公認会計士試験 合格体験記

こんにちは。せむです。
note初投稿につきテストを兼ねております。
至らぬ点は暖かい目で見ていただけますと幸いです。

論文式試験に合格したのは2019年11月。
本noteを投稿している2023年時点の4年前であることから、情報の鮮度が落ちていることはご容赦ください。あくまで参考程度にご覧ください。

本noteでは、①自己紹介、②勉強方法に分けて述べていきます。

①自己紹介

監査法人勤務の公認会計士試験合格者です。
病気で修了考査未受験のため、公認されておりません(笑)

②勉強方法

・一般論

 私は低学歴ゆえ、公認会計士試験以前に勉強方法について苦戦しました。
さあ、どうやって勉強すればいいのだろうと。もっと言えば、どうやって頭を使えばいいのだろうと。
 高学歴の公認会計士受験生(多くは大学生)は大学入試もそうですが、ペーパーテストに関する知見が豊富です。このため、そもそものスタート地点から遅れていると多くの失敗を経験して痛感しました。このスタート地点で遅れをとっていると自覚したのは、恥ずかしながら公認会計士試験の勉強を始めてから2年が経過した頃の短答式試験を4回落ちた時期です。
 資格試験の勉強方法についての書籍や大学在学中に一発合格した多くの受験生へのヒアリングを通じて、公認会計士試験の合格のための情報収集の仕方や計画の立て方について模索しました。
 この節のタイトルを「勉強方法 一般論」としているのは、各科目の具体的な勉強方法を述べる前に計画を立てる際の考え方について言及したいからです。高学歴の方や勉強に精通している方にとっては朝飯前の話になるかと思います。
 それでは、計画の立て方について説明していきます。
仮にnote投稿時点である2023年5月から公認会計士試験の合格を目指すこととしましょう。2023年12月短答式試験、2024年8月論文式試験に合格することが目標となります。
 このような状況を想定した時、まず皆さんならどのような計画を立てますか?頭の使い方のわかっていなかったかつての私はとりあえず、専門学校に申し込み、目の前のカリキュラムを消化しながら復習していきました。目の前に用意されたカリキュラムを消化すれば、自ずと合格できるだろうという思考停止状態だったわけです。公認会計士・監査審査会にて公表されている合格基準も碌に把握せず、明確なゴールがよくわかっていないのにも関わらず、とりあえず走っている状況でした。
 ここで考えて計画を立てるとどのような考えに基づき、計画をしていくことになるのでしょうか。ひとまず短答式試験の合格のみを考えてみます。まずは、1.ゴールの設定。それから2.使えるリソースの把握、3.試験科目の優先順位づけ、4.科目別の勉強方法、の4つです。
 1.ゴールの設定
  →500点満点中、総点数の70%である350点をとること(70%かどうかは実施年度により若干の変動がありますが、ここでは70%としています)。
 2.使えるリソースの把握
  →具体的には勉強に使える時間です。勉強に専念できる大学生なのかあるいは社会人受験生なのかによって変動しますが、勉強に専念できる大学生を想定します。
 勉強に使える時間が1日7時間。簡便的に5月~11月の7カ月間、1か月が4週間だとすると7(カ月)×4(週間)=28週間。28週間×7日=196日。196日×7時間=1,372時間。
 3.試験科目の優先順位づけ
  →配点の高さから最優先は財務会計論。その他の3科目は配点が同じですが、私なりの優先順位をつけるのであれば、勉強した分の成果が点数向上に寄与する度合が大きい順に企業法>管理会計論>監査論の順になります。
 この点については、最新のトレンドを把握している専門学校の講師に相談することを薦めます。
 4.科目別の勉強方法
  →具体的な勉強方法については次の②勉強方法セクション「本論」にて説明しますので、ここでは割愛します。
 以上の1.~4.を踏まえると、まずゴールは350点とることですね。確保できる総勉強時間は1,372時間。1科目あたりに使える総勉強時間は1,372時間÷4科目=343時間。1日の勉強時間は7時間であることから日数に換算すると343時間÷7時間/日=49日。短答式試験の勉強を始めてから、試験日までの1科目あたりの勉強時間は1日7時間勉強をして合計で49日間使えるということです。どうでしょうか?多いのか少ないのか1つの目安になりますね。このような計画の叩き台をベースにして、勉強の進捗に応じて科目に割く勉強時間を増やしたりして試験当日の点数の最大化をはかります。
 短答式試験に4回連続で落ちていた時期はこのような考え方ができずに何となく勉強していました。初学者で専門学校を利用すると70万円近くの講座代が発生しますので、専門学校の講師に相談するなり1番最初の情報収集及び計画をしっかりと立てて合格に近づいて欲しいです。

