込んでゆく。二人はイルミネーションに覆われたゲートをくぐり抜け、東京タワーの中へ消えていった。

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