(連載小説:第12話)小さな世界の片隅で。
その日、歩は、祖母の夢を見た。
それは、遠い遠い、昔の記憶と、亡くなる数日前、ばあちゃんに会った時の記憶。
夢の中でも、ばあちゃんは微笑んでいた。
歩に心配をかけない様にクシャっと微笑むその顔は、今でも、決して色あせ
ることはなく、その笑顔と一緒に、皺の刻み込まれた手の暖かさや、ばあちゃん家の匂いが、歩の傍で、ふっとしたような気がした。
(Xー6日)
歩は、薄明かりの中、浅い眠りから眼を覚ました。眼を覚ました後で、携帯のアラーム音が鳴った。日を間違わなければ、今日が、1週