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【横瀬町対談企画】自治体職員に聞く Liquitousとの共創 埼玉県横瀬町 勝間田幸太さま

株式会社Liquitousでは実証実験などの取り組みを行っている自治体の職員の皆様に、Liquitousへの印象や、合意形成プラットフォームLiqlidを使う取り組みを通して感じたご意見をインタビューで伺っております。

今回は横瀬町役場より、まち経営課・勝間田幸太さま(当時)にお越しいただきました。


――早速ですが、横瀬町がどのようなところなのかご紹介いただけますか。

横瀬町は埼玉県の秩父地方に位置する、人口8千人の小さな町です。「日本一チャレンジする町」というキャッチコピー・スローガンと共に徐々に認知いただいている町でして、Liquitousさんのように『横瀬町で実証実験を展開したい』という思いを持っている人たちが、様々なことにチャレンジできる町です。

秩父地方に属しているため、自然も豊かです。都内からのアクセスもよく、今はちょうど芝桜の時期ということもあり、ゴールデンウィークにかけて(取材日:2022/04/25)すごく賑わうかなと思います。

埼玉県横瀬町 まちづくり課 勝間田幸太さま

――弊社を知ったきっかけは何だったのでしょうか

横瀬町で実施している官⺠連携の事業、通称“よこらぼ”にご応募いただいたのが最初のきっかけですね。私たちが、もともと情報交換をさせていただいている他の自治体の方々からも、『この取り組みすごく面白いと思うから是非一緒にやってみては』という声をいただいていて、そういう周りからの評判も聞いていました。


――「“行政”と“住⺠”を繋げる」という、他ではあまり例のないことをしている弊社の事業を、採択するに至った決め手は何だったのでしょうか

横瀬町は今、町の総合振興計画である「第六次横瀬町総合振興計画」という計画のもと、“カラフルタウン”の実現を目標として掲げています。“カラフルタウン”というのは「多様な人が多様な幸せを実現できるまちづくりを進めていく」ということです。そして、この計画を推進するための手法の一つとして、“人にやさしいテクノロジー”を積極的に活用するという方針があります。“人に優しいテクノロジー”を活用して、いろいろな方々がいろいろな意見を町政やまちづくりに反映させられる、そして自分も参加できるという仕組みを作ろうとしているんです。今回(Liquitousに)ご提案いただいた内容が、まさにその計画の推進にマッチするかなということで採択に至ったと思います。


――ここまで半年ほど、オンライン参加型合意形成プラットフォーム“Liqlid”を用いた実証実験を進めてきましたが、実際に協働する前と後とで、弊社に対する印象の変化はありますか

いい意味でご提案通りの内容だなと感じています。まず非常に(弊社の運用している合意形成プラットフォーム“Liqlid”の)使い勝手が良いなと思うんです。どう使い勝手がいいかというと、(機能の)一個一個がシンプルなんですよね。シンプルですが、うまくオンライン(上の議論)とオフライン(での意見交換会)それぞれの活動を組み合わせつつ意見を集約することができる仕組みになっていて、議論を進めていく過程の最初から最後まで使えるツールであるという点が、イメージ通りでしたね。

――実際にオンライン参加型合意形成プラットフォーム“Liqlid”を用いて取り組んでいる、横瀬町での実証実験について簡単にご説明いただけますでしょうか

まず私たちが使いこなせるようになるという意味も含めて、庁舎内での意見収集に活用させていただいています。総合振興計画の重要なテーマである“中心地づくり・にぎわいづくり”の一環として、駅周辺や役場周辺、そしてこのエリア898コミュニティスペース(横瀬町による横瀬に関わる人たちのためのコミュニティ・イベントスペース)ですね、その辺りまで含めた町の中心部を、いかに活性化させていくかという観点で、Liqlidを中心に据えて意見収集を始めているという状況です。

――まずは役場内でお使いいただいているとのことですが、実際に使ってみていかがでしたか

本当にまず簡単ですよね、簡単です。“人に優しいテクノロジー”とは言いつつも、やっぱり慣れ不慣れ・得意不得意あると思うのですけど、Liqlidは使い方を一回ご説明いただければ、ほぼ直感的に使えるかなという印象です。特に可視化された状態で意見がペタペタと貼られていく仕様は、オンライン環境・オフライン環境の双方を用いた取り組みを行う上でも、非常にわかりやすい形式だと思います。

――逆にちょっとこういうところがあったらいいなといったことや、こういうところ課題だよねといったことなど、率直に何か感じた点があれば教えていただけますでしょうか

これはもしかしたらLiqlidに限ったことではないのかもしれませんが、やっぱりシステムには、そのサービス・仕組み自体に“参加してみたくなるような仕掛け”のようなものが必要ではないかなと思います。これは見た目とか内容も含めた話ですけれども、そういうものがあると、もう少し自発的に参加してみようかなという意欲が生まれるかもしれないなと思いますね。

――Liqlidは参加型合意形成プラットフォームというテーマで開発されたプラットフォームですが、このオンライン合意形成の取り組みの将来性について、何かお考えになっていることはございますか