・本論

 一般論の前置きが長くなりました。
 受験歴に沿って、具体的な勉強方法に言及していきます。
受験歴は以下の通りです。 
2011年1月 公認会計士試験の勉強開始(大学1年生当時)
2011年12月・2012年5月・2012年12月・2013年5月短答式試験不合格
2013年12月短答式試験 全国1位で合格
2014年 大学卒業・就職
2014年・2015年・2016年論文式試験に不合格 通称三振
2017年12月 短答式試験合格
2018年8月 論文式試験不合格、監査法人の短答採用制度を利用し転職
2019年8月 論文式試験合格

 1.短答式試験の勉強方法
 まず、不合格になった経験について述べていきます。
 大学1年生の後半から勉強を始めました。特に考えず、専門学校は大原簿記専門学校を選びました。試験制度について把握せず、専門学校のカリキュラムに沿ってなんとなく勉強しました。年の近い勉強仲間とともに日々勉強していましたが、答練が始まると徐々に友人達との実力差が浮き彫りになりはじめました。ここで、短答式試験合格のために必要な戦略と戦術をとれば問題ないのですが、答練の点数で友人に勝てるような勉強をし始めたので、ABランクの論点を疎かにし、Cランクの論点に勉強時間を割くようになりました。その結果、勉強の甲斐もあり、答練の点数では友人達に勝ちましたが、肝心の短答式試験では不合格になりました。
 あと1問で落ちたことから、次は合格すると慢心しその後の短答式試験においても戦略や勉強方法の見直しをせず、同じ戦略や勉強方法を続けました。こんな調子で短答式試験に4回連続で落ちました。答練では成績優秀者として全国上位なのにも関わらず、本番の短答式試験に合格できず自分でもわけがわからない状態でした。
 勉強方法や計画の立て方について書籍を読んだり、一発合格した受験仲間などに教えを請うことで、目的と手段が逆転していることに気づき、勉強の見直しをしました。目的とは短答式試験に合格すること。手段は短答式試験に合格するための勉強をすること。今までは合格するためではなく、答練の点数で友人に勝つことなど自分のしたい勉強をしているに過ぎませんでした。
 勉強の見直しにあたり、過去5年間の過去問に目を通しました。出題の傾向や出題形式を把握するためです。出題の傾向については例えば、企業法であれば全20問のうち半分近くは機関の分野から出題されていること。出題形式については例えば、4つの選択肢のうち正しいものの組み合わせを6つの選択肢から選ぶこと。
 出題傾向と出題形式について確認した後は、合格ボーダー7割をとるための戦略について考えました。科目の性質を考慮し、企業法と財務会計論については時間をかけた分点数が伸びやすいので、多めに勉強時間を割くこと。
 監査論と管理会計論については、時間をかけたとしても、点数が伸びにくい性質があるので、基本論点の問題が正解できるよう学習範囲を狭めました。管理会計論は原価計算の計算問題と原価計算基準の理論問題についてはしっかりと正解できるよう対策しました。とはいえ、全科目のCランクはすべて捨てて一切対策しませんでした。合格ボーダーが7割であれば、3割のCランク問題については捨てても十分合格できると考えたからです。
 次に大まかな戦略として計算に関しては、問題文で求められている数値をいち早く把握し、効率的に解けるようになる必要があると考えました。例えば、リース債務を求める問題が出題されたとすると、必要な情報はリース契約が所有権移転or移転外なのか、リース料、判明している利率情報、会計期間とリース契約期間の関係性になります。所有権移転or移転外かどうかで計算上適用する利率が変わるのと、会計期間とリース契約期間の関係性については、割引計算する期間が異なるためです。理論については、極論問題文に答えが書いてあるので、見ればわかる状態を目指しました。
