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うちに、おいでよ。

海外暮らしをし始めてから、そして子供を介して繋がりが増えてからというもの、素敵なオファーを頂くことが増えた。

「うちに、おいでよ。簡単に何か準備するよ」

日本で暮らしていたころは、人を家に呼んだり、招いたりすることは一大事だった。

おもてなしメニューを考えて、その日の流れを確認して、徹底的に掃除をする。到着時間の前に、もう一度トイレを点検…。

呼んで頂いただけでも、なんか洒落たお土産を持って行かなきゃと頭を悩ませたりね。

ホームパーティー慣れしてないまま海外暮らしが始まったばかりのころ、たまーに人を呼んでみても、楽しいという感覚よりも準備から片付けまでの、心と体の疲れの方が大きかった。

でも、周りの人にゆるく呼んでもらえるようになって、「人を招く」という重みが、日本人と欧米人では全然違うことに気が付いた。

お友達の家に行っても、家が片付いていることは滅多にない。

おもちゃはあちこちに広がっているし、テーブルの上にも日用品が並んでいる。子供の脱ぎ捨てたパンツが落ちてることも。

お誕生日会であれば、バルーンの飾り付けがプラスアルファされてるけど、でもいたって日常感。

「いらっしゃーい。ちょっとソファーの上を片付けるから、待ってねー。どうぞどうぞくつろいでー」

あちこちに散らばった洋服やらおもちゃを、ちょこっとだけズラしたら、おもてなしの始まり。

おもてなしと言っても、家族分よりもちょっと多めの大皿メニューを並べるだけだったり、ちょっとワインを開けようかくらいの気軽さのことが多い。

わざわざお肉を仕込んで本格BBQということもあるし、珍しくお酒作ってみちゃった!とジャーにたっぷりのサングリアが入ることもあるけど、それはあくまでも余力がある時のスペシャル。

ちょっとだけおつまみがあって、ワインでも開けたら、基本的にはお喋りがメイン。

あれこれとこだわったメニューを、おしゃれに盛り付けて、会の進行を見図らないながら、熱いものは熱いうちに…なんて、頑張っていたら、会話に身が入らない。

「せっかくお喋りを楽しみに集まっているのに、キッチンに引きこもってばかりじゃ元も子もないでしょ」

というのが、お喋り大好きな欧米人のスタンスだということに気が付いた。

同じく…

「お喋りがメインで集まってるんだから、部屋がモデルルームのようにパリッと片付いていることよりも、日常感の漂う雰囲気の中で、使い古したソファーでごろごろする方が気持ちいいでしょ」

ってことなんだろうなぁ。

準備に頑張りすぎて、年に1回しか開催できない日本スタイル
準備をしないからこそ、毎週でも集まれる欧米スタイル

日本人は「内・外」をすごく使い分ける国民。一方で、一度「内」に入れてもらえたら、どこまででも見せてくれるのが欧米系の方々。

だからこそ、「内」を見せるんだから、かっこつけて「モデルハウスでの完璧なおもてなし」なんてことはしない。

家族でご飯を食べるときに、ちょっとだけプラスアルファして、人も呼んでおこうくらいの気軽さで、人を家に呼ぶし、呼ばれる。

そんなところが、感覚の違いなんだろうな。

郷に入っては郷に従え。ここのところ、息子の誕生日会や、仲良しさんで集まりましょうの会も、やはりメニューを考えてしまう自分はいるんだけど、でも当日はフルにお喋りを楽しめるようになった。

でも、さすがに、息子の脱ぎ捨てたパンツは片づけるかなぁー。


▼あちこちで開催してくれる気軽な集まりに出かけていくと、学びはたくさんあるなぁという話。ギクッとすることも。


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