そうですね、“カラフルタウン”という目標に向かっている観点で考えると、(議論には)色々な入り口や参加の方法があるべきだと思うんですよね。そういう意味では、全ての人が全ての場面においてオンラインで完結するというのは、今はなかなか考えづらいかもしれませんが、そういう技術に馴染みのある、あるいは関心のある人たちが、オンラインでも参加できるようになることで、全体としてその参加率の高まりや、関心の広がりといったものは、確実に出てくるのではないかなと思いますね。従来の方法でなかなか取りづらかった意見を、このLiqlidは取ることができる仕組みだと思いますので、従来のやり方を含め、色々な方法を組み合わせつつ、なるべく幅広い意見を集めて様々な方に参加していただくことが実現できると思います。

――実際に弊社と実証実験を行なっていかがでしたか

今回ご提案いただいたシステム自体が、新しい参加の方法になるというのは間違いないですね。今回は実証実験としての要素も含まれている中で、“一緒に作っていただけている”という感覚をすごく持っています。皆さんは特に若手中心のチームでやられていて、非常にレスポンスも良いですし、こちらのニーズにも細かく反応してくださっているので、一緒に作っていっているという感じは、凄く横瀬町にも馴染んでいるものだと思いますね。

――今後、横瀬町で住⺠参加の取り組みをどうやって進めていければいいかという点について、自治体職員という立場からの率直なご意見をいただけますか

そうですね、先ほど横瀬町役場の中で(Liqlidを)使わせていただいているとご説明しました。やはりちゃんと住⺠の方々に使っていただく以上、私たちがそのシステム内容で皆さんのその思いを収集して、それをちゃんと自分たちの言葉で説明できるようにするというところまで、まずは使ってみたいなと思っています。申し上げた通り(Liqlidは)簡単で分かりやすいものなので、特に若い住⺠の方々にとってはすごく馴染みを持ってもらえるのではないかなと。

また、このプラットフォームはテーマ・内容を問わず使えるわけですよね。町全体でも展開できると思いますし、例えば一つ一つの企業や学校などでも使えるかもしれませんし、そういう意味では、展開する可能性がかなりあると思います。

やっぱりアイデアをもとに一つのプロジェクトを作って、一緒にそれを揉んで、一つのものを作り上げていくというプロセスなので、そういう意味では幅広く使えるかなと思うのですよね。学校で言えば、生徒に意見を出し合って一つの企画を作り上げるとかそういったものは面白いのではないかなと思うし、さらにそれがオンラインでできるようになるとこういったツールを使う練習にもなるかもしれませんし、様々な使い方ができますよね。プラットフォーム上でアイデアを出して、そのアイデアのプロジェクトを作ってという、一貫したプロセスは、行政だけに限らず、いろんな組織で使えると思います。

インタビューを行ったエリア898コミュニティスペースの外にて

――私(藤井)はプロジェクトマネージャーとして、勝間田さんと実証実験をご一緒しておりますが、弊社スタッフとコミュニケーション取る中で抱いた、私たちへの印象があれば教えてください

こういう“凄いことに取り組んでおられる若い人”がいるのだなという、そういった印象を結構みんな持っていると思いますよね。こちらのニーズに細かく対応いただいているという点で非常に満足していますし、レスポンスも非常に早く、皆さんのやりたいことだけを取り組んでいただくのではなくて、こちらのやりたいこと・ニーズとか使い方、こちらの事情も踏まえて私たちの想像以上のものを返していただいているので、そこはまさに一緒に作っていっているという感じがしています。

――これまで弊社に限らず、“よこらぼ”を通して外部の方々と連携する取り組みをされているかと思いますが、このような外部連携をする取り組みに関して、自治体職員さん側がどういった気持ちをお持ちなのか、お聞かせいただけますか

そうですね、特に横瀬町は小さな町ですから、なかなか自分たちだけでできることって限られているのですけれども、幸い“日本一チャレンジする町”というキャッチコピーというか・ブランドを、だんだん認知いただいてきておりまして、まさにLiquitousさんのような方々から、素晴らしいご提案をいただく、しかも継続的にいただけるというそういう嬉しいサイクルが生じ始めています。やはりチャレンジなので、成功もあれば失敗もあると思うのですよね。

特にその失敗の部分で非常に学ぶことが多いと思いますが、それはやってみなければ分からないので、官⺠それぞれ得意分野で協力しながら、お互い成功も失敗も含めて成⻑し合っていければいいかなと思います。こういった成⻑は、官⺠連携をしないと生まれないことですから、そこは非常に価値があると思いますね。

――最後になりますが、今後も弊社との取り組みが続いていくわけですけれども、弊社に期待することはありますでしょうか

もう今既にやっていただいていますけれども、どこで完成という感じではなくて、お互い継続的にブラッシュアップしていけるといいかなと思います。まだ完全にオープンの形で議論を展開できていないのですけども、今後事業が展開していけば、今はまだ見えていない課題も出てくると思いますので、そういうものも一つ一つお互い協力しながら解決していく、その上でそれを重ねていくということが大事だと思います。引き続き一緒に作り上げ、そこに満足するところまでお付き合いいただければいいかなと思いますし、その結果を踏まえて『横瀬町でこんな成果が生まれました』という結果が出るといいですよね。そしてLiquitousさんの取り組みが他の自治体で展開されていく際に、ちょこっと横瀬町の名前を出していただけると、うれしいなと思います。

ありがとうございます。弊社の実証実験として最初に採択いただいた自治体が横瀬町でして、そういう意味では本当に数えきれないぐらいお世話になっております。今後も横瀬町と弊社で連携していきながら、“人にやさしいテクノロジー”として、場づくりや中心地づくりを進めていければと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

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埼玉県秩父郡横瀬町での実証実験についてはこちらから