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ダリアのウイルスとウイロイド

ダリアには野生動物による食害と虫による食害のほかに、ウイルス、ウイロイドという脅威がある。
葉が縮れたり、花の色が変色したり、草丈が短くなったり花が小型化する。
詳しくはWEB上に「奈良県農業研究開発センター」が作成した「ダリアのウイルス・ウイロイド病診断マニュアル」が公開されているので、栽培に興味のある方は一読していただくと良いと思います。
いずれもの症状も、切り花を出荷する生産者としては秀品率に影響するため、感染は大きなダメージとなる。

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感染経路は大きく分けてアブラムシやアザミウマといった虫と、ハサミやナイフといった器具の2つなのだが、このうち器具については、感染株を切ってそのまま正常株を切ると感染する。
汁液や植物片の付着により、感染してしまうとのこと。
予防する方法は「器具の火炎消毒」と消毒液を用いた「表面消毒」の2つ。
私の知っている生産者は「表面消毒」を利用している。
この表面消毒が万全かというとそうでもない。
なぜならウイルスとウイロイドは別であり、消毒効果のある薬剤も別だからである。
ひえ~~~~~、どっちも防ぐ方法は器具の火炎消毒しかないのか。

もちろん、リスクを減らす意味で感染の疑いがある株は抜いてしまい、栽培エリアから離して処分することが推奨されている。
感染株を抜いてしまえば、虫による感染も無くなりますからね。
そして最近では、元々保菌はしているが抵抗力が落ちたら症状が出るという「仮説」も出ている。
まるで人間のようだと思いつつ、植物も生物なのだから同じような仕組みでもおかしくないと考える。
木村秋則さんのリンゴの木の葉も、病気にかかった部分だけを死滅させて本体を守る仕組みがあるって書いてあったかな。
「ダリア本来の力を引き出す」ことは、ウイルス、ウイロイドにも強くなると信じたい。
これは願望であるが、力を引き出されたダリアがウイルス、ウイロイドを制する力(情報)を球根や種子に託し、非常に強い株が出来たらいいなと思う。
野菜の世界では「敢えてウイルス環境に作付けした野菜」の中から、克服した株が出ているという。
ダリアでチャレンジした研究は見かけないが、可能性は0ではなさそうだ。

話を戻そう。
ウイロイドについては「次亜塩素酸ナトリウム」(キッチンハイターですね)

1114ハイター

ウイルスに対しては「第三リン酸ナトリウム」

1129ビストロン

切り花生産者はどちらかの消毒液を用意し、花を切る毎に器具の消毒を行う。
生産者の知り合いはまだ少ないが、どちらの場合もある。
そして球根分球の際の消毒液は切り花で使わなかった方を使っていた。
切り花:次亜塩素酸ナトリウム → 分球:第三リン酸ナトリウムという具合だ。
私は切り花で次亜塩素酸ナトリウムを使用して器具の消毒をする。
濃度は10%。
水がためられるハサミケースがあると便利です。
ここに消毒液を入れておくと、消毒が手軽にできます。

いくら無農薬で栽培するとはいえ、ここは栽培を持続するの為の最低ラインと考えている。
茎にわずかに付着する程度の次亜塩素酸ナトリウムが、化学物質過敏症の方にどの程度の影響があるか分からないが、切った後は水の入ったバケツに挿すので濃度は限りなく低くなる。
安全性は高いので、ダリアを楽しんでくれる人が増えるとうれしい限りである。

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