 そして具体的な科目毎の戦略についてです。まずは理論についてです。企業法は機関や株式といった出題頻度の多い分野のABランクを優先、徐々に定期的に出題されている持分会社や商法といった分野のABランクへ手を広げていきました。次に監査論ですが、企業法と同様に出題頻度の多い実施論や報告論といった分野のABランクを優先、徐々に定期的に出題されている主体論といった分野のABランクへ手を広げていきました。財務会計論の理論も同様です。管理会計論の理論については、まずは原価計算基準。確実に得点すべき論点なため、ほぼ毎日目を通していました。原価計算分野と管理会計分野の理論についてはテキスト通りの問題というよりは、現場思考型の型にはまらないような対策の講じにくい問題の出題が多いため、テキストで基本的な考え方等をおさえるのみで深追いはしないようにしました。ですので、テキストに記載されているような基本的な論点のみしっかりとおさえました。
 具体的な理論の学習方法についてですが、働きながらの勉強でしたので、1週間の勉強時間は20時間。通信講座で講義は基本的に倍速で視聴。その後、テキストで復習。1回転目はじっくり読んで、内容の大まかな理解。その後は暗記重視で回転率をあげていき、1時間でテキスト500ページをぱらぱらと眺めました。暗記できた論点は1か月に1回目を通すなど強弱をつけ、なかなか覚えられない論点については付箋をはって重点的に暗記しました。要するにテキストの回転数を上げることです。
 計算についてですが、財務会計論と管理会計論ともに方針は同じです。問題のボリュームと試験時間を鑑みると、時間内にすべての問題を解き切るのは難しいと考えました。ですので、①得点すべき問題を見極める力、②得点すべき問題をしっかりと取れるだけの計算力を身に着ける必要があると考えました。①の得点すべき問題を見極める力については、答練を初見で解くときに試して力をつけました。自分がABランクとして取るべきと判断した問題は果たして講師の視点からもABランクだったのか、その擦り合わせを行いました。判断を誤ったのであれば、復習時に原因の分析を行いました。②の得点すべき問題をしっかりと取れるだけの計算力を身に着けるために、まずは、テキストの例題でしっかりと計算の目的や計算過程について理解しました。退職給付の論点であれば、個別財務諸表を前提とすると、退職給費費用は勤務費用と利息費用、長期期待運用収益とこれらに加えて、未認識数理計算上の差異等があれば、これらの費用処理額により構成されます。問題文にて「退職給付費用」が問われたならばこれらの金額のみ算定すれば退職給付費用が求められます。このように計算過程についてよく理解するとともに、計算要素の未認識数理計算上の差異はなにか?といったようになんとなくではなくしっかりと理解を深めました。このように理解することで、解答する上でどんな資料があれば解答を導けるのか、解答に必要な資料とそうでない資料を見極めるための力がついたように思います。社会人受験生であったため、なかなか日ごろから電卓を叩くような計算問題のための勉強時間の確保が難しかったため、電車の移動時間や乗り換えの待ち時間の隙間時間を利用して頭の中で簿記の計算過程をひたすら反芻して忘れないようにしていました。勉強を始めた当初は、大学講義の隙間時間を使って電卓を使って実際に手を動かしながら勉強することで計算力を養いました。大学生の内に計算科目の基本をしっかり叩きこんだことから、勉強時間がない中で模索した結果、頭の中で計算過程を反芻する勉強方法に辿り着いたように思います。
 上述のように学習戦略と学習方法を見直してからは手前味噌で恐縮ですが、1度目の短答式試験合格時は、企業法90点, 監査論100点, 管理会計論65点, 財務会計論200点の91%の全国1位で合格しました。論文式試験に三振してから、2度目の短答式試験合格時は、企業法80点, 監査論80点, 管理会計論65点, 財務会計論180点の81%で合格しました。

 2.論文式試験の勉強方法
 短答式試験の勉強方法と同様にまず、不合格になった経験について説明していきます。短答式試験はマーク式なのに対し、論文式試験は論述式です。形式が大きく異なります。
 短答式試験と同様に暗記重視で勉強した結果、答練では好成績なのに、本番の論文式試験では散々たる結果になりました。論文式試験で問われている、求められている力を理解しておらず、理解することを軽視しすぎた結果です。こうして三振しました。
 そこで、まずは過去5年間の過去問に目を通し問題で問われている内容や問われ方、そして問題に答えるためには普段からどういった勉強をする必要があるのかといったことを見直しました。暗記重視から理解することの重要性を認識しました。
 理解することを重視したとき、三振した時点で通っていた大原簿記専門学校での合格が難しいと感じました。このため、CPA会計学院へ転校しました。念のため断っておきますが、大原簿記専門学校では合格が難しいわけではなく、私自身との相性が良くなかっただけです。大原簿記専門学校でも合格している方は多くいらっしゃいますので、専門学校に通うことを考えている方は直接講師へ受講相談して自分に合う専門学校を見つけて頂ければと思います。
 戦略ですが計算は短答式試験での勉強方法と特段変わりませんのでこちらでは割愛します。理論については、理解を重視し、問題で問われている内容を的確に読み取り、簡潔に記述できるようにする必要がある。そして、そのためには普段から読んでいるテキストの内容をしっかり理解するとともに、一言でいうと結論としてはどうなるのか?というように要約できる力をつける必要があると考えました。例えば、退職給付であれば、遅延認識の論点があります。テキストを読んでいれば、数理計算上の未認識差異をなぜ遅延認識するのかはわかるかと思います。予測と実績の乖離だけでなく将来の予測を含んでいること。発生時に費用処理した場合、退職給付債務の実態を適切に表さなくなるためです。問題文で、数理計算上の未認識差異をなぜ遅延認識するのか?と問われたら覚えていれば書けますよね?本試験の過去問では「平均残存勤務期間以内の一定の年数で按分した額を毎期費用として処理する。その理由を説明しなさい。」と問われます。この問題文を読んだときに、遅延認識が問われていることを読み取れなくてはなりません。このように、問題文で問われている内容を読み取れるよう論点に対する理解を深めるには、科目の全体像と各論点のつながり、各論点に対する理解を深める必要があります。過去問を見ていただければ、暗記も大切であるものの暗記のみでの対応が難しいというのが見て取れるかと思います。各論点に対する理解を深めるには、テキストの内容を普段から要約することで、解答欄の行数が異なる問題に対して、5行の問題は厚く丁寧な論述を、3行の問題は簡潔に要点のみを論述できるような対応力を身に着ける必要があると考えました。
 次に、戦略が定まりましたので、戦術を考えます。まず、計算ですが、基本的には短答式試験を通じて培った計算力の維持です。答練以外ではほとんど勉強する時間を削りました。答練で解いた問題は復習時に答練の解答時間の3倍かけてじっくり復習しました。具体的には、正答した問題は軽く確認するにとどめて、間違えた問題のミスの原因についてミスノートを作成して分析しました。論点をど忘れしたのか?ケアレスミスなのか?問題文の読み取りを勘違いしたのか?といった具合に細かく分析しました。そして理論についてですが、上述のような戦略を実行できるよう普段のテキストの読み方を工夫しました。1ページ等論点のまとまり毎に読み終えたらテキストを閉じて、要約しました。なんの論点なのか?結論は一言でいうとなんなのか?といった具合に要約しました。ペースは1時間で5ページとじっくり時間をかけました。12月~5月の6カ月かけて理解を深めました。理屈からしっかり理解したので、7月の時点でも2月に学習した内容が定着しており結果として暗記の負担も減りました。参考までに1週間の時間の使い方として短答採用にて週4日契約で勤務していましたので、休みの3日間でweb講義の視聴と答練の消化。出勤日の4日間で講義と答練の復習をしていました。
 
最後に2019年論文式試験の合格時の成績を参考までに記載します。ミスも重なり、成績は下位ですが、会計学の成績が良かったため、救われました。

    得点率  順位
会計学 57.28   441
監査論 52.50   987
企業法 49.50   1,214
租税法 45.00   1,369
経営学 科目免除
総合  53.14   1,105

おわり

7,300文字の文章、最後までお読みいただき、ありがとうございます。
合格体験記としては陳腐化しておりますが、不合格体験記としては今の受験生にとっても参考になる点があるかも知れません。
少しでも参考になると嬉しいです。

よろしくお願いいたします。

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