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ある、男の子のお話

あるところに、やんちゃな男の子がいました。

ある日、男の子のママは言いました。

「ほら、そんなことしてるからお姉ちゃんに見られてるわよ?」

男の子はお姉ちゃんのところに行って聞きました。

「僕のこと見てるの?」

そのお姉ちゃんはちょっと困った顔をしながら言いました。

「わたしは見てないわよ?でも、町の人たちはキミのことを見ているんじゃない?」

男の子は、町の人たちに聞いて回りました。

「ねぇねぇ。僕のことを見てるの?」

町のどの人に聞いても、男の子を見ているという人はいませんでした。

けど、最後に聞いたおじいさんが微笑みながら言いました。

「そうだな。でも、お天道様が坊主のことを見ておるかもしれんな」

男の子はお天道様に尋ねました。

「ねぇ、お天道様は僕を見ているの?」

お天道様はあたたかな日差しを届けるついでに言いました。

「僕は色々な星を照らさないといけないからね。一人ひとりは見ていられないよ」

ちょっとの間をあけて、お天道様は言いました。

「でも、神様は君を見ているかもね」

そこで、男の子は今度は神様に聞きました。

「神様、神様、あなたは僕を見ているの?」

神様はゆっくりと、柔らかな聲で云いました。

「わたしはいくつもの宇宙全体をみているからね。君だけを見ているわけではないんだ」

男の子は『結局誰も僕を見ている人はいないんだな』と思いました。

すると、神様はゆっくりと、でもしっかりとした聲で云いました。

「見ているのはわたしじゃない。君の中にいる君だよ」

「僕の中にいる僕?」

「そうだよ?いたずらをするとき、嘘をついたとき、隠し事をしたときだって、君の中の君はずっと見ているのさ」

「だから、悪いことをした時は心がキュってするだろう?」

「それは、なんとなくわかるよ」

「君も、君の中の君も、全部君なんだ。だから、その子とも良くお話をして、一緒に考えてみるといいよ。それができるのは幸せなことだから」




男の子はそれからもやんちゃでした。

でも、そのたびに「僕の中の僕」と話すことが増えました。

すると、色々なことをした後に、自然に言葉がでてくるようになりました。

「ごめんなさい」


その回数は少しずつ、少しずつ減ってきているそうです。


                          おわり



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