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語学・言語学習の愉しみ

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英語、フランス語、中国語など、語学のお役立ち情報や、言語学習の楽しさを紹介します。
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『言葉と歩く日記』多和田葉子著:日本語とドイツ語で書く作家による言語考

『言葉と歩く日記』多和田葉子著:日本語とドイツ語で書く作家による言語考

日記形式で、ベルリンに住みながら海外でも朗読や講演を行い、劇場などにも行き、人々と出会い、思考を重ねる様子を記す。

「言葉と歩く」とあるように、移動しながら言葉を紡ぐ。

自身の日本語の小説を初めてドイツ語に翻訳する時期に集中的に執筆された。

母語・第1言語のほかに言語(外国語)を学び使うとどんなことが起こるのかが、言語のプロの視点から垣間見える。

解像度は違うだろうが、「わかる」と思うこと

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Daily Art Courses(デイリーアート)の無料オンラインコースで「美術の見方」を英語で学ぶ

Daily Art Courses(デイリーアート)の無料オンラインコースで「美術の見方」を英語で学ぶ

「Daily Art」は、アート作品を知ることができるアプリ。16の言語で提供されている。

「Daily Art Courses」という英語の美術オンラインコースも提供していて、「How To Look At Art (Free Course)」(アートの見方)というお試しコースは無料で受講できる。

メールアドレスを登録してアカウントを作成すれば即受講可能。(Facebookアカウントでもログ

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アイヌ語を無料で学べるオンラインのラジオ講座と動画

アイヌ語を無料で学べるオンラインのラジオ講座と動画

NHKラジオ・テレビ語学講座には何種類かの言語があり、日本語講座も手話講座もある。しかし、沖縄のうちなーぐち(琉球語)や、北海道のアイヌ語の講座はないなあと思い、アイヌ語を検索してみたら、あった!

番組の音声もテキストも無料ダウンロード可STVラジオの「アイヌ語ラジオ講座」。STVラジオは北海道で放送しているらしい。アイヌ語ラジオ講座は毎週日曜の午前7:00~7:15に放送。

放送をリアルタイ

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スコットランド国立美術館のYouTube動画で【英語でアート】が学べる

スコットランド国立美術館のYouTube動画で【英語でアート】が学べる

イギリスのスコットランドの首都エディンバラにあるThe National Galleries of Scotland(スコットランド国立美術館、スコットランド国立現代美術館、スコットランド国立肖像画美術館[スコティッシュ・ナショナル・ポートレート・ギャラリー])のYouTubeチャンネルでは、美術に関する説明や講演など、さまざまな英語の動画が視聴できる。

アート好きさんの英語学習にもおすすめ。

作家ジェイン・オースティンに関する無料のオンライン文学講義(英語)

作家ジェイン・オースティンに関する無料のオンライン文学講義(英語)

Jane Austen & Co.(日本研究者、小川公代さんも参加)がオンラインでジェイン・オースティンにまつわる講義を無料公開している。Zoomでのリアルタイム配信(要事前登録)と、サイトでのアーカイブ動画のアップをしているらしい。

まだ視聴していないが、動画がいくつか用意されているので、見ようと思う。

小川公代さんが、ジェイン・オースティンの夏目漱石などへの影響について講義を行う。日本時間

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簡単な言葉で深い内容を表す英語という言語と、社会問題を扱うフィクションの力を感じる歌「Luke(ルカ)」

簡単な言葉で深い内容を表す英語という言語と、社会問題を扱うフィクションの力を感じる歌「Luke(ルカ)」

「Luke(ルカ)」は、1959年アメリカ出身のシンガーソングライター、Suzanne Vega(スザンヌ・ヴェガ)が1987年に発表した歌。

"My name is Luka."(僕の名前はルカ)という簡単な英文で始まり、最後まで簡単な言葉でつづられている。歌の語り手は子どもで、階下に住む住人に向けて話している設定だ。

話している内容は自分が受けている暴力について。これは、児童虐待という社会

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『英語ベストセラー本の研究』晴山陽一著:戦後から2000年代までの英語本を分析して「究極の英語学習法」を導き出す

『英語ベストセラー本の研究』晴山陽一著:戦後から2000年代までの英語本を分析して「究極の英語学習法」を導き出す

語学に近道はなく、その勉強法にそれほど多様性はない。いろいろな角度でいろいろな方法を主張する人がいて、主張者も、それを聞く・読む学習者も、性質や背景はさまざままだが、語学が身に付く方法はだいたい決まっている。

