見出し画像

d.1 フィンランドのデザイン

マイッカ灯台美術館へようこそ。今回からはじまる展示はフィンランドのデザインです。ところで、美術と工芸の違いってなんでしょう。飾るものと使うものでしょうか。それとも手に触れられるものと触れられないものとか。まあどうぞお手にとってご覧ください。毎日使っている私物ですので ──。

フィンランドのデザインは今日、食器や家庭用品、照明、家具といったものだけでなく、家電や携帯電話などの工業デザイン、さらにはサービスのデザインなどにもその領域を広げています。

それでは、フィンランドのデザインの特徴とは一体どんなものでしょうか? ここで、パッと思いついたキーワードをいくつか挙げてみます。

・シンプル
・モダン
・機能的
・カラフル
・フューチャリスティック
・遊び心がある
・懐かしい
・美しい曲線

これら一見相反するような要素が絶妙なバランスで保たれているところに、フィンランドのデザインの特徴があるのではないでしょうか。その結果として、時代を超え世界中で愛されるものが生み出されてきたのだと思います。それこそデザインというものが本来、目指すところなのかもしれません。

この【デザイン編】では、そんなデザインがフィンランドでどのようにして生まれてきたのかを代表的なデザイナーとその作品を紹介しながら見ていこうと思っています。

フィンランドデザインのはじまり

デザインも美術の場合と同様に、協会が中心となって学校を運営し、デザインの振興を促してきました。まずはデザイン学校の変遷をご覧ください。

1871 彫刻学校 設立

Veistokoulu
ヘルシンキ中心部のカサルミ通りにあった小学校の敷地内に設立されたフィンランドで最初のデザイン学校。創設者は当時ヘルシンキ大学の教授であったカール・グスタフ・エストランダー。

1875 フィンランド工芸デザイン協会 設立

Suomen Taideteollisuusyhdistys
このような協会としては世界で最も早い時期に設立された。協会の主な目的は、彫刻学校を運営することと1873年に開催されたウィーン万博の美術工芸品のコレクションを管理すること(現在のデザイン美術館の前身となる)であった。元々の名称はスウェーデン語の Föreningen för konstfliten i Finland(1907年まで)。

1885 美術工芸中央学校に名称変更

画像1

Taideteollisuuskeskuskoulu, 1920

1887 学校と協会が完成したアテネウムへ入る

2つの学校と2つの協会
当時、ビジュアルアート(ヘルシンキ絵画学校)と応用美術(美術工芸中央学校)の2つの異なる分野の学校が、同じ建物内に共存できるのかどうか議論になった。美術やデザイン分野の発展により、20年後には協会が別の施設に移転、1970年代には二つの学校も移転した。1991年以降、アテネウムは美術館が占有することとなった。

1899 ラハティ・デザイン学院設立

Lahden taideoppilaitos
フィンランドデザインにおいてもう一つの重要な学校。デザイン研究所(Muotoiluinstituutti)によって農業学校として創立され、1938年にヘルシンキの金細工学校と統合。工芸品とビジュアルアートのラインがあった。

1949 芸術デザイン学院(Taideteollinen oppilaitos)に名称変更

1965 学校が国営となる

1973 ヘルシンキ芸術デザイン大学(TaiK/Taideteollinen korkeakoulu)に名称変更

1986 学校をアラビアンランタ地区へ移転

画像2

Arabia's old factory

2010 アアルト大学(Aalto-yliopisto)に統合

アアルト大学は、ヘルシンキ芸術デザイン大学とヘルシンキ工科大学、ヘルシンキ経済大学の3つが統合してできた大学。この合併でアアルト大学 美術学部(Taideteollinen korkeakoulu)と名称変更。その後、さらに工科大学の一部であった建築学部と合併し、アアルト大学 美術デザイン建築学部(Aalto ARTS/Taiteiden ja suunnittelun korkeakoulu)となる。

フィンランドでは、協会や学校を創設する時点から優れたデザインやデザイナーを生み育てることが明確に意図されていたのではないでしょうか。こうした準備段階を経て、フィンランドのデザインは世界へと広まっていくことになります。そして、そこにはフィンランドの美術が1900年のパリ万博で世界に認知されたように、あるきっかけがありました。次回はそのきっかけについてご紹介したいと思います。

参考:Design Forum FinlandKun Veistokoulu Syntyi
※ カバー画像以外は全てWikimedia Commonsからのものです。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
🇸🇪 Tack !
6
フィンランドを知るには、まずフィンランド語かも!というわけで、古い参考書を紐解きながら、フィンランド語の辞典を書くことにしました。マガジン『マイッカ灯台美術館』では、フィンランドの美術についての連載もしています。トントゥ検定3級です (H)。 http://moicafe.com

こちらでもピックアップされています

マイッカ灯台美術館
マイッカ灯台美術館
  • 18本

Maikka Majakka Museo。フィンランドの美術についての連載です。絵画編、デザイン編、建築編、テキスタイル編として順番にレポートしていく予定です。

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。