『仕事も会社も面白くしていける』
まえがき
社長の右腕として駐輪場事業の拡大期を支えてきた草野錠二。
昨年2021年6月に芝園開発の第一線から退いた。
新・経営理念の【Value】に掲げられた「誠実さ」や「チャレンジ精神」を体現するかのように、新たな挑戦を繰り返してきた18年間だった。
引退直前におこなわれた海老沼孝二社長との対談をお届けします。
特に印象深かったという東京スカイツリータウン駐輪場と自治体との仕事には、次世代に受け継ぎたいビジネスマインドが詰まっています。
信頼は「相手に要求しない」関係の中で結ばれていく
海老沼
芝園開発の駐輪場ビジネスがここまで成長できたのは、草野くんのおかげだと思っています。特に、とある自治体が芝園開発ファンになってくれたことは大きな功績です。駅前の建物跡地に駐輪場をつくったのがその自治体との最初のお仕事でしたが、その後も先方から駐輪場の仕事を紹介していただけたことがあります。そこまでの信頼を得るのは、楽ではなかったでしょう。
自治体が民間企業に紹介というと、すぐに癒着を疑われるので、自治体側もとても慎重になりますね?
草野
そうですね。だから、役所を訪問するときも「何か良い案件ありませんか?」という営業文句は使いませんでした。
信頼関係って「相手に何かを要求しないこと」で結ばれていきますよね。
営業文句って「私はあなたにこうしてあげるから、あなたも私にこうして欲しい」の言い換えみたいなもので、言われた自治体の職員からすればいい迷惑です。
理想的なのは、たとえば、報告書を提出しにいった時に「おっ、ちょうどいいところに」って向こうから呼び止めてもらえるような関係。
海老沼
そういう関係づくりって、現場の仕事が大事だよね。
きちんとした仕事、一歩踏み込んだ仕事をして、それを営業が顧客にしっかりと伝える。どちらが欠けてもダメ。現場と営業の両方の車輪で回っていくものなんだよね。
ところで、草野くんにとって一番思い入れのある仕事は?
草野
やっぱり一番印象深いのは、東京スカイツリータウン駐輪場の仕事です。
東京の新しいランドマークでしょう。この仕事のために2年がかりで新しい電磁ロック式のラックを開発しましたよね。
海老沼
元々うちで採用していた電磁式ラックだと、駐輪場の面積が足りなくて、
附置義務駐輪台数2000台の条件がクリアできなかったんだよな。
草野
それで、山梨のとある企業の工場まで「新しいラックを開発しましょう」って働きかけに行きましたね。
先方は駐輪システムを作っている会社で、「もっと良いラックにしたい」という私たちのリクエストを日頃から真剣に検討してくれていました。幸いにも2社の企業が「一緒にやりましょう」と手を取ってくれたのですが、開発中は企画や試作、評価試験とどこで頓挫するかわからない手探り状態でした。時間はかかりましたが、開発陣営が何度も試験してくださったおかげでラックも無事完成し、「2000台入るなら」と造成工事を発注していただけました。
海老沼
そこからが大変だったんだよな(笑)
草野
まだ当のスカイツリーは建設されていませんでしたからね。
設計事務所とやりとりするのに、平面図と立面図と、何枚図面を引いたかわかりません(笑)その時に、他の大規模商業施設の付置義務駐輪場を担当した経験が活きました。
自分の楽しみは、自分で広げていく
海老沼
そういえば、草野くんは入社してから一回だけ「辞めたい」って言ってきたことあったな。入社から1年経った頃じゃなかったかな。
草野
まだワンルームマンションの時代でしたね。
駐輪場事業に乗り出すこと社内で猛反対されていて、そこで私は駐輪場の担当で入ったので、先輩から色々言われました。
ランチの時間に呼び出されて「俺たち、社長の新しい事業は潰すことにしてるから、協力してくれな」と。私は当の駐輪場担当なので、「はぁ、そうですか」としか言えませんでしたけれども。
海老沼
そういう時代だった。
草野
それから集金袋がほんっっっとうに重たくて。コインパーキングなので、精算機から回収できるのは硬貨ばかりでしょう。それをズダ袋みたいな丈夫な袋に入れて、郵便局に入金しに行っていました。
この会社で一番嫌だったの集金ですよ。本当に重たかった……。
海老沼
そりゃあ、あなた(笑)
業務の基本も基本だから、僕だって集金やりましたよ(笑)
草野
駐輪場の売り上げもまだまだ小規模な時で、先輩からの態度も冷たかった。
だから、「もう辞める」と社長にこぼしたんです。
海老沼
駐輪場の稼ぎがまだ全体の1割くらいだった時だ。「もうしばらくしたら結果着いてくるから、我慢しろよ」って我慢しながら駐輪場作ったよな。
その後、本社を移して、駐車場事業ともフロアを分けて、集中できる環境を作って、きちんと成果を出したんだよな。
そんなこともあったけど、18年間どうでしたか。
草野
楽しかったですよ。辞めたいって思ったあの時以外、会社は楽しかった。
会社って面白くなるように自分でしていけばいいんですよ。もちろん、私が「こんな風にやりたい」と言った時に社長がOKを出して、挑戦できる土壌を作ってくれたから成長できたという面もあります。
海老沼
僕ね、新経営理念の「自分ゴトにし、自ら成長する。」「期待を超える。」をやってくれる人が昔からずっと欲しかったんだ。草野くんはそうだった。
草野
社員40人、従事者数百人となると創業期のようにはいかないかもしれない。それでも若い人たちに伝えておきたいのは、会社を面白くするチャンスがきた時に「私、それ知ってます!」って手をあげられるように色んな知識や経験を溜め込んでおくといいと思います。
広く、浅くでいいんです。
自分で自分の愉しみを広げていこうという意識を持って、若い人たちが成長してくれたらと思います。
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出典:2021年6月号 社内報『きゃぷちゃー』
writting:芝園開発㈱ 管理部 広報デザイングループ
芝園開発のホームページ
https://www.sibazono.co.jp/
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