見出し画像

タイ駐在員がおもうタイのアフターコロナその1

コロナについてはみんなそれぞれ思うところも痛みも苦しみもあるだろうし、そろそろ「コロナ」って文字を見たり書いたりすることすら苦しくなってきているかもしれないけど、言葉を選ばすに言うなら、自分は幸いにも今のところ元気だし、せっかくの機会なので、今しか書けないことを残しておこう、ということで書きます。

タイに来て3年くらいが経とうとしている自分から見て、コロナの後のタイがどうなっていくか。この文章を書くに際しては、あえてニュースとか統計とかは改めて見ずに、今知っている情報とか感覚とかで書きます。統計とかニュースを調べだしたらきりがないし、客観的な情報よりも残したいのは主観的な感覚の方なので。何年かあとに答え合わせするかもしれないし、しないかもしれない。

自分はタイに駐在員という立場で来ていて、タイの赴任期間も概ね決まっており、赴任後は日本に帰るっていう前提で、タイで仕事や生活をしている。なので、いつ帰るか分からないっていう駐在員の人とか、タイ現地採用で働いている人とはその点が違う。海外に出たことない人は分からないかもしれないけど、赴任期限が決まっていること、それから駐在か現地採用かは、本人の心情的には結構違うんじゃないかと思う。国によっても答えは違うと思うけど、タイに関して言うなら、自分は赴任期限が決まってないとちょっと嫌だし、現地採用もあんまり魅力を感じない。

で、コロナ後は駐在員は間違いなく減ると思う。いまタイは日系企業がものすごく沢山出ていて、日本人も公式発表で7万人くらいいる。7万人の全部が駐在ではもちろんないけど、駐在員も相当数いるはず。7万人は公式発表の人数だから。

ところで、タイは人件費が上がりつづけていて、東南アジアの工場という役割を果たしにくくなっている。タイに工場があっても、大きな工場になればなるほど、工員として働いてるのはミャンマー人とかカンボジア人とかが多い印象がある。伝統的な製造業はもう急速な成長は見込めない。タイとしても伝統的な製造業より、スマートシティ化に既に舵を切っている。ITが上手く回れば駐在員に限らず従業員が減ることは必然、というか減らないと意味がない。

伝統的な製造業は工場もあってオペレーションが大きいから、管理するための日本人が必要で、したがって日本から駐在員が来ている。さらに、これらの日系の会社の多くはタイ進出から相当程度の年数が経過しており、タイでの経営とか運営のノウハウがたまってきている。コロナのときに日本に帰国し、しばらくタイの職場に復帰できなかった駐在員もいるはずで、でも会社は何となく回っていたはず。そこで「あいついなくても、うまく日本とやり取りできれば会社は回るかもしれない」と気づいてしまった会社もあるはず。もちろん全部の会社ではないと思うけど。

「タイ人なんて仕事できないんでしょ」って思っている人もいるかもしれないけど、それは日本もタイも同じで、人による。自分のことを棚にあげて言うなら、イマイチなタイ人もいるし、すごいなって思うタイ人も沢山いる。いい感じのタイ人は、そんじょそこらのいい感じの日本人よりよっぽどいい。そういうタイ人は給料もそこら辺の日本人よりは高いけど、駐在員の給料とか家賃補助とか諸々のコスト総額と比べると、仕事ができるタイ人の給料の方が駐在員のコスト総額よりも安くなる可能性は多々あるはず。

現存する製造業の多くは今後の成長があまり見込めず、しかも組織には運営ノウハウがたまっている。さらに駐在員を減らせばコストが下がるかもしれない。

もちろん、全部の駐在員がこの条件に当てはまるはずもなく、コロナがあったからといっていきなり駐在員がゼロにはならないはず。ここまで書いといて何だけど、コロナ前から駐在員が減る流れも少しあったように感じるし。ただ、コロナのせいで駐在員を減らす傾向は加速すると思うし、駐在員の意義とかコストに見合った価値があるのかとか、より厳しく問われるようになるはず。

本当は1回完結にしようと思って書き始めたらめっちゃ長くなってしまったので、何回かに分けて書きます。次回は今回の結論である「日本人駐在員の減少が加速する」を前提に、そこから広がるアフターコロナを感じてみます。ここまでは何となく見えてる話だったけど、この先は全然見えてない。感じてみないと。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?