だから、学習法を調べてウェブサイトやSNSや本を読みあさるより、その方法に素直に(愚直に!)まい進する方がいい。

ということが見えてくる本かもしれない。

読んだ後は、とにかく外国語を学

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『ふしぎの国のバード』佐々大河:イギリス人旅行家イザベラ・バードによる明治時代の『日本奥地紀行』を漫画化

『ふしぎの国のバード』佐々大河:イギリス人旅行家イザベラ・バードによる明治時代の『日本奥地紀行』を漫画化

1880年にイギリス人の旅行家イザベラ・バード(当時49歳)が出版した本"Unbeaten Tracks in Japan"(『日本奥地紀行』)を基にした漫画。史実に少しフィクションも交えつつ描いたらしい。

その日英バイリンガル版の第1巻を読んだ。吹き出し内のせりふは英語で、コマの外に日本語訳が書いてある。

バードは通訳兼案内人に伊藤鶴吉という若者を連れていた。2人の掛け合いも面白く描かれてい

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卒業研究「( 文体練習 )」東京外国語大学 大村真央 2010年

卒業研究「( 文体練習 )」東京外国語大学 大村真央 2010年

Twitterで話題になっていた卒業論文。検索してみると、以前にもTwitterで話題になっていたことがあるらしい。

「卒業研究」という幅広い言い方になっているが、「論文」ではなく「作品」、それも「文芸作品」「創作」といってよい文章。

ある短い情景を、100通りもの文体で表現している労作、傑作。異才。

ブログで触れている人もいたが、私もこの方が今何をなさっているのかとても気になる。ぜひ文章を

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アーシュラ・K・ル=グウィンのブログ

アーシュラ・K・ル=グウィンのブログ

「ゲド戦記」や「西のはての年代記」シリーズの児童書や、大人向けSFなどで知られるアメリカの作家、アーシュラ・K・ル=グウィン(1929~2018年)が2010~17年に書いたブログがアーカイブされているサイトがある。

訃報を聞いたときは、高齢とはいえ、結構打ちのめされた。もう新作が読めないのか、と。この作家の実はまだ読んでいない本がいろいろとあるから、ブログと併せて読みたい。

最後の投稿は、2

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韓国の「モクバン」がコリンズ英語辞典の2020年の流行語トップ10入り

韓国の「モクバン」がコリンズ英語辞典の2020年の流行語トップ10入り

Collins English Dictionaryによると、韓国のYouTubeなどで広まった「モクバン」(大食い放送)の定義はこうだ(※日本語訳は筆者)。

mukbang (먹방): 
a video or webcast in which the host eats a large quantity of food for the entertainment of viewers
Kore

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『Let'sダンス』ヒップホップ×バレエのNetflix配信フランス語映画

『Let'sダンス』ヒップホップ×バレエのNetflix配信フランス語映画

Netflix(ネットフリックス)配信の、ヒップホップダンサーとバレエダンサーの若者たちを描く映画。

ヒップホップダンサーとして活躍する夢を追って仲間たちとパリにやって来たジョゼフ。私立のバレエ学校で教師を務める「知人」の男性の紹介で、バレエ学校でヒップホップを教えることになり、クロエと出会う。ジョゼフたちが見つけた、「自分たちのスタイル」のダンスとは?というストーリー。

あまり期待はしていな

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「し」が「スィ」?外国語習得者の日本語にみられる外語語発音の影響

「し」が「スィ」?外国語習得者の日本語にみられる外語語発音の影響

英語習得者の場合学生のとき、英語のクラスに、日本で生まれ育ちながら「きれい」な発音で英語を話す人がいました。クリスタルガラスのようにカチカチ・キラキラした、シャープな響きを持つ発音でした。

しかし、その人が話す日本語には不思議な特徴がありました。「さしすせそ」の、特に「し」の発音が少し変わっているのです。私には「スィ」と聞こえました。

「日本語話者の英語発音の間違い」をからかう悪趣味な冗談とし

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語学にも!日本で劇場公開されるフランス語の最新映画(随時更新)

語学にも!日本で劇場公開されるフランス語の最新映画(随時更新)

フランス語の映画(フランス、ベルギー、カナダ・ケベックの製作など)は、最近は日本(少なくとも東京)でも、ほぼ常にどこかしらの映画館で公開しているような状況です。

フランス語の勉強も兼ねて、映画館にフランス語音声・日本語字幕の映画を見に行きたいという人のために、公開情報を紹介します。

昔はフランス映画といえば退屈で哲学的で難解(?)というイメージもあったかもしれませんが、最近はすっかりエンタメ系

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