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1990年3月24日(土)

【森の小径:右田 良子・判 祐市・葵 さくら・滝 早苗】
「とりあえず2人とも1次試験は突破しました。私が戦士で早苗は罠解除士ですけど」
 『森の小径』を訪れ、右田 良子と目があった瞬間に葵 さくらは1次試験の結果について右田に伝えた。午後1時の『森の小径』、いつものように本日のパスタを食した後アフタヌーンティーを楽しんでいる右田と判 祐市の所に、葵と滝 早苗がやって来た。右田と判は土曜日の昼食はほとんど『森の小径』を利用しているので、ここに来れば右田に会えると思ったのである。右田は判と向かい合って座っていたが、判の隣に移動して、2人を向いの席に座らせた。
「そう、まだ1次だけど、とりあえずおめでとう。これから半分落とされるから頑張って合格してね。さくらは戦士だったら一緒に鍛錬できるわね。早苗は罠解除士か、もし合格したとして1人化け物がいるからびっくりしないでね」
 右田のこの言葉を聞いて判が少し微笑む。化け物とは富田 剛のことだろうが、自分からすると右田や村川 慎太郎も十分化け物だと思えるからだ。
「へー、そうなんですね。罠解除士も奥が深そうですね」
 滝がこう言いながら店員さんを呼んで、自分の分と葵の分のパフェを注文した。
「ところで話は変わりますが、前から聞きたかったことを聞いてもいいですか」
 並んで座っている右田と判を見ながら葵が以前から2人に聞きたかったことを口にする。
「お二方はいつから付き合ってるんですか」
 興味深い表情で葵はこのように質問する。それを聞いて滝も興味を持ったようで、2人に視線を向ける。
「いつからっていうか、ずっとよね」
 軽い感じで右田はこう言って判を見つめ、判も軽く頷く。ずっととはいつからずっとなのだろうか、答えてはもらったが何か釈然としない。その雰囲気が伝わったのか右田が話を続ける。
「私たちっていわゆる許嫁ってやつなのよね。ちょっと古い言葉だけど。祐市のお父さんと私のお父さんが親友で一緒に黒川温泉で旅館を経営しているの。だからいずれ私と祐市で旅館を継ぐことになってる。だから、生まれてから、ずっと」
「素敵ー」
 少し頬を赤らめつつ右手で髪をくるくるしながら話した右田の言葉を聞いて葵と滝は興奮して絶叫した